モンブラン失言(410字)【毎週ショートショートnote】
「なんでモンブランが嫌いかって?栗じゃないからだよ」
事務椅子にもたれて語る佐藤に鈴木は、いや栗ですよ、と反論した。
「栗のホクホク感もない、蕎麦みてえな変わり果てた姿にしやがって。あれは栗を名乗る、別の何かだ」
美味しいのにね、と言う鈴木に、後輩田中は頷いた。
「鈴木さん、駅前のパティスリーSO、モンブランが美味しいんですって。今度行きましょ」
モンブランが売りの店なんてろくでもねえ、と佐藤が毒ついていると、事務所のドアをノックする音がした。
田中がドアを開けると、得意先の高橋が立っていた。
「あの、実は来月異動することになりまして。ご挨拶を」
手にはなんと、パティスリーSOの箱を持っている。
「あーっ高橋さん、わざわざすみません。どうぞどうぞ」
佐藤は途端に声のトーンを変えたが、高橋は気まずそうな顔をしている。
「絶対、聞こえていたよね」
箱を受け取った田中に、鈴木は耳打ちした。
箱を開けると当然のように、モンブランが並んでいた。
〈おわり〉
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加します。
モンブラン嫌いの友人から話を聞いて、参考にしました。
私はモンブラン大好きです!
企画ありがとうございます😊
