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【ショートショート(700字)】流れ星 #シロクマ文芸部

流れ星カードというものが、子どもの頃流行った。雑誌の付録だ。
願いがかなうというので、みんなが持ち歩いていた。

流れ星ねぇ、とアヤちゃんは言った。
「流れ星に願いごとすると、かなうって言うでしょ。あれはメイシンよ。あんな短い間に願いごとなんて、誰も言えないもん」

ふうん、とわたしは言った。
アヤちゃんはあまのじゃくだ。いつもすまして、そんな冷めたことを言う。
でも、わたしは知っていた。アヤちゃんが「流れ星カード」を下敷きの中に、大事にしまっていることを。


アヤちゃんと夏祭りに行った帰り道は、満点の星空だった。
するとふいに、ぴかぴかと点滅する星が現れた。わたしたちは、あっ、とさけんだ。

「飛行機に、たくさん乗れますように。毎日毎日、乗れますように」
アヤちゃんはぴかぴかの星にむかって手を合わせて、迷わずに早口でとなえた。

でもその星はまったく消えずに、ゆっくりと空を横切るのだ。

「アヤちゃん、あれ飛行機かもよ」
わたしは言った。以前ママに、そう教えられたことがあったから。

「わかってるよ」
アヤちゃんはむきになって言い返した。
「飛行機だから、飛行機に乗れますようにってお願いしたんだもん」

ふうん、とわたしはあきれてこたえた。まったくアヤちゃんは、あまのじゃくな上に意地っ張りだ。


大人になりアヤちゃんは、CAになった。

「アヤちゃん、夢がかなったね。飛行機に毎日乗れますように、って一生懸命お願いしていたもんね」

「そんな他力本願じゃないわ」
からかうわたしに、アヤちゃんはすまして言った。

アヤちゃんが手帳に今でも「流れ星カード」を忍ばせているのを、わたしは知っている。

相変わらず、あまのじゃくで意地っ張りなアヤちゃんだ。


〈おわり〉



はじめて企画に参加させていただきました。
小牧幸助様、ありがとうございます。

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