【8】『あんたらやれるんかい?』60と3つ違いママとKau ちゃん どたばたアジリティー
ネットで「犬 アジリティ 競技会」と検索してみる。サイトをいくつか開いてみると、アジリティ競技会を開催している団体は、3つあるらしいことが分かった。
各団体のホームページに移動し、それぞれの競技会日程を調べてみる。
どうやらエム先生は、“NPO法人オプデス”という団体に所属しているようだ。先生が勧めてくれた、競技会の日時と場所も一致する。
場所は以前住んでいたことのある市のはずれ、河川敷の公園なので、行き方はよくわかるが…河川敷に下りていったことはない。う〜んここは夫の出番だろう。
夫は昔から、何かと私に付き合わされるが、あまり不満は持たず、それなりに楽しむという技術を習得している。
ここら辺を右下に下りていくみたいだけど、どこどれと言っているうちに、橋を渡り始めてしまった。
『あぁ向う岸へ行っちゃうよ。間違いなくこっち側に公園はあるんだから。』
まずいまずい。ここは冷静に。強気な発言は喧嘩の元。
『渡り切ったらすぐに曲がって、Uターンしてこよう。初めてのところはむずかしいね。』
などと言いつつ、戻ってきて下に降りて行くことに成功。
会場近くの駐車場まで行くと、車は満杯状態。アジリティの競技会って、こんなに人が集まるんだぁ。競技会のことを何も知らない私としては、見るものすべてが、新鮮の連続となる。
会場から少し離れたところにも、駐車場はたくさんあった。二人とkauちゃんは、そこからお散歩がてら、歩いて行くことにした。
会場に近づくに連れ、スピーカーから聞こえてくる音声から、この場所で開催されていることは間違いなさそうである。kauちゃんも車から降りたときは、興奮して喜んでいたが、数頭のワンコたちとすれ違ううちに、ここは犬連れが多い場所と認識し、おとなしく付いて歩くようになった。
会場はひとことで表現するなら、運動会を行なっているような感じである。簡易的な柵で囲まれた、四角い競技場が3個作られていた。多少大きさに差がある。が、どれもかなりの広さがあり、対角線で走るとすれば、50メートルから100メートルはあるように感じられた。
そこには、ハードルやらトンネルといったアジリティ道具がいっぱい並べられ、犬と人のひと組が走り回っていた。ゴールすると何分何秒とスピーカーから流れ、次の組の犬種、犬の名前、飼い主の名前がコールされ、競技がスタートという流れなのだと、見ているうちに分かってきた。
3つの競技場を取り囲むように、さまざまな色や大きさのテントが会場狭しと並んでいる。各個人で立てているのか、グループがあるのか、さっぱり分からない。受付のような大会責任者の場所さえ、よく把握できない2人と1匹は、競技しているワンコを眺めながら、すごいねぇ!あんなに速いよ!と言いながら、とにかくぐるっと一周してみることにした。

1番目、2番目の競技場を順に見ながら、一番奥の3番目の競技場へと進む。3番競技場のスタート地点の入口付近と思われる場所で、ようすを見ることにした。側に置いてあったテーブル台の上に、白い用紙が貼ってあるのが見える。近づき覗き込むと、3番競技場に出場予定のプログラムのようである。まったく理解できていない、競技種目らしい項目の横に、20センチ以下•30センチ以下といった体格が記載されている。その下に出場番号順に、犬の名前•犬種•飼い主の名前といった情報が表になっていた。アナウンスをよく聞きながら、表と照らし合わせてみると、全体のまだ10分の1も進んでいないといった進行状況である。
初心者というか初心犬?はプログラムの最初かなと勝手に思い、一応朝早めに来た。しかし駐車場は満杯だったのだから、皆さんずいぶん早くから会場入りするようだ。ちょっとびっくりした。
そこへ
『ママさん!見に来てくれたんですね』
と近づいて来る人。誰?
『あっ!エム先生!特に予定はなかったので来てみました』
とりあえず、エム先生に夫を、夫にエム先生を紹介したが、2人とも調子良いタイプではないらしく、あっどうも程度で、エム先生が競技会についての説明を簡単にではあるが、いろいろしてくれる。
どうしたの?いつもと違うじゃない。愛想の良いM先生に私はびっくり!
『kauluには、ここのビギナークラスを目指して欲しいですよね!』と指してくれたのは、プログラムの中盤。
その2個手前の項目を指して
『これが、僕ととネネが出場するんですよ』
えぇ!これじゃお昼過ぎちゃうんじゃないの?聞いてしまった以上、見ないで帰るはありえないよねぇ。参ったなぁ。ちょっと見たら帰ろうと思ってたのに…とは私の心の中の声。
先生の順番が来るのをひたすら待つ。夫は結構真剣に見ながら、こういうルールみたいだよとか、あの飼い主に飛びかかった犬は、失格みたいだとか、声に出して言う。こやつら何も知らないんだなと思った、親切な出場順番待ちの人が、あれはこうなんですよとか、そうではなくて、こんなルールになっていますと、答えてくれる。
そのうちに、親切な人の先生だかコーチだかがやって来て、
『彼女の順番が近づいているので、これ以上声をかけないでくださいね』だって。
うちの夫って空気が読めないんだよねぇ。
To be continued
