【体験談】『アンソロジスト』から生まれた文章講座第四期
こちらは、「『アンソロジスト』から生まれた文章講座第四期」の体験をまとめた記事です。
この文章講座は、主催者である田畑書店の『ポケットアンソロジー』を使用して、自分だけのアンソロジーを編みます。更に、アンソロジーのテーマに沿った作品を執筆、校正、製本します。
色々な作家の短編と共に自身の作品もアンソロジーの中に収録できる、世界に一つだけの本を手に入れられる講座です。
この講座に参加できる機会を得られましたので、当時の体験を記事にまとめました。
私は、田畑書店とコラボした『文豪とアルケミスト』をきっかけに参加しました。講師から、私のような『文アル』を理由に参加した人がいて嬉しいと言ってくれました。
なお、主催者に体験談を掲載する許可を得ています。講座で教えた内容や参加者に配慮して書きました。
第一回「文章講座の流れ」
● 講座の作業
この講座では、田畑書店で既に販売されている『ポケットアンソロジー』から作品を5つ選書し、選んだ短編の共通するテーマに沿った作品を執筆します。
講座の詳しい説明は、講師の太田靖久さんのnoteの記事に書いてありますので、こちらをご覧ください。
全体の作業の流れを簡潔にまとめると以下の通りです。
1.ポケットアンソロジーの作品を読む。
2.アンソロジーにまとめる作品を選び、テーマを見出す。
3.テーマに沿った小説またはエッセイをひとつ書く。
2週間に1回のペースで2か月間、選書、執筆、校正、製本の作業をします。
執筆に慣れている人でも難しいスケジュールですが、講師の皆さんが手厚く丁寧に参加者の作業をサポートしてくれます。気軽に作業の質問や相談ができたので、とても安心しました。
頼もしい講師の皆さんのおかげで、私も自分だけのアンソロジーを手に入れることができました。
● 講座に参加する前に
『ポケットアンソロジー』はおよそ200作品もあり、また作品リフィルセットからも選書可能です。『ポケットアンソロジー』の作品は、ほとんど「青空文庫」で読むことができます。
私個人の体験ですが、講座が始まる前に作品を5つ選んでおくと、今後の作業が捗りやすくなります。
● 小説の書き方
講師の太田さんが小説の書き方を参加者に指導します。
太田さんの説明がとても分かりやすく、指導内容も実行しやすかったです。小説を書くのが初めての人にも分かりやすい説明だと思います。今後の執筆活動に役立ちそうな書き方をたくさん学びました。
文章指導のほかに、小説が書けないなどという悩みや相談にも応えてくれます。私も執筆の悩みを打ち明けたら、目が覚めるような言葉を返してくれて、気持ちが晴れやかになりました。
参加者の気持ちに寄り添って、安らぐ言葉をかけてくれる良い講師です。
● 小説のプロットの提出
さっそく執筆に向けて、講師から第二回の講座前に、小説のプロットを提出するよう指示されました。配布された用紙に、選書した『ポケットアンソロジー』の作品5つと小説のプロットを書きます。
第二回「作品のプロット」
● プロット公開
プロットを元に、参加者全員どんな作品を書きたいのか、講師と10分ほど対話をしました。
小説家の太田さんと田畑書店の編集長の大槻慎二さん、二人と話し合いながら小説の全体像を見ました。
小説家と編集長、それぞれの立場から参加者の書きたい小説を一緒に考えてくれましたので、安心して小説を書く第一歩を踏めました。

● 自分が編んだアンソロジーについて
私が編んだアンソロジーのテーマは、「読書家・新美南吉に贈るアンソロジー」です。選んだ短編は以下の通りです。
『デンデンムシノカナシミ』、『藪の中』、『高瀬舟』、『やまなし』、『西班牙犬の家』。
小説の内容を簡潔に言うと、「私」という語り手が南吉の読書記録を元に、各々の作家の作品と南吉とのつながりを話します。南吉が想う文学を代弁した小説です。
2024年の夏ごろに南吉の養家を訪れて以来、私は彼への想いを文章にまとめたてみたかったのです。なので、今回の講座の小説で書きました。
詳細は、同じくnoteの記事に載っています。
● プロットを立てて見て
小説を書く前に、自分の書きたい小説は、いったいどのジャンルが良いのかと考えるのにとても役に立ちました。
この小説のジャンル選びが個人的に重要だったので、組み立てられたプロットから、どんな作品を書きたいのか、じっくりと考えられる良い機会を得られました。
● 作品の第一稿の提出
第三回の講座前に、作品の第一稿を期間内に提出します。
提出すると、講師から作品に関するコメントが送られます。なお、メールで執筆の相談をすることもできます。
第三回「作品の第一稿」
● 第一稿の公開
講師たちが、それぞれの第一稿の感想を言い、執筆の指導をします。
アマチュアからプロまで数多くの作品を読み込んできた講師たちなので、作品の中に潜む参加者の言いたいこと・書きたいことを読み取ってくれます。
参加者の書きたい気持ちを尊重して作品のことを話してくれますので、私の第一稿の時も安心して耳を傾けられました。
参加者の作品によって助言の内容は異なりますが、中には自分の執筆に関わりそうな話もあります。自分のことでなくとも、思わぬところにヒントが出てきて、今後の執筆活動に活かせる貴重な時間を過ごせました。
● 作品の第二稿(完成稿)の提出
第四回の講座前に第二稿を期間内に提出します。この第二稿で作品の完成を目標に執筆します。
メールでの執筆の相談について、私はほとんど講師に相談をしませんでした。ですが、文章にしたら打ち明けられる悩みについて相談をしました。
● 講師たちとの会話
講座に参加している間は、講師たちと小説の書き方や文学に関する質問などを話す機会がたくさんあります。普段、なかなか話すことがない職業の人と一緒に会話する絶好の機会です。
私は、「文アル」の話題を持ちかけて講師たちと一緒にお話しました。
第四回「第二稿(完成稿)及び校正」
● 第二稿の公開
講師たちが、第一稿と比較して第二稿について語ってくれます。追加された文章や修正した箇所、書き換えた表現など、参加者が工夫した点に注目して作品を批評します。特に、参加者の努力がうかがえる書き方には激励の言葉をかけてくれます。
とても褒め上手な講師たちなので、私は励ましの言葉を聞いて、2か月で完成稿まで辿りつけられて、心底良かったと清々しい気持ちになりました。
● 第二稿の校正
印刷された自身の第二稿に、校正する箇所を手書きで記入します。
参加者が自ら手掛ける作業は、この校正で終わりです。校正は赤ペンなど色のある文具を使って、修正してほしい箇所を書きました。
あとは、製本を田畑書店の皆さんにおまかせして、自分の作品リフィルの完成を待つのみです。完成までの2週間、ずっとそわそわしながら過ごしました。
第五回「最終講座・作品リフィルの贈呈式」
● 作品リフィルの贈呈式
講師から一人ひとり、作品リフィルを受け取ります。事前に用意したアンソロジーに入れる分のリフィルもあるので、1人21部渡されます。
2か月で書いた小説が本となって、私の手元に来た時は身体が震えるぐらい感動しました。

● 作品の初校と再校の受け渡し
第四回で参加者自ら校正した後に、編集者が更に原稿の確認と校正をします。前々から、プロの編集に校正を任せてみたいと思っていたので、夢が叶って嬉しいです。

●「アンソロジスト賞」と「優秀作」
作品リフィルの贈呈式後に、文章講座で作られた作品の中から2つの賞を選びます。
「アンソロジスト賞」に選ばれると、田畑書店発行の雑誌『アンソロジスト』に掲載されます。また「優秀作」は2名選ばれ、作品の掲載はありませんが、作品名と作家名が載り、講師が批評を書いてくれます。
● 参加者の批評会と交流会
最終講座では、参加者同士の批評会と交流会が開かれます。互いに作品リフィルを交換して、感想を言い合う人がたくさんいました。
交流会に参加してみて、私は他の参加者と第一回の講座から、もっと話した方が良いと思いました。予想以上に、自分と共通する話題や趣味を持った人がたくさんいて驚きました。
第一回の講座で自己紹介をしたら、もっと交流が深まると感じました。また、参加者の作品の読書会があったら、もっとつながりが増えて楽しそうです。
最後に
● 文章講座に参加してみて
経験をお金で買うことに以前は抵抗がありました。そこまでしなくても、経験できる機会は至る所にあり、無償でも得られます。
ですが、この文章講座に参加して考えを改めました。お金の価値以上の経験がある、そう教えられました。
講師の太田さんの小説の書き方は、本当に分かりやすく、更に実行しやすかったです。また、太田さんと大槻さん、二人の文章指導や参加者へのアドバイスには、長年の経験で得た技術力と説得力、そして文学への熱い想いがありました。お話を聞けてとても光栄です。
初めて参加した文章講座が、「『アンソロジスト』から生まれた文章講座」で本当に良かったです。
● 終わり
2週間に1回の楽しみがなくなってしまいましたが、文章講座で得た経験や知識を大事にして、私は今後も執筆活動を続けていきます。
改めて、田畑書店と週刊読書人の皆さん、たいへん素晴らしい文章講座を開催してくださり、本当にありがとうございます。
