レオロジー
こんにちは
今日は、高分子の特徴的な性質である粘弾性を取り扱うための学問である
レオロジー特性についてまとめていきたいと思います
高分子は、力を加えていくと、徐々にその力が緩和していく応力緩和と
粘性率が一定になるクリープ変形という現象があります
これは、金属のような弾性体には見られない現象で、なぜこういった現象が高分子で起こるかについて説明していきます
①応力緩和
応力緩和とは、せん断変形を与えた後に、その変形を維持するために
必要な応力が徐々に低下する現象の事です
ここで、この現象を以下の3つの観点から説明します
1.なぜ変形を与えると力が生じるのか
2.なぜ時間とともに力が抜けていくのか
3.なぜ力が抜けるまでの時間が温度で変化するか
1.変形を与えると力が生じる機構として以下の2つが考えられています
それは、エネルギー弾性とエントロピー弾性の二つです
エネルギー弾性は、分子鎖の変形に伴って原子間の距離や結合角度、
分子鎖間の距離が変化してエネルギーが高い状態になるために、それが
元の状態に戻ろうとするために力が生じます
もう一つのエントロピー弾性は、高分子の分子鎖の形態が異なった様々な状態を(=ミクロブラウン運動)している分子鎖が伸びたり縮んだ後に戻ろうとする力をいいます これは変形することで、分子の取りうる場合の数(エントロピー)が変形して小さい状態から大きい状態に戻ろうとして生じる力です
2.力が抜けていくのはなぜかというと、時間がたつにつれて局所的に結合の
周りのねじれが解消される過程が比較的短時間の間で起き、その後絡み合いは抜けないが、絡み合い点と絡み合い点の間の分子鎖の再配列が起こります
この過程は、エントロピー弾性による分子鎖の緩和が起こる過程で主緩和と呼ばれます
さらに時間がたつと絡み合いがほどけて、分子鎖全体が流動して力が緩和する過程があります
ただ、この過程は分子鎖間に架橋のある構造では起きません
このような過程を経るために、徐々に高分子にかかる力が抜けて(=緩和)いきます
3.また、温度をかけることで分子運動が活発になるために、緩和する過程で
越えるべきエネルギー障壁を越える分子の割合が増えるために、高温にすると、過程の緩和は早く進むようになります(=過程の時間が早くなります)
このような温度と時間との対応関係をまとめた式としてアレニウス式やWLF式などがあり、これらは温度時間換算則と呼ばれていて、実際の製品の耐久試験などに利用されています
次に、このような高分子の粘弾性を議論する力学的モデルとして、マクスウェルモデルを紹介します
マクスウェルモデルは、ばねとダッシュポットでつながれたモデルを示していて、ばねは伸ばしたらすぐに戻ろうとする弾性モデルを、ダッシュポットは、ばねによって引っ張られて、戻らない粘性モデルを示しています

ここで、ばねは力を加えた際の変形を示しており、ダッシュポットは緩和を示しています
ここで重要なことは、ばねは変形量にかけた力(=ひずみ)に比例し
ダッシュポットは変形量にかけた速度(=ひずみ速度)に比例する点です
さて、ここでエネルギーに関して考えてみると、ばねは加えられた応力に対して、エネルギーを貯蔵・放出する要素に対し、ダッシュポットはばねのように戻らないために、加えられたエネルギーは損失していく要素となります
そのため、ばね要素は貯蔵弾性率といい、ダッシュポット要素は損失弾性率と言います

ここで、このマクスウェルモデルに対して、振動する変形を与えてみると、その応答の波形は、振動の波形に対して位相が0~90°のあいだでズレた波になります
この位相のずれは、粘性成分であるダッシュポットが弾性成分であるばねの波に比べて位相が90°ずれた波形を示すために、その合成派であるマクスウェルモデルの波は0~90°の間の位相のずれを示します
その結果、DMAという動的粘弾性特性を測る装置があるのですが、その測定によって、貯蔵弾性率と損失弾性率のずれを測ることができます
(ガラス転移温度の詳細はまた、別の記事で記載します)

このレオロジー特性がどのように役立つかという視点で最後にまとめたいと思います
レオロジーは、製品の成形から性能・寿命に至るまで高分子にとって重要な特性で、高分子の成形時には、どのような温度・速度で変形を与えると最も効果的に分子が配向できるかといったことや、成形機をどの程度の力に耐えるように設計するべきかにレオロジー特性の評価が欠かせません
また、製品が出来上がると今度は、耐衝撃性、耐疲労性、接着部の許容荷重など、高分子の様々な性能や寿命がレオロジー特性と密接に関連します
例えば、制振材や吸音材はエネルギー損失特性が性能を支配していて、レオロジー特性が機能として利用されています
他にも食品においては、歯ごたえやコシの強さなどのレオロジー特性が味の良しあしに大きく影響します
その他にも、高分子の機能や組織を解析する場合にもレオロジー特性は役立っていて、樹脂を硬化させる過程をレオロジー特性の変化から推定することが出来たりします
今回は、高分子という物質が外力によってどのように変形し、流動していくのかを体系的に理解するためにレオロジーという学問をまとめていきました
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
