AIを開発するための契約 ― 請負契約と準委任契約|AIに関する法律と契約#8
AI開発委託契約 ― 請負契約と準委任契約
AIを自社だけで開発することが難しい場合、外部のベンダーや開発会社に委託するケースは少なくありません。
その際に重要になるのが、AI開発委託契約の内容です。
AI開発は不確実性が高く、成果が事前に確定しにくいため、一般的なシステム開発契約とは異なる注意点があります。
請負契約と準委任契約の違い
AI開発委託契約でまず理解しておきたいのが、請負契約と準委任契約の違いです。
請負契約:完成した成果物を引き渡すことが目的
準委任契約:作業やプロセスを遂行することが目的
従来のシステム開発では、仕様を確定させたうえで請負契約を結ぶことが一般的でした。しかし、AI開発では「やってみないと分からない」要素が多く、成果物の内容や精度を事前に完全に定義することが難しいのが実情です。
そのため、PoCや検証段階では、準委任契約の方が現実に合っているケースが多く見られます。

具体的な開発手法、ウォーターフォールとアジャイルに関してはこちらの記事をどうぞ
成果物の定義と責任範囲
AI開発委託契約でトラブルになりやすいのが、成果物の定義です。
たとえば、
学習済みモデルが成果物なのか
学習用データやコードも含まれるのか
精度や性能はどこまで保証されるのか
といった点を曖昧にしたまま契約すると、認識のずれが生じやすくなります。
AI開発では、「一定の精度を必ず達成する」といった保証が難しいため、責任範囲を現実的に設定することが重要です。
知的財産権の帰属
AI開発委託契約では、知的財産権の帰属も重要な論点です。
開発したモデルの権利は誰に帰属するのか
ソースコードの著作権はどうなるのか
学習済みモデルを再利用できるのか
これらを事前に決めておかないと、後になって事業展開の妨げになる可能性があります。
特に、委託先が同様の技術を他社向けに使うことを許容するかどうかは、慎重に検討すべきポイントです。
トラブルを防ぐ契約上のポイント
AI開発委託契約では、次のような点を明確にしておくことが望まれます。
開発の目的と範囲
成果物の内容と評価方法
データの取り扱いルール
知的財産権の帰属
責任の範囲と免責
AI開発は試行錯誤が前提となるため、柔軟性を持たせた契約設計が重要です。
契約は、リスクを回避するためだけでなく、円滑な協業を実現するための土台だと考えるとよいでしょう。
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