何億年も待たせるなら、いい原稿をください|ライターと編集、両方やってわかった締切のこと
ライターを始めた頃、尊敬する編集者さんからこんなことを言われた。
締切を守らないライターはいる。
でも、それが許されるのは、遅れて出した原稿を読んで『さすがだな』と思わせられる人だけ。
駆け出しなら、せめて締切は守ったほうがいい
駆け出しで、文章にも自信のなかった僕は、「その通りだよなあ」と思い、これまで締切だけは守ってきた。
単純。
とはいえ、追加取材をしたいとか、どうしても煮詰まって間に合わないときは、事前に締切を延ばしてもらうこともある。
ただ、編集者に「原稿まだですか?」と催促されたことは記憶にない(都合の悪い記憶を抹殺しているだけかもしれないけど)。
そんな僕も、ここ数年は編集側に立つことが少なからず増えた。
すると今度は、人の原稿を待つことになる。
当たり前だけど、僕なんかよりはるかに取材やライティングが上手な人もいる。
一方で、げんなりする人もいる。
そのひとつが、さっきも書いた締切だ。
「この世に期限なんてものはねえのか」と思うくらい、しれーっと原稿を出さない人もいる。
事前に「期限を延ばしてほしい」と言ってから、何億年も音沙汰がない人もいる。
まあでも、そこで僕はイライラすることもなく、逆に、
「そこまで待たせるんやったら、ええ原稿待ってるで〜」
と期待するのである(エセ関西弁)。
そして、上がってきた原稿を読んで、
「おーー、やっぱりこの人すげえな」
と思うこともあれば、
「こんだけ待たせて、これですか」
と失望することもある。
そのあと?
すごい文章を書くライターには、「締切守れないけどなあ」と思いながらも、次の仕事をお願いする。
「なんだかなあ」と思ったライターは、次の候補から外れる。
なんか偉そうな言い方だけど、結局そういうことになる。
原稿のうまさと、締切の正確さ。
両方あれば最高だけど、世の中そんなにうまくはいかない。
ライターになって9年が経った。
名刺には「ライター」と書いているけど、毎日のように、「文章って難しいなあ」と思い知らされる。
過去の自分の文章を読み返して、「恥ずかしいから消してくれー」と思うこともある。
たぶん、このジレンマはずっと続くのだろう。
それでも、仕事を依頼してもらえる限りは、毎回できるだけのことをしたいと思っている(真面目)。
とはいえ、締切を守っているのに依頼が来なくなったときは、そもそもライターの資質がないと思われただけなので、そのときはキッパリ足を洗って、ほかの道に行けばいいよね。
そのときは誰か、バイト紹介してくれ。
仕事はできないけど、朝は強いから遅刻だけはしないっす。
いろいろ書いたけど、自戒の念を込めて。
