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ジャズゲイズ 5選─《シューゲイザーとジャズの融合》

引き続き、「ギター音楽の視点」から現代ジャズを紹介していきたいと思います。

前回も書かせて頂いた通り、
現代ジャズを理解するには、ある程度、”ジャズ以外”の音楽も把握してないと、現代のジャズを理解するのは難しいのかもしれません。例えば、ジャズロックは、ロックを知らないと理解できないし、ジャズファンクはファンクを知らないと理解できない、という風に。だからこそ、本当の意味で「ジャズを理解するためには、ジャズだけを聴いてちゃ本当のジャズは理解できない」というのが、持論です。

かつて、ある大物ジャズメンが「ジャズの伝統は、常に新しいものを取り入れて進化し続けたこと」と語った通り、様々な音楽要素が、その都度、混じり合い融合して、ジャズは進化してきたのです。決して先人たちが作った道筋をただなぞることが伝統ではなく、常に挑戦し続ける姿勢こそが、ジャズの歴史を作ってきたのです。

ということで、今回は、ジャズゲイズです。
つまり、シューゲイザーとジャズの融合です。

シューゲイザーとは?
1980年代後半から90年代初頭にイギリスで生まれたロックのジャンルで、ポップでありながらフィードバックノイズや過剰なエフェクト効果による轟音ギターサウンドが特徴で、どこか儚さや浮遊感、美しさと破壊性を併せ持ち、内省的かつ文学的な佇まいが魅力。代表的バンドは、My Bloody Valentine、Slowdive、Ride、はシューゲイザー御三家と呼ばれた。

それらのジャズ版を、ジャズゲイズと言います。

ジャズの場合は、轟音ディストーションサウンドというよりは、深いリバーブをかけた空間や残響音を生かしたギターサウンドが特徴で、幻想的で輪郭がハッキリとしない抽象的なイメージ、といったら良いでしょうか…

とりあえず、聴いてもらうのが手っ取り早いでしょう。




ということで、1枚目はこちら!




Matthew Stevens / Preverbal

現代ジャズギター界注目度No1のギタリスト、マシュースティーヴンスの2017年リーダー作。クリスチャンスコットのバンドやエスペランサの作品でも重要な役割を放ち存在感を発揮。本アルバムは、エリックドゥーブ(dr)との共同プロデュースにより制作。ギターのほかサンプリングやシンセベースを操り、幻影的なサウンドが広がりソリッドなギターが響き渡る、どこか80年代のニューウェーブや90年代のオルタナロックを彷彿とさせるようなギターサウンドは、ジャズファンだけでなく、ポストロックのファンにも要注目の作品。







2枚目はこちら!




Rafiq Bhatia / Environments

かつてFlying Lotusを生音カバーする等その斬新なスタイルかつクオリティの高さで、ヒップホップ世代が生んだビートシーンのネクストレベルを担う注目のギタリスト、ラフィクバーティア。
本作は、「Anti- Records」レーベルに残した2025年発表作品。生音とエレクトロの融合による中毒性の高いサウンド、メロウなダウンビートからアーシーなアップビートまで、全編に渡る完成度の高さと壮大なサウンドスケープを響かせる。








3枚目はこちら!




Eivind Aarset 4-Tet / Phantasmagoria [or] A Different Kind Of Journey

本作は、アイヴィンオールセットに加え、ウェトルホルテ、エルランドダーレン、アウドゥンエリエンというカルテット編成による2021年作品。ECMにリーダー作を残す2人、ヤンバングとアルヴェヘンリクセンがゲストで参加。アイヴィンオールセットの僅かに残る伝統的なジャズギタースタイル、初期ルーツのヘヴィメタル〜アヴァンギャルドなスタイル、そして彼の近年の特徴であるアンビエント・サイドの所謂ギターの原型が把握できないエフェクト効果によるコラージュ的要素まで、彼のギタースタイルの集大成とも言える様々なスタイルが堪能できる。常識的なギターアルバムとか一般的なギターサウンドとは程遠いけれど、ある意味、彼の近年作中で最もギターをフィーチャーしたアルバムとも言える。








4枚目はこちら!




Mansur Brown / Rihla

新世代ジャズを代表する鍵盤奏者がロバートグラスパーで、ベースがサンダーキャットならば、ギターはこの男マンスールブラウンと呼ばれた、UK新世代ジャズ注目度No1黒人ギタリスト。
本作は、「Amai Records」に残した2025年作品。ブレードランナーを彷彿とさせる近未来サウンドと、どこか東洋的な響きだったり、無国籍な旋律だったり、深いエフェクト効果による空間の作り方だったり、独特のサウンドと様々なトリッキーなギターフレーズが楽しめる。








最後はこちら!




Ben Monder / Day After Day

デヴィッドボウイの最後のギタリストとして話題にもなったベンモンダー。いつも時代の先端を走り続けたデヴィッドボウイは、常に、その時代のホットなギタリストを起用、発掘していたことでも知られる。ミックロンソン、ロバートフリップ、カルロスアロマー、ナイルロジャース、スティーヴィーレイボーン、リーブレルス等など…..そして最後に起用したのが、ポールモチアン・バンドの卒業生でもあり、新印象派ギタリストとも呼ばれる、ベンモンダーだった。本作は、「Sunnyside」レーベルに残した2019年作品。全曲カバーナンバーに取り組むプロジェクトで、disc1には、ソロ、disc2にはトリオ編成で構成。ヘンリーマンシーニの「Dreamsville」、ビルエヴァンスでお馴染み「Emily」、ベンモンダーが多大な影響を受けたという現代音楽の作曲家オリビエメシアンの「O Sacrum Convivium」、バカラックの「The Windows Of The World」、クインシージョーンズの「The Midnight Sun Will Never Set」、ビートルズの「Long, Long, Long」、映画でお馴染みジョンバリーの「Goldfinger」、ボブディランの「Just Like AWoman」、バッドフィンガーの「Day after Day」等など、非常に興味深い選曲かつ意表をつくアレンジが面白い。







いかがでしたでしょうか?


この辺りの最先端の現代ジャズは、堅物の評論家や保守的ジャズファンには、全くと言っていいほど受け入れられていない

ヒップホップ、アンビエント、ネオソウル、テクノ、メタルやエレクトロニカなどなど...ジャズは多様な音楽と融合し、先鋭的で魅力的な現代ジャズが数多く生まれているにも関わらず、堅物の評論家や保守的なファンには、残念ながら、それらを「ジャズとして認識されていない」のが現状だ。

今だ「バップ的語法」「4ビート」「スウィング」といった、大昔の「モダンジャズ時代」のスタイルや定義に固執していることが、新しいジャズの理解を妨げているのかもしれない。

その結果、若者にはジャズが「古い音楽」と誤解され、新規ファン層の獲得が閉ざされ、ジャズ人気と市場の縮小という悪循環に陥っている。

巷ではよくジャズ評論家たちが、こぞって「ジャズ100年なんちゃら?」みたいな名盤ガイドを出版してるけど、どれもがモダンジャズ時代の20年ちょっとしか「ジャズ」として認識していないような、偏った内容のガイド本ばかりだ。 それも、先に述べたように、「ジャズを理解するためには、ジャズだけを聴いてちゃ本当のジャズは理解できない」というところに、繋がってるような気がします。

その辺りも含め、今後も引き続き、現代ジャズを「ギター音楽の視点から」紹介していけたらと思います。

ご覧いただき、ありがとうございました!!



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