見出し画像

たまご連絡。

土曜日の夜、カツレツを作る!冷凍も出来るんだってよ!と夫が意気込んで、買い物をして帰って来た。

だけど、生憎たまごが切れていた。その日の朝、ワタシが四つも一気に使ったからだ。朝寝坊してダラダラ起きて来てお腹が空いたと騒ぐ一番に、ただ焼いてパンと一緒に出したのだった。

たまごないよ、と言う私。
いや、結構あったよ、四つか三つくらい!と冷蔵庫を確認する夫。

夫はないことを確認したあと、ちょっとがっかりして、全部使うなら教えて欲しかったな、連絡したときは買うものないって言ってたけど、たまごはいろんなのに使うから。と悲しそうに言った。

夫は毎日、何か買うものはある?と連絡してくれて、その日もしっかりと連絡してきていた。たまごがないと把握しているのに、私たちは朝食べたし、夜は使わないだろう、と勝手に判断して、買うものないよ、と返事をしたのだった。

なんだか申し訳なくなった。

私は二番を妊娠している時、だいぶつわりがひどく、しかも長引いた。その頃から夫が料理を担当するようになって、二番を無事に出産した今でもその役割を続けてくれているのに、そのありがたさを忘れていた。

ここで、きのう何食べた?のケンジを思い出した。あの、伝説の玉ねぎを買いに行くシーン。すごく好きで、私は何度も見返している。

たまにしか料理しない旦那さんに使う予定だった材料を使われたらストレスだ、というようなセリフ。夫が今、まさに、この瞬間強く感じでいること。

私がケンジだったら、我が家から徒歩5分のコンビニにパッと出かけてたまごを買いに行くだろう。そのあと夫は、シロさんのように幸せを噛み締めるかもしれない。

しかし、残念ながら私はケンジじゃない。夫も私が夜一人で出かけることなんて望んでいないだろうと踏んだ。私が行くと言えば、夫は自分が行くと言いかねない。

だから、明日でいいんじゃない?と世の夫が言えば無神経だと批判されるようなことを夫に伝えた。心底、ケンジの素直さやフットワークの軽さが眩しかった。

私がぼんやりケンジのことを考えている間に夫はすでに切り替えていて、明日必ず買ってくるから、忘れさせないでね、と言った。
私は夫が大好きなので、夫に頼まれれば自分のできる範囲のこと、忘れずにいられることならなんだってする。つまり、時と場合によるのだが、このたまご連絡だけは絶対にしようと心に決めた。

朝ラインするね、と言うと、朝だけだったら忘れちゃうよ、どうせ連絡とって見れなくなるから、と夫が言う。
なので、何度か連絡することを決めた。
たまご連絡、たまご連絡、と寝る前に繰り返す。

次の日も私は朝から意気込んでいた。
ラインのやり取りの中で突然あらわれる、たまご買う、の吹き出し。
夫は午前中の間に二度ありがとうと言ったが、それ以降はスルーだった。

夫の帰宅前になると、30分に一度、たまご買う、とラインした。
夫は、たまごの他に買うものある?と連絡してきたので、ないよ!たまご!と伝えた。

これで、私の役割は終わったのだ。
私はやり遂げた。

夫は無事にたまごを買って帰宅し、私の申し訳なさを消してくれた。
これからは、これまで以上にたまごの気配を敏感に感じ取らなければいけないと思っている。

いいなと思ったら応援しよう!