【10】『あんたらやれるんかい?』60と3つ違いママとKau ちゃん どたばたアジリティー
あんなに暑かった夏、このまま一生暑いままなのではと不安に思ったものだ。
ところが秋はあっという間に通り過ぎ、寒くなってきたからびっくりである。
競技会を見学した直後の練習日、先生は会うなり、『競技会はどうでした?』と機嫌良く尋ねてきた。
もちろん、わからないことばかりなりに、びっくりしたことや楽しかったことをお話し、今までで一番会話が弾んだように思うママでした。
その後は、以前よりもより自然体に近い感じで、練習中のコミュニケーションも取れるようになった気がするのは、ママだけ?じゃないと思うな。
もちろんkauちゃんも、付いて歩くや待てといった基本的なことは、完璧とはいえないまでも、比較的できるようになりつつあった。10分から15分の練習が4回あると、1回目は基本練習、2回目はトンネル、3回目はトンネルとハードルでコンビネーション練習。4回目は新しい競技道具に触れるという感じになってきた。
前回はタイヤと呼ばれる、フレームに取り付けられたタイヤ状の輪の中を飛び越える練習をした。
初めての道具を使う時、先生は“こんなに?”と思うほど、慎重に進める。
kauちゃんが怖がりなこともあるが、最初に道具に恐怖心を持たせたくないらしい。

kauちゃんは、リードを外すと隙をみては喜んで走り回ってしまったので、今もまだリード付きで練習をしている。リードが絡まったりすることのないよう、はじめにリードをタイヤの中央向こう側へ渡しておく。
ママはkauちゃんとタイヤを挟んで向き合い、“ジャンプ”と声をかける。
kauちゃんまったく動く気配なし。今度はリードを持ち、引っ張るようにしながら“ジャンプ”と声をかける。
引っ張られては仕方ない。kauちゃん、こちら側へ飛び越える。『いいよ!いいよ!すごい!』と大褒めで、同じことを何度か繰り返す。
kauちゃんも、怖い物ではないことがわかり、だんだん、当たり前のように飛び越える。
今度は“ジャンプ”と言う代わりに、“タイヤ”と言ってみましょう。
なるほど。
そして、また次の段階へと進む。
『ママさん、今度はタイヤの横に立ち、リードを投げ入れたら、“タイヤ”と言いながら手をKaulu からタイヤに向かって動かして、飛び越えるように促しましょう』
という具合である。
トンネルなどの時もそうだが、少しオーバーアクションになってしまうのか、手というか腕の振りが少し違うと、道具をスルーして、私の方に走ってきてしまったりする。
するとすかさず、
『今のは腕が上の方にいき過ぎていましたね』
『反対の手でしたよ』
『反対側を走りましょう』
といったアドバイスが先生から出る。
犬はハンドラー(飼い主)の動きをよく見ているのだそうだ。そして、それがほんのちょっとした動きであっても、すかさずその通りに反応するとのこと。
そうなのかぁ。
ワンコたちが、あのように競技会で素晴らしいアジリティを見せてくれるのは、ハンドラーあっての指示がすべてなのね。
と妙に納得するママなのでした。
そこへ、駐車場に1台の車が入ってきた。
先生はそれが合図のように、
『今日の練習はここまでにしましょう』と言う。
お礼を言い、帰り支度を始める。
先生はというと、倉庫のように使っているのか、先生の休憩場所として使っているのかという、それほど大きくはないコンテナから、丸いプラスチックテーブルを持ち出してきている。
どうしたんだろう?
今まで、あんなテーブルを使うの見たことないなぁ。テーブルと一緒に、手には用紙の挟まれたバインダーを持っている。
あぁ、見学か体験の人なんだな。
それにしても、あんなテーブル出してきちゃってどうしたの?私の時なんか、バインダーさえ持ってなかったけどねぇ。
『このまま会員になります』って言ったら、車からおもむろにバインダーを取り出して、名前とか聞き始めたよねぇ。と、ママはちょっと不審に感じながら、SAKURA (車)をスタートさせました。
to be continued
