自分あらば「好き」語り・その2──Ingress
先週に引き続き、木曜日は自分の「好き」を語る『自分あらば「好き」語り』です。
今回はスマートフォンによる位置情報ゲームの草分けともいえる、Ingressについてです。私はIngressをかれこれ10年以上プレイしています。
Ingressとの出会い
私がIngressというゲームに出会ったのは、2014年7月のことでした。もうすっかり記憶が薄らいでいますが、私の友人・知人にはいわゆる「アーリーアダプター」が多く、その影響で始めたことは確かです。
位置情報をゲームにするために編み出されたSF的な要素の詰まった世界観と、そんなマニアックな世界観からは拍子抜けするほどプレイの敷居が低く、1日5分くらいのプレイでも十分楽しいこと、また、射幸心を煽る要素がまったくといっていいほど存在しなかったことが、ハマった決め手だったと思います。2016年のポケモンGO登場までは位置情報ゲームといえばIngressしかなかったこともあることはありますが、ポケモンGOとIngressが出てくる順番が仮に逆だったとして、ポケモンGOにハマったかと言われると、そうはならなかっただろうと思います。
あれから11年が経ち、今でも毎日スキャナーを開き、日々の暮らしのなかでプレイを続けています。妻も2015年から始めており、ほぼ同じ期間を共にプレイしています。陣営は妻・私ともResistanceです。家庭内でポータルを巡って争ったことはありません。
ダークなようで、実は平和
Ingressは、いわゆる位置情報ベースの陣取りゲームですが、マニアックともいえるSF的な世界観が特徴です。世界中に点在する「ポータル」を通じて、エキゾチックマター(XM)という未知の物質を巡る攻防が繰り広げられます。AIの存在、人類の進化、XMによる人間の変異など、SF好きにはたまらない設定です。
世界観はダークでミステリアスですが、不思議と過激な暴力描写はありませんし、プレイヤーが死ぬこともありません。攻撃するのはあくまで敵陣営のポータルであって、敵陣営のエージェントを直接攻撃することは一切ありません。敵陣営のポータルを破壊するときにはカタルシスを覚えますが、人に対する憎悪とカタルシスはほとんど感じません。
Ingressの得意・不得意
Ingressには多様な楽しみ方があります。そして、人によって得意・不得意があります。これから書くのは私の例ですが、
ポータルをめぐるあれこれ
Ingressにおいて「ポータル」とは、文化的・芸術的・宗教的に重要な場所であり、人々が文化的な活動の目的地として歩いて行く場所です。そこには、人間の心身に対して「啓発的な」効果を及ぼす謎の物質XM(エキゾチック・マター)が密集しているとされます。言い換えると、文化的・芸術的・宗教的に重要な場所はIngressにおいても重要な場所ということです。ですので、ポータルを訪れることは、その地域を再発見することも意味します。私は、その点にも惹かれています。
ポータルをハックすると「ポータルキー」を入手できることがありますが、このポータルキーは実際にその場所に行かないと入手できないようになっているので、その場所に行った記念となります。
ポータルへの移動手段はなんでもいいのですが、ほとんどのポータルは最後は徒歩で行かないとたどりつけません。そのため、歩く習慣が自然と身につきました。また、徒歩での移動は、交通手段を使った移動とは違い、多くの発見があります。
結果、徒歩での移動を楽しみながら、ポータルをハックしたり、コントロール・フィールドを作成したりすることで、運動不足の解消にもつながっています。
コントロール・フィールドづくりのおもしろさ
Ingressは、最終的にはポータルを自分の陣営の支配下に置いた上で、ポータル同士をリンクさせます(線で繋いでいきます)。リンクが三角形を構成すると、その三角形が陣営の色が付いた「コントロール・フィールド」となり、より多くの人を自分の陣営のフィールドに入れる(地図データと連携した人口密度データから判定されます)ことで、そのタイミングでの勝敗が決まっていく仕組みです。
ですからIngressは、現実の地理上にコントロール・フィールドをいかに作っていくかというところが、面白さのメインディッシュといえます。日本全体をコントロール・フィールドに沈めることを狙うエージェントもいれば、地図上で見たときの美しさを狙うエージェントもいます。また、コントロール・フィールドの組み方次第では、コントロール・フィールド色がどんどん濃くなっていく「多重フィールド」になります。私はというと、プレイする範囲は非常に狭いものの、いわゆる「ポータル密集地」と呼ばれる地区で、密に多重フィールドを組むというパズル的な要素に魅力を感じています。
グリフハック
グリフハックも好きです。Ingressにおいて「グリフ」というのは多角形で表現された単語、またはそれを繋いだセンテンスを指します。ひとつのグリフはいくつかの英単語に対応していて、センテンスにも基本的には意味があります。したがって、Ingressが持つ世界観にまつわるメッセージが「グリフ」という形で隠されています。グリフハックとはそのグリフを扱ったパズル的なミニゲームで、瞬間的に表示されたグリフをエージェント(プレイヤー)に覚えさせ、制限時間内に再現させるというものです。これは、リズムゲームにも似た面白さがあります。特に難易度の高いグリフで成功すると、ちょっとした達成感があります。
リアルタイムのポータル攻防
瞬発力を要求されるリアルタイムのポータル攻防は、あまり得意ではないものの、これも楽しみのひとつです。
普段は黙々と誰とも会わずにプレイしていますが、一度だけ、敵陣営の強力なエージェントと鉢合わせになってしまい、ポータル防衛を試みました。残念ながら、結局はポータルを守りきれませんでした。あのときの悔しさは今でも少し覚えています。
ところで、リアルタイムのポータル攻防が頻繁に発生するイベントが、Ingressにはあります。それが「アノマリー」です。
アノマリー
Ingressの「アノマリー(Anomaly)」とは、エージェント(プレイヤー)がリアルな場所に集まり、陣営(Enlightened または Resistance)に分かれて競い合う特別なゲームイベントで、Nianticが主催しています。つまり、公式イベントです。主な特徴は以下の通り。
リアルイベント:特定の都市で開催され、世界中からエージェントが集まります。
陣営対抗戦:Enlightened(緑)陣営とResistance(青)陣営が、ポータルの占拠やリンク、フィールド構築などを通じてポイントを競います。
戦略とチームワークが重要:事前の準備、当日の指揮系統、リアルタイムでの連携が勝敗を大きく左右します。
アノマリールール:通常のIngressとは異なる特別ルールやターゲットポータルが設定されます。
記念アイテムやメダル:参加者には記念メダルが授与されることもあります(条件付き)。
これまで参加してきた公式イベント(アノマリー)も、思い出深いものばかりです。2015年のPersepolis仙台、2016年のAegis Nova東京、そしてVia Lux高松では、その翌日、瀬戸大橋を渡って岡山まで足を延ばし、当時の牧師がIngressのエージェントでもあった教会で礼拝に出席するという貴重な体験もしました。2017年には13MAGNUS Reawakensにリモートチャージで参加し、さらにEXO5にも現地参加。2020年以降はコロナ禍もあり、イベントには足が遠のいてしまいましたので、2019年のDarsana Primeが、現地参加としては最後のアノマリーになっています。

ストーリー
Ingressの魅力は、ゲームの中に留まりません。Ingressというゲームの設定の背後には壮大なストーリーがあり、いくつかコミカライズが出ています。
2018年にはアニメーション作品も公開されました。登場人物の中では、ジャック・ノーマンが特に印象に残っています。
SWAG
Ingressは、物理的な形で世界に触れられるのも楽しいところです。ストーリーが充実しているので、Ingressは同人的な楽しみ方ができることも特徴です。特にSWAG(同人グッズ)は公式に奨励されていることもあって非常に多く、私もいろいろと購入しました。

Ingressが続いている理由
Ingressと同じような位置情報ゲームにはポケモンGOやピクミンブルーム、ドラクエウォークやモンスターハンターNowなどもありますが、私がいまも続けていると言えるのはIngressです。遊び方が多様で、自分のペースでできるという点が一番重要で、おそらく私は10年Ingressを続けている中ではそんなに「成績」がよいほうではないはずなのですが、いわゆる「ログインボーナス」に相当する「Sojourner」だけは3,700(日)を突破しています。これはおそらくそれなりに誇れることは誇れる数字なのですが、起動するだけでも達成感があるというのは、続く理由だと思います。
Ingressは、私の暮らしにとって、単なるゲーム以上の存在です。日常の中に溶け込み、時に旅の理由となり、時に、家庭の重要な話題、あるいは議題にすらなっています。
この深みと広がりを、これからも味わっていきたい。そのように思いながら、今日も自宅周辺のポータルを回り、静かにリンクを張り、小さなフィールドを重ねています。

