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AIで仮説思考はどう変わるか|AI時代、「考える仕事」の中身が変わり始めている

生成AIの進化によって、要約、比較、調査、下書きなどにかかる時間は短くなっています。その中でも最近、特に大きな変化が起き始めているのが、仮説思考です。

以前は、情報を集め、整理し、考え、仮説を立てるまでにかなり時間がかかっていました。しかし現在は、AIが、「情報整理→比較→パターン抽出→アイデア生成」を以前より短時間で処理し、幅広い選択肢を出せるようになっています。

すると、「仮説思考そのものは、どう変わるのか?」という問いが出てきます。

今回は、
AIが仮説思考をどう変えるのか
・人間側に何が残るのか
・AI時代、思考の価値はどう変わるのか
を整理してみます。

仮説思考とは何か

まず簡単に言うと、仮説思考とは、まず仮の答えを置いて考える思考法です。
たとえば、
・なぜ売上が落ちているのか
・本当の課題は何か
・どこがボトルネックか
などに対して仮の答えを置いて考えます。

最初から完璧な情報を集めるのではなく、「まず仮説を立てる」ところから始める。これは、コンサル、経営、企画、新規事業などで特に重要な考え方です。

以前の仮説思考は情報不足と戦っていた

従来の仮説思考では、まず、情報を探す、資料を読む、市場を調べる、競合を分析する、といった仮説のベースとなる情報収集をする必要がありました。
生成AI登場以前は、その情報収集コストがかなり高かった。そのため、良い仮説を立てるには、経験、業界知識、調査力が非常に重要でした。

AIは仮説材料を大量生成できる

ここで生成AIが登場します。
現在は、AIへ問いを投げると、
・仮説候補
・要因整理
・比較軸
・市場視点
・競合視点
などについて、大量の情報を整理できます。AIは、仮説の材料生成と非常に相性が良いため、仮説思考の進め方そのものが変わり始めています。

AIによって思考の初速が上がる

以前は、「何から考えればよいかわからない」状態がありました。
しかしAIは、大量の仮説の材料から、
・視点候補
・仮説パターン
・論点整理
を非常に短時間で出せます。AIは、考え始めるためのベースを素早く提供してくれるので、その結果、思考を始めるまでの時間が短くなります。

AIは典型仮説は得意

まず押さえておきたいのは、生成AIの得意分野です。生成AIは、大量の知識パターンを学習しています。そのため、一般的要因、よくある課題、典型パターンを出すのは得意です。たとえば、「売上低下要因」「離職原因」「DX失敗要因」などです。AIは、典型仮説を大量生成することが得意です。

しかし本当に注目すべき仮説は別問題

ただし、ここからが仮説思考の難しいところです。現実の仕事では、単なる一般論では足りません。本当に重要なのは、
・この会社特有の問題は何か
・この市場で何が起きているか
・本当のボトルネックはどこか
です。
仮説思考では、文脈理解が欠かせません。ここはまだ、人間側の役割が大きい領域です。

仮説思考では現場感覚が欠かせない

また良い仮説は、単なる情報整理だけでは生まれません。そこには、現場観察、違和感、人間理解、空気感などが関係します。現場を見る力の価値はより高まると言えるでしょう。

AIは可能性を広げ、人間は重要性を選ぶ

ここはかなり本質的です。AIは、大量の仮説、視点、パターンを出せます。
言い換えると、可能性空間を広げることが得意。一方、人間側は、どれが重要か、どれを深掘るか、どこへ賭けるかを決める。

つまりAI時代では、
AI→ 可能性生成
人間→ 重要性判断
という役割分担が起き始めていると言えるでしょう。

AIによって思考量はむしろ増える可能性がある

一見すると逆説的ですが、AIによって、仮説候補は大量に出せます。すると逆に、「どれを考えるべきか」という判断の比重が増えます。むしろAIによって思考が減るというより、考える範囲が広がり、思考量は増えることになるでしょう。

AIはそれっぽい仮説を作ることもある

一方で注意も必要です。生成AIは、もっともらしい仮説を作れます。しかし、実態とズレていたり、現場感覚と違っていたり、一般論に寄りすぎていたりする場合もあります。そのためこれからは、仮説を出すことより、仮説を検証することの重要性が高まります。

仮説思考は共同作業へ変わる

以前は、人間が、考え、仮説を作り、整理していました。しかし現在は、AIが、仮説候補を出し、論点を整理し、比較してくれます。今後の仮説思考は、人間単独の思考ではなく、AIとの共同作業が前提になっていくでしょう。

AI時代、人間は「仮説設計者」へ

ここまで整理すると、人間側の役割も見えてきます。
現在はAIが、情報整理し、比較し、仮説候補を出すといった役割を担いつつあります。すると人間側には、問いを立てる、違和感を持つ、優先順位を決める、文脈を理解するといった役割が残ります。

つまりAI時代では、人間は、「情報処理者」から、「仮説設計者」へ役割を移していく必要があると言えるでしょう。

コンサル・経営・企画では特に変化が大きい

このテーマは特に、コンサル、経営、企画、新規事業などで影響が大きいです。なぜならこれらは、本質的に、仮説を立てる仕事だからです。
特にこれらの仕事では、情報整理や資料作成よりも、「どんな仮説を立てるか」の価値により一層フォーカスされるようになるでしょう。

AI時代、考える力は消えるのか

ここはかなり重要です。AIが仮説を出せるようになると、「人間は考えなくなる」という不安も出てきます。しかし実際には、AIによって逆に、
・問い
・判断
・検証
・文脈理解
の重要性が高まります。AI時代では、考える力が不要になるのではなく、考える力の役割が変わり始めていると言えるでしょう。

実務家メモ

AI時代に価値が高まるのは、「情報をたくさん知っている人」ではなく、「良い仮説を立てられる人」である。

この視点は、AI時代の仕事を考える上で示唆的です。
生成AIによって、
・情報整理
・比較
・仮説候補生成
は一度に多くの候補を扱えるようになっています。
しかしその一方で、
・何を疑うか
・どこを深掘るか
・何を重要と見るか
は、人間側に残りますが、AIによって考える時間が生まれます。AI時代に差がつくのは、「何を考えるべきか」を設計できる人なのかもしれません。


次回は、「AIで経営分析はどう変わるか」として、AI時代の分析業務について考えてみます。

仮説を立てた後に必要になるのが、その仮説を検証するための分析です。生成AIは、情報収集や比較、要因整理などの手間を大幅に減らせるようになりました。しかし、本当に重要なのは、分析結果そのものではなく、「何を読み取り、どう判断するか」です。

AIによって経営分析はどのように変わるのか。そして人間に残る役割は何なのか。次回は、AI時代の経営分析について整理してみましょう。

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