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日本のFUSION ギターグループ 5選 ~ Top 5 Japanese Fusion Guitar Groups


【序章】:ジャズ黄金時代としてのフュージョン

ジャズの歴史において、最も盛り上がり、最も勢いがあった時代は、紛れもなく1970年代から80年代である。それはジャズが一部の愛好家のための音楽から脱却し、アルバムが100万枚単位で売れ、世界中を熱狂させた「ジャズ黄金時代」だった。

この時代の主役は、管楽器でもピアノでもなく、間違いなく「ギター」であった。60年代後半、マイルスデイビスに「俺がやりたかった音楽はこれだ」と言わしめたジミヘンドリックスの衝撃を受け継いだのは、ジャズギタリストたちだった。ジョンマクラフリンやラリーコリエルらが扉を開き、1976年にはジョージベンソンの『Breezin'』がそれまでのジャズ史上最大のヒットを記録。同年、それに続けとばかりに、パットメセニー、リーリトナー、アルディメオラ、ロベンフォード、アールクルー…(日本のCharや高中正義も同年ソロデビュー)といった面々が一斉にソロデビューを果たし、ギターがジャズのメインストリームへと躍り出たのである。

なぜ、これほどまでに売れたのか。それは、ファン層の幅がかつてないほど広がったからだ。ロックファンはもとより、普通の小学生や中学生、さらにはOL層までもがフュージョンバンドのコンサート会場を埋め尽くした。まさに「お茶の間にジャズが進出した時代」であり、後にも先にもこれほどジャズが盛り上がった時代はほかに存在しない。

つまり、フュージョンとは=70s~80sのメインストリームのジャズであり、ジャズが最も勢いのあった時代、すなわち『ジャズ黄金時代』なのです。

そんな熱狂の渦中にあった日本で、独自の進化を遂げた5つのフュージョン・ギターグループを紹介します。



PRISM(プリズム)

  • デビュー年:1977年

  • 歴史:エリッククラプトン来日公演のオープニングアクトを務めるなど、デビュー前から高い注目を集めた日本初の本格的フュージョンバンド。プログレッシブな展開とロックのダイナミズムを融合させたサウンドで、後続のバンドに多大な影響を与えた。

  • 編成:当初は、森園勝敏(四人囃子)と和田アキラによるツインギター、ツインキーボードの変則的な編成でスタート。その後、トリオ編成など時代により変遷。

  • ギタリスト和田アキラ

    • プロフィール:フルピッキングによる高速フレーズと緻密なメカニカルフレーズを武器とした、日本屈指の技巧派。

    • 影響を受けたギタリスト:ジョンマクラフリン、アランホールズワース。

  • 音楽スタイル:変拍子を多用したテクニカルな楽曲や、ハードロックに近い攻撃的なトーン。

  • 代表作品:『PRISM』(1977年)、『Second Thoughts/Second Move』(1978年)

  • 代表曲: 『LOVE ME』『VIKING』




CASIOPEA(カシオペア)

  • デビュー年:1979年

  • 歴史:野呂一生を中心に結成。圧倒的な演奏精度と爽快なメロディで80年代のフュージョンブームを象徴する存在に。1980年代にはロンドン公演を成功させるなど、海外でも高い評価を得た。

  • 編成:ギター、ベース、ドラム、キーボードの4人編成が基本。

  • ギタリスト野呂一生

    • プロフィール:独自のダブルネックギターを操るコンポーザー兼リーダー。エフェクターを駆使したクリアなトーン and 完璧にコントロールされたフレージングが特徴。

    • 影響を受けたギタリスト:ウェスモンゴメリー、ラリーカールトン。

  • 音楽スタイル:スリリングなキメやユニゾンが連続する、緻密に計算されたアンサンブル主体のサウンド。

  • 代表作品:『MINT JAMS』(1982年)、『CASIOPEA』(1979年)

  • 代表曲: 『ASAYAKE』『DOMINO LINE』




T-SQUARE(T-スクエア)

  • デビュー年:1978年(当時はTHE SQUARE)

  • 歴史:安藤正容を中心に結成。ポップなメロディセンスとF1グランプリのテーマ曲採用などにより、茶の間にまでフュージョンを浸透させた。

  • 編成:ギター、サックス(EWI)、ベース、ドラム、キーボード。フロントにサックスを配したスタイルが特徴。

  • ギタリスト安藤正容

    • プロフィール:歌うようなメロディラインを書くメロディメーカーとしての才能に長ける。ロックを基調としたドライブ感のあるソロが魅力。

    • 影響を受けたギタリスト:ジェフベック、ジョージハリスン。

  • 音楽スタイル:聴きやすさを追求したインストゥルメンタルポップ。サックスとのツインリードによる華やかなアレンジ。

  • 代表作品:『ADVENTURES』(1984年)、『TRUTH』(1987年)

  • 代表曲: 『TRUTH』『宝島』




PARACHUTE(パラシュート)

  • デビュー年:1979年

  • 歴史:日本の歌謡曲やニューミュージックを支えたトップスタジオミュージシャンたちが集結した「腕利き集団」。わずかな活動期間ながら、その演奏クオリティは伝説となっている。

  • 編成:ツインギター、キーボード、ベース、ドラム、パーカッションに加え、ボーカルを導入することもある柔軟な編成。

  • ギタリスト松原正樹今剛

    • プロフィール:松原は太く甘いトーンの「歌うギター」、今は正確無比なテクニックと空間系エフェクトを駆使した「空間を支配するギター」として、日本の音楽シーンの両翼を担った。

    • 影響を受けたギタリスト:ラリーカールトン(松原)、ジェフベック(今)。

  • 音楽スタイル:西海岸風の洗練されたAOR、サンバ、ロックが混ざり合った、大人の余裕を感じさせる都会的なサウンド。

  • 代表作品:『FROM ASIAN PORT』(1980年)、『HAERE MAI』(1981年)

  • 代表曲: 『AGATHA』『HERCULES』




NANIWA EXPRESS(ナニワエキスプレス)

  • デビュー年:1982年

  • 歴史:大阪を拠点に、ライブハウスでの活動から実力を磨き上げたライブバンド。圧倒的な「熱量」を放つパフォーマンスで、東のカシオペアに対し、西のナニワとして人気を博した。

  • 編成:ギター、ベース、ドラム、キーボード(×2)の5人編成が基本。

  • ギタリスト岩見和彦

    • プロフィール:ブルージーなタメと、ファンキーなカッティング、そしてジャジーなアプローチを縦横無尽に使い分けるプレイヤー。

    • 影響を受けたギタリスト:渡辺香津美、ジョージベンソン。

  • 音楽スタイル:16ビートを強調したファンク色の強いリズムと、即興演奏を重視したスリリングなライブ感。

  • 代表作品:『NO FUSE』(1982年)、『WIND UP』(1983年)

  • 代表曲: 『BELIEVIN'』『CHARCOAL BREAK』






【終章】:真実の再評価と、新たな全盛期

これほどまでに輝かしい黄金時代を築いたフュージョンという名のジャズは、なぜ低迷したのか。その要因は、外部の流行変化ではなく、内側にあった。ジャズを「芸術」という狭い枠に閉じ込め、難解なルールや過去の様式美に固執した批評家や、一部の「自称・教育者」たちが、大衆が熱狂したフュージョンを「軽薄な商用音楽」だと切り捨てたのである。彼らによって「敷居」を上げられたジャズは、その多様性と柔軟性を奪われ、自ら活力を失っていったのだ。

しかし、歴史は繰り返される。今、かつての「シティポップ」ブームに匹敵する、あるいはそれを凌駕するほどの熱量で、ジャパニーズ・フュージョンが世界中で再評価されている。当時の日本でしか成し得なかった、最高峰の録音技術と圧倒的なギターの演奏クオリティが、デジタルの海を通じて再び海外のリスナーの耳に届いている。

皮肉なことに、かつて「ジャズを潰した」人々が黙殺した音楽こそが、今や世界を熱狂させるジャパニーズ・インストゥルメンタルの至宝として君臨している。かつての黄金時代を凌ぐ勢いで、日本のフュージョンは今、真の全盛期を迎えているのかもしれない。


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