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雨女

彼女は雨が降ると機嫌が良かった

髪がショッキングピンクで、
長くつ下のピッピのような髪型で
それが地毛なのかつけ毛なのか、
判らないくらいには太いみつあみだった

そんな髪色はしていたが
彼女は情に篤く、妙に面倒見の良いギャルだった

「愛だね」が口癖の彼女
ひととつるまず、一匹狼を気取っていたが
不思議といつもひとりではなかった
ただいつも同じ人といるわけでもなかった

彼女はなにか悪いことがあると
目の前の景色を金魚鉢に詰めて
雨と一緒に空からばらまいちゃえといった

空は高いし、狙ったところで
落としたいところに雨粒は落ちない
どこに落ち、どこに流れつくか判らないものに
いつまでもとらわれているのはバカバカしいと
得意げに語った

水をはった丸い金魚鉢を通してみると
歪んで見えたり、逆さに見えたり、
どれもこれも嘘っぱちに映る
そんな現実はさっさとひっくり返して
雨と一緒に流してしまえばいいのだと

雨上がりは必ず晴れ、運が良ければ虹まで見える
虹の先からつるんと、
新しいなにかが零れてくるから
雨が降ったら新しい自分になれるはずだと
楽しそうに話していた

彼女には特定の名前がなかった
いつもおかしな名前を名乗った
雨が降るたび違う名前を口にした
その時々で気に入った単語で自分を表現した
だから彼女の話をする時は「雨の話をする女」
雨女とまわりのみんなは呼んでいた




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たゆ・たうひと いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです