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Hey, AI!新人教育資料を作る前に、まず仕分けてくれ

新入社員、教えてますか?

教える内容、整理できていますか?

久々にやってみたんですが、私はちょっと、怪しくなりました。

なので今回は、AIに先生役ではなく、仕分け係をやってもらいます。


新入社員の目線、思い出せませんよね

どうも、どこかのJTCで、生成AI業務推進室長をやっています。名前だけ聞くと、だいぶ未来っぽいことをしていそうですが、実際には今日も会議、Excel、資料作成、あと、新入社員教育のための過去資料の発掘なんかもしています。

そう、私にも久々に新入社員に教える機会があったんです。

伝えたいことは山ほどあるのに、なぜか昔話が始まっちゃう。新入社員目線?どこかに置いてきました。たぶん共有フォルダの奥です。

いま新入社員がいない方は、脳内にひとり配属して読んでみてください。イマジナリー新入社員です。たぶん、最初の説明で迷子になります。

会社に新入社員が入ってくると、当然ですが、誰かが仕事を教えます。

業務の流れ。使う資料。注意点。社内用語。過去のトラブル。誰に聞けばいいか。どの資料を見ればいいか。

最後がけっこう難しいです。

「この資料を見ておいて」と言いながら、開いてみたら数年前の資料だったりします。これはまだいい方です。たまに骨董品が出ます。けど、とりあえず言います。

「だいたい合ってるから」

こちらも悪気はありませんから、古い資料が新人の手元に渡る。だって、だいたい合ってるから……。

会社の怖さというのは、だいたい悪気がないところから始まります。

しばらく新人が来ないと、教え方が薄くなる

部署によっては、毎年のように新人が来るわけではありません。数年ぶりに新人が来る。すると、急に思い出します。

あれ。新人教育って、どうやってたんだっけ。

前回の教育資料はある。あるんです。

ほら、共有フォルダにありましたよ!

「新人教育」
「新人向け」
「OJT」
「新人向け_最新版」
「新人向け_最新版_修正」
「新人向け_最新版_本当」

もう定番ですね。「本当」ってなに?

開いてみると、古い名称が残っている。もう使っていない帳票が出てくる。担当者名も古い。担当者名が古いと、昔話に花が咲いちゃいますよね。あの人、定年後に蕎麦屋始めたらしいよ。

さて、資料はある。でも、今の仕事に合っているかは別です。もっと困るのは、資料に書かれていないことです。

新人がつまずきやすいところ。
最初に説明しておかないと迷子になる用語。
読めば分かるように見えて、前提知識がないと読めない資料。
最初から雑に覚えてほしくない判断。

そういう大事なものほど、人の頭の中にあります。

そこに保存するな。わからないだろ!

早く脳みそにUSBを繋いでほしい。
Type-Cでお願いします。

ガッツリ脳みそから抽出してくれるといいな。

ただ、その技術が来る前に、わかる人は異動してゆきます。JTCだし。

教え始めると、自分の説明も散らかっている

だから、自力で脳みそをかっぽじって教えてみるわけですが、まあ自分の説明は散らかっている。

新人に説明するとき、最初はちゃんと順番を考えているつもりなんです。

まず業務の全体像。
次に使う資料。
そのあと実務上の注意点。

そんな感じで始めます。

ところが、話し始めるとだんだん横道にそれます。

業務フローの話をしていたはずが、社内用語の説明になる。
社内用語を説明していたはずが、昔あったトラブルの話になる。
トラブルの話をしていたら、「この資料は今は使っていないんだけど、昔はこの人が担当していて……」みたいな説明になる。

話している本人の中では、全部つながっています。業務フローも、用語も、過去トラブルも、注意点も、同じ仕事の中にある。

でも、新人からすると、たぶん振り回されている気分です。つながりがわからないからしょうがない。

最初に覚えること。
あとで覚えればいいこと。
絶対に間違えてほしくないこと。
今は聞き流していい昔話。

この区別がつかない。

教える側は「大事なところだけ覚えてね」と言います。でも、新人からすると、何が大事かわかりません。

そこで生成AIに頼みたくなる

こういうとき、生成AIに頼みたくなります。

「この説明を教育資料にしてください」

頼みたくなりますよね。もちろん私もノータイムで頼んでみました。

すると、出ます。

それっぽい教育資料が。

見出しがつく。
箇条書きになる。
「目的」「手順」「注意点」みたいな構成になる。
文章も落ち着く。

またしても、こちらより社会人として整っている。ほんと腹立つな。

ここまでくると、つい思ってしまいます。

もう新人教育、AIに任せちゃえばいいのでは?

画面の向こうには、いつでも丁寧に説明してくれる存在がいます。質問しても怒らない。何度聞いても嫌な顔をしない。こちらより文章が整っている。なんなら、説明の順番もそれっぽく並べてくれる。

AI丸投げでいいのか…?

すごい。ついに未来がきた。

けど、さすがにそれは違う。新人をAIの前に置いて、「あとはよろしく」は、未来ではなく放置です。

教育資料、まず作らせない勇気

前回のAI議事録で怖かったのは、いつのまにか未決事項が決定事項になっていることでした。今回の新人教育で怖いのは、全部の情報が同じ重さで横に並んでしまうことです。

新人には、情報の正しさだけでなく、順番と重さが必要でした。ここで必要だったのは、良い教育資料を一発で作ることではありませんでした。むしろ逆です。

清書させる前に、教える内容を分けてもらう。

元の説明が散らかっていると、AIはそれをきれいに整えてくれます。ただ、散らかったものが、散らかったまま整います。

見た目は教育資料。でも、新人がどこから読めばいいかは分からない。なので、AIにやってもらいたいのは、新人の先生役ではありません。

教える側の散らかった説明を、一度ばらして、並べ直すことです。

たとえば、新人に話すつもりの内容を、そのまま箇条書きで書き出します。

きれいな文章でなくていいです。
むしろ、きれいにしなくていい。
順番が多少ぐちゃぐちゃでもいい。

「業務の流れ」
「使う資料」
「新人がつまずきそうなところ」
「昔はこうだったけど今は違う話」
「絶対に雑に覚えてほしくない注意点」

こういうものを、書き出してみます。

もちろん、会社の情報をそのまま入れるわけではありません。会社の情報を扱う場合は、会社で認められた環境とルールに従う。必要に応じて、固有名詞や具体的な数字をぼかす。ここは雑にできません。

そのうえで、いきなり「教育資料にしてください」とは頼まない。

まず、こう頼みます。

この説明を、新入社員が初日に知らないと作業が止まること、1週間以内に覚えればよいこと、あとで理解すればよいこと、用語説明が必要なこと、実務で注意すべきことに分けてください。分からない点や、説明が不足している点もあわせて列挙してください。

たとえば、こんなふうに分けられます。

【初日に知らないと作業が止まること】
・使用する資料の場所
・最初に確認する業務フロー
・作業前に必ず見るチェック項目

【用語説明が必要なこと】
・社内だけで通じる略語
・資料名として残っている古い呼び方
・現場でだけ使われている言い回し

【その他・補足】
・昔は紙で回していた話
・前任者が苦労した話
・定年後に蕎麦屋を始めた人の話

的確ですね。無駄話してすまんかった。

この通り、これだけでも、かなり見え方が変わります。自分では一続きの説明だと思っていたものが、実は分かれます。新人にとっては、この分かれ方が大事です。

新人に最初に渡すべきなのは、こちらの苦労話ではない

先ほどの仕分けを見ていただいた通り、AIは冷酷…というよりは冷静です。仕事ができます。その仕分けをもとに、新入社員が今の仕事で迷わないための入口を作るのが大事です。

もちろん、過去の経緯にも意味はあります。

なぜ今のルールになっているのか。
なぜこの注意点を外してはいけないのか。
なぜこの資料を軽く扱うと後で困るのか。

そういう背景は大事です。

ただ、最初に全部出すと重い。

だから最初は、完璧な教育資料ではなく、今の仕事で迷わないための入口を作ってあげればいいと思っています。

これは初日に見ること。
これは今週中に覚えること。
これはあとでよいこと。
これは分からなくなったら確認すること。
これは雑に扱うと後で痛い目を見ること。

そのくらいでいい。

使うときは、この3つだけ見る

まとめると、新人向けの説明をAIに整理してもらうときは、まずこの3つの観点で見てもらえればいいと思います。

初日に知らないと作業が止まることは何か
あとで覚えればいい話や昔話が混ざっていないか
用語と注意点に、理由がついているか

今回は、まず自分が新人に話すつもりの内容をAIに仕分けてもらう、という使い方です。

立派な教育資料を作る前の、手前の手前。

ここからでいいと思います。

まず、自分が新人に話すつもりの内容を出す。

それをAIに仕分けてもらう。

いきなり立派な教育資料を作らなくていい。

話すつもりのことを出す。

分けてもらう。

初日に必要なことを前に置く。

それだけです。それだけなんですが、意外とやっていません。

新人が迷子になる前に、まずこちらの説明が迷子にならないために、AIに仕分けをお願いしてみませんか。

ただし、仕分けたあとで古い教育資料に追記を始めると、今度は資料の最後に「追加事項」という新しい島ができます。

その島をどうするかは、次回にします。


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推進室長さん|JTC生成AI業務推進室 面白かったら、推進室の活動費を少し置いていってくれると嬉しいです。次の執筆の原動力(コーヒーかハイボール)になります。