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“Japan, One Small Hint at a Time” no.016|タバコは吸えるのに、吸える場所が見つからない

日本を旅していると、少し不思議なことに気づくかもしれない。

タバコを売っている店はある。
喫煙者もいる。
コンビニでもタバコは買える。

それなのに、街の中でタバコを吸える場所がなかなか見つからない。

これは、海外から来た喫煙者にとって大きな戸惑いになる。

道を歩きながら吸う。
公園のベンチで吸う。
カフェの外の席で吸う。
そういう感覚でいると、日本では少し困ることがある。

特に東京や大阪のような大都市では、路上喫煙を禁止しているエリアが多い。
駅前や繁華街では、指定された喫煙所でしか吸えない場所もある。

つまり日本では、「吸ってよいかどうか」より先に、「どこで吸ってよいか」を探す必要がある。

この違いは、意外と大きい。

日本では、タバコそのものを完全に排除しているわけではない。
けれど、煙がほかの人に届かないように、吸う場所を分けようとしている。

それは、健康のためだけではなく、周りに迷惑をかけないための設計でもある。

人が多い歩道。
子どもが通る道。
駅へ急ぐ人の流れ。
狭い商店街。

そこに煙が流れると、吸わない人には逃げ場がない。
だから、吸う人の自由と吸わない人の快適さを分けるために、喫煙場所が細かく決められている。

旅行者にとっての小さなヒントは、まず「smoking area」や「喫煙所」の表示を探すことだ。

駅の近く。
大きな商業施設の中。
空港。
一部のカフェや飲食店。
ホテルの喫煙スペース。

こういう場所には、指定の喫煙エリアがあることが多い。

ただし、見つけにくい場所にあることも多い。
ビルの奥、地下、屋外の端、商業施設の一角。
吸える場所はあるのに、すぐ目に入らない。

ここにも日本らしさがある。

必要な人には用意する。
でも、街の正面には出しすぎない。

タバコを吸う人にも、吸わない人にも、できるだけ衝突が起きないようにする。
そのために、喫煙場所は少し隠れるように置かれていることがある。

飲食店でも注意が必要だ。

以前より、店内で吸える場所はかなり減っている。
全席禁煙の店も多い。
喫煙室がある店もある。
電子タバコだけ可能という店もある。

入る前に、店頭の表示を見ると安心できる。
わからなければ、店員さんに「タバコ、吸えますか」と聞けばいい。
英語が通じなくても、身ぶりやスマートフォンの翻訳で伝わることが多い。

日本のタバコ事情は、少し矛盾して見える。

買える。
でも、吸える場所は少ない。
喫煙者はいる。
でも、煙はできるだけ見えない場所へ移されている。

これは、日本の公共空間が「個人の自由」よりも「周りへの影響」を強く意識しているからかもしれない。

タバコを吸うこと自体より、どこで吸うか。
その煙が誰に届くか。
吸い殻をどこに捨てるか。

日本では、そこまで含めてマナーになる。

旅の途中でタバコを吸いたくなったら、すぐに火をつける前に、少しだけ周りを見る。
灰皿はあるか。
喫煙所の表示はあるか。
人の流れの邪魔にならないか。

その数秒の確認が、日本の街では大きな違いになる。

タバコは吸える。
でも、吸える場所は街の中に静かに隠れている。

その探しにくさの中に、日本の公共空間の距離感が少し見えてくる。


“Japan, One Small Hint at a Time” は、日本を旅する人に向けた小さなヒント集です。

観光名所ではなく、空港、駅、コンビニ、街の静けさなど、旅の途中でふと戸惑う日本の風景を、不定期で書いていきます。

いつもの“思考の補助線”を、少しだけ旅人の目線に移してみる。そんな不定期シリーズです。

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