情報処理安全確保支援士試験受験から4年
4年前の秋に試験を受けて合格したことがきっかけで、情報処理安全確保支援士の資格を持っています。
業務独占ではないのにもかかわらず維持費用が高額なことで有名な情報処理安全確保支援士資格ですが、私の場合、特に会社から指示や勧めがあって取得したわけではありません。
では、なぜ?
と問われそうです。きょうはそのことを書きましょう。
といっても、合格体験記でもノウハウでもありません。その点は何卒ご容赦ください。
なぜ受験したのか
なぜ情報処理安全確保支援士試験を受けようと思ったのか、実はいまだに自分でも謎なところがあるのです。「業務独占ではないのにもかかわらず維持費用が高額」という先入観があったので、情報処理安全確保支援士になっていいことがあるとまでは、思わなかったのです。
もともとは、以下のような流れでした。
当時の部下が支援士を受験したいと言った。
h12oさんはセキュリティの専門性があるのでいろいろ教えてほしいと言われた。実際、CISSPの資格は持っていたし、セキュリティに関する業務の実務経験もあった。棚ぼた感はあるがCVEを発見する幸運にも恵まれていた。
ところがh12oは支援士試験に合格したわけではない。
ならば受験する前提で一緒に勉強すれば、後ろめたさもなく教えられるだろう。合格するならば御の字、と思った。
さすがに「合格するとは思わなかった」とまでは言いませんが、合格率約20%とは聞いていたので、自信はありませんでした。
勉強法
とはいえ、部下に言い切ったからには勉強しました。実際のところはこんな流れでした。
8月にも申し込む。仕事が忙しくて勉強に手がつかず。
9月も仕事が忙しくて勉強に手がつかず。
さすがにまずいと思って対策を考えていたら、試験会場となりにホテルがあるのを見つけて、試験前々日の金曜日から日曜日まで宿泊して、午前I・午前IIの試験勉強に充てることにする。
10月8日、ホテルにチェックイン。10日の試験日まで宿泊。直前に調達した問題集に掲載された午前I・午前IIの問題をカンニングして、知識不足を補う。
さすがに、実務経験がないわけでないので、知識不足を補えば合格できなくはないという目星はついていたものの、万人におすすめできる勉強法ではありません。
なぜ受験したのか(2度目の問い)
CISSPのときも思ったのですが、私には「資格でキャリアアップ」という考えがありません。
CISSP受験時は、当時勤めていた会社には私よりセキュリティに詳しいプロフェッショナルは多数いましたから、いま思えばまったくそんなことはなかったのに、「この先セキュリティエンジニアとして仕事をすることはないだろう」と思っていて、CISSP受験はよくいえば「いままでの総復習」、雑にいえば「記念受験」でした。当時の会社に対してどうこう言う意味はまったくないのですが、業務命令ではなかったので受験費用は自腹でしたし。
さすがに、情報処理安全確保支援士の受験時は「記念受験」とまでは思わなかったものの、「いままでの総復習」であったことは確かです。
なお、午後の試験対策はまったくしていなかったのですが、解いてみた感触でいえば、実務経験に基づく実力が率直に反映される良問揃いでした。合格点ギリギリではなかったものの、優・良・可でいえば可どまり。セキュリティエンジニアとしてはまだまだ、のびしろがあると思わされた点数でした。
人生の役にはたっている
情報処理安全確保支援士といえば、毎年のオンライン講習と、3年に1度は必須の実践講習。金銭的にも時間的にもコストはかかりますし、実効性に疑問を持たれる方もいらっしゃいますが、私自身は、自分の仕事人生の役にたっているかどうかでいえば、役にはたっていると思っています。
50台になって見えてくるのは自分のさまざまな綻びでしょう。
キャリアを積んだ割には、基本的なところで抜けているところが、少なくとも私には、あると言わざるを得ません。スマートに、涼しい顔で、仕事をこなしているという感覚は、まったくありません。
ですが、情報処理安全確保支援士の講習で思い出すのは、そういう知識や実力の抜け漏れです。
いつぞや書きましたが、
セキュリティの仕事は常に総力戦であり、総合格闘技のようなものです。すべてを完璧にキャッチアップするのは不可能ですし、「100%理解している」と言い切れる分野などありません。その現実に対する焦燥感もあります。しかし一方で、新しいことを学び、知識をつなげ、できることを増やしていくしかありません。
そのことを思い出させてくれる。その意味で、情報処理安全確保支援士試験から4年、4年前の自分に対して、そのときの決断が人生の役には立っている、というふうには、言い切れると思っています。
この話のオチ
そうそう。
7時間におよぶ試験は、途中で帰る人も多数。気がつくと、午前Iで抜ける人、午前IIで抜ける人、午後Iで抜ける人、そして午後IIの途中で抜ける人。最後までいた受験者は、試験室に最初いた人の2割くらいでしょうか。合格率が20%ならば、最後までいる人はだいたい受かる、のかもしれない。
疲労困憊を絵に描いたような顔をして「最後まで耐え忍ぶ者は救われる」ってこういうことか?と思いながら(たぶん違います)、家に帰りました。試験会場から家までの最短ルートを選ぶ思考力が残っておらず、かなりの遠回りで、途中喫茶店に寄りながら、休み休みの家路でした。
そしてその後、部下に「試験どうでした?」と尋ねてみました。
「……無理だと思って、あきらめました」
一緒に試験を受けたと思ったのに……

いまは閉館しているそうです。
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