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【9】『あんたらやれるんかい?』60と3つ違いママとKau ちゃん どたばたアジリティー

空気の読めない夫は、かなりマイペースに、ドッグアジリティ競技会を楽しんでいるようだ。
私とkauちゃんは、あちこちぶらぶらしながら、犬のおやつを売っているテントで時間を潰したりする。

一日中開催しているのだから、ちょっとしたスナックや飲み物を売っていてもいいのに、と思ったりもする。ここは河川敷ということもあり、自動販売機ひとつないのだ。
すぐ帰るつもりだった私たちは、何も持ってきていない。kauちゃん用の水やおやつ等の備品だけじゃねぇ。
色とりどりのテント内では、自分の出場に合わせて、軽食を取ったりしている。
ここは長丁場に合わせて、準備万端で来なければダメなのね。

夫は突然現れては、競技場内に線が描かれているのを指して言う。あの線内に人間(ハンドラー)が入らずに、犬に指示を出して、その犬がハードルを飛んだり、トンネルをくぐったりできると、“ギャンブラー”とか言ってるんだよ。どうも得点が加算されるみたい。
ふ〜んなんだかよくわからないけど、きっといろいろなルールがあるんだね。
どこに連れて来られても、何でも積極的に楽しめるあなたはすばらしい。

そろそろ先生が出る番になるんじゃない。私たちは3番競技場へと向かう。プログラムを見ながら、次の出場者の情報に耳をすます。いよいよ次の次だ。先生の愛犬の名前が呼ばれる。おっ!私はいつスタートしてもいいように、スマホをビデオモードにし、構える。スマホに集中しないよう、全体が入るようにして、先生の動きと犬の動きが見られるように頑張ろうと思う。

先生と入場したネネちゃんが、スタート位置でお座りをし、その後伏せをして待つ。先生は最初のハードルよりもかなり先の、真ん中辺りに立つ。そして、ネネを見つめる。その後どうぞと言うときのように、ネネの方にあげた片手をサッと優雅に前へと動かす。
びっくりした。そんな優雅なちょっとした合図でいいの?でも、ネネはしっかりスタートし、あっという間に、ハードルをジャンプし、タイヤの中央を飛び越える。いくつものハードルが並ぶ中、行きつ戻りつ右へ飛んだり、左へ走ったりと、その順に飛ぶ決まりがあるんだよねという難しさ。

先生の頭の中には、障害物の順番に対して、自分がどこの位置に立ち、どのような合図でネネに指示を出すのかが緻密に計算されているらしい。
競技場を目一杯使った障害物を次々制覇し、棒が細かく立つ中も、右へ左へとクネクネ身体をくねらせるように、棒と棒の間を駆け抜けて行く。

あっという間に最後のハードルを2個飛び越え、33秒でゴール。目にも留まらぬ速さで、競技場全体を駆け回る姿は、完璧すぎる。
失格するワンコも多い中、順番を間違えずたったの33秒とは、素晴らしい。
もちろんこの種目で、先生とネネちゃんは優勝でした。

練習に励むkauちゃん

いよいよ、kauちゃんが今後目指すビギナー向け競技が始まる。
種目が変わる時には、まず障害物の配置替えが行われる。その後、“出場者の方はケンブンをお願いします”というアナウンス。ケンブン検分?この種目に出る、飼い主(ハンドラー)たちが、ワンコは連れずに障害物のチェックをし、順番を確認したり、自分の立ち位置や指示方法をあれこれ考えたりする時間のようだ。

今までの種目よりも、圧倒的に障害物の数が少ない。そのうえ、弧を描くように(トラック競技の半周みたいな)ハードル、ハードル、トンネル、ちょっと走る、トンネル、ハードル、ハードル、ゴールという流れ。間違えることのないようになのか、使わない障害物は片され、競技場の中はすっきりとしているが、200メートルくらいは走る必要がある。

どう見ても、弧を描いてはいるが、まっすぐ走り抜けていくだけでいいようである。ハンドラーの検分にはどの人も真剣で、時間もかなりかけている。そんなに考えるのか?と思うと、不思議といえば不思議な感じがする。

出場予定者は20組くらいいるので、ビギナー多しである。1番の組がコールされ、ワンコを定位置に座らせる。そこで、リードをはずす。ハンドラーもほぼ横、若干前かなと思う位置に立つ。何か決まりがあるのかどうかわからないが、ハンドラーの合図でワンコがスタートする。なんと、ハンドラーも一緒に走り始めた。“ジャンプ”叫ぶ走る。“トンネル”叫ぶ走る。そのうち断然ワンコの方が速くなり、ゴール。ハンドラー“よくやったね”とワンコを呼び寄せ、抱き上げる。わずか14秒の出来事。

ひぇーワンコと一緒に、あんなに全速力で人間も走るの⁈ あんなの無理無理。なんて思いながら、2番、3番…の出場ワンコの走りを見る。1番目のワンコはかなりの優秀児だったらしい。
途中で脱落するワンコ続出。次はトンネルと思っていると、そのままふらふらと横に外れ、草をくんくん。“45秒になりました。すみやかに退場をお願いします”とアナウンス。そのアナウンスで、すぐに自分のワンコを捕まえられるハンドラーはいいけれどねぇ。ワンコ好き放題走り回る。呼ばれても無視じゃ、目も当てられない。

ビギナー向け種目って、想像していた以上に大変そうじゃない。あんなことできるかなぁ。なんて思いながらぼっーと突っ立って見ていると、小さなチワワ連れに声をかけられる。お決まりの何歳ですか?もちろんワンコのことだけど。で、お互い1歳になったばかりと判明。

『じゃあそのうち、このビギナー種目で一緒になるかも』だって。
その方の話によると、1歳6ヵ月から出場できるとのこと。そうなんだぁ。
『ご自分で走られるんですか』とチワワママさん。
『そのつもりですが…?』と私。
『勇気ありますねぇ』とチワワママ。
それってどういうこと?そういうあなたはどうなの?と思っていると、普段の練習は多少自分でもするけど、常に妹さんと一緒に参加していて、本番は妹さんにハンドラーになってもらうのだそう。
『あんなに走ったりはできないから。妹は前から、自分の犬でも競技に出てるのよ。』なんだって。

それにしても、勇気ある〜ってどういうこと?私ってそんなに歳に見えるのかなぁ。まぁあのチワワママさんも、私より若干若いかなぁって感じだったけど。
このことを家に帰って妹に話すと
『それは歳じゃないね。そんなにデブで走れるの?ってことだと思うけど。』と妹。
『そのチワワママさんはどんな感じ?太ってなかった?』とさらに妹が言う。
そう言われてみれば、背は私より低かったけど、小太りだった。その妹さんは確かにスレンダーでした。

『やっぱりね。私がおもいっきりアタックすると(バレーボールの話)そんなにデブでよくジャンプできるね!という目で見られたものよ。長年そうだったから私にはわかる。』と得意気に言う妹。
そんなに自信を持たなくてもいいんじゃないと思いつつ、まぁそうね。デブだし、年寄りだし…あんなに目一杯走るのは、やっぱり無理かも。
決めた‼︎ 先生のように、コースのスタート付近ではなく、中間からゴール寄りに立って、指示出しすればいいんだ!

『kauちゃんが、スタート地点でいい子に待てればね。それに合図って、指示に従えるの?それがみんなできないから、一緒に走るんじゃないの?』
と冷たい視線で本当のことをズバズバ言う妹。
練習あるのみと心に誓うkauちゃんママなのでした。         to be continued

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