見出し画像

ラピュタは本当にあった。ライオンロックで迎えた日の出

夜中の2時頃だった。
突然、大音量のカラオケで目が覚めた。
どこから聞こえてくるのか分からない。
スリランカの曲なのだろうが、正直なところ、とても上手とは言えない歌声が余計につらい。
40分ほどだっただろうか。
なかなかの地獄だった。
「明日のライオンロックに響かなければいいな」
そう思いながら、ようやく静かになった後に再び眠りについた。

朝5時。
宿で手配してもらったトゥクトゥクと待ち合わせをし、シギリアロック、通称ライオンロックへ向かう。
宿の方のおすすめで5時出発にしたものの、この時間から本当にチケット売り場が開いているのか少し不安だった。
しかし入口へ着くと、その不安はすぐに消えた。
すでにチケット売り場には行列ができている。
周囲を見渡すと、ほとんどがヨーロッパから来た旅行者のようだった。
チケット代は35ドル。
正直、高いと思った。
だが、この後その考えは変わることになる。

今回こんな早朝に来た理由はひとつ。
山頂から日の出を見るためだ。
まだ薄暗い中、登り始める。
これが想像以上にきつい。
体力の衰えを痛感する。
「情けないな」
そう思いながらも、自分のペースで一歩ずつ進んでいく。

途中、巨大なライオンの足が残る場所に到着する。
そこからは鉄製の階段を登る。
ここまで来ればあと少し。
そう分かっていても十分きつい。
そして山頂へ。
すでに何人かが日の出を待っていた。
夜明けまでの時間、ただ景色を眺める。

満月を過ぎた月明かりに照らされた広大な緑。
ところどころに見える湖。
遠くに見える巨大な仏像。
そして、この巨大な岩の上に築かれた古代都市。
そのすべてが現実離れして見えた。

やがて空が少しずつ色づき始める。
オレンジ色に染まる空。
朝日に照らされる深い緑の大地。
何と表現したらいいのだろう。
美しいという言葉だけでは足りない。
ただ、その場に立ち尽くして見入っていた。

来てよかった。

心からそう思った。

周辺を散策しながら改めて感じる。
なんというスケールだろう。
マチュピチュには行ったことがない。
それでも思った。
これはラピュタそのものだ。
この巨大な岩の上に都市を築き上げた人々。
当時どれほどの力を持ち、どれほどの労力を費やしたのだろう。
チケット代35ドルは決して安くない。
それでも、降りてくる頃には、この世界遺産を維持するためには必要な金額なのだろうと考えが変わっていた。
登るのは大変だった。
それでも、スリランカへ行く人にはぜひおすすめしたい。
本当に素晴らしい場所だった。

宿へ戻ると、ライオンロックを眺めながら朝食をとる。

その後シャワーを浴び、少し休憩してからコロンボへ向かった。
約4時間の移動。
車窓を眺めながらのんびり過ごそうと思っていた。
ところが現実はそう甘くない。
独立に向けた補助金申請。
司法書士の先生とのやり取り。
気が付けば移動時間の半分以上を仕事に使っていた。
それでも、旅と現実が少しずつ交差していく感覚は嫌いではなかった。

コロンボでの宿はCinnamon Grand Colombo。
到着して驚いた。
想像以上にゴージャスなホテルだった。
今回の旅も終盤。
少し頑張った自分へのご褒美として選んだホテルだったが、スタッフの対応も素晴らしく、ここを選んで良かったと思った。

荷物を置くと、さっそく遅めの昼食へ向かう。
目指したのは Curry Pot。
ホテルから徒歩20分。
到着すると店内は地元の人ばかり。
少し躊躇していると、奥から店員さんが笑顔で手招きしてくれた。
勢いに任せて入店する。
店の奥にはカレーがずらりと並んでいる。
ご飯を盛り、その横に並ぶカレーを指差しで選んでいく。
無事に会計を済ませ席へ。
周りを見ると、みんな当たり前のように手で食べている。
私も挑戦してみた。
難しい。
思ったように食べられない。
悪戦苦闘していると、年配の女性店員さんが笑顔でスプーンとフォークを持ってきてくれた。
助かった。
そして、このカレーが本当に美味しかった。
特にエビのカレー。
オクラのカレー。
そして店おすすめのマンゴーカレー。
それぞれを混ぜながら食べる。
最高だった。
店にはひっきりなしに地元の人が入ってくる。
食べながら納得した。
これだけ美味しくて、しかも1500ルピーほど。
人気があるのも当然だ。

その後はトゥクトゥクでスーパーへ向かい、お土産を購入した。
色々とあったのだが、それは内緒にしておこう。

ホテルへ戻りビールを飲む。
本当はのんびりしたい。
でも現実は待ってくれない。
補助金申請や事業計画の見直しを進める。
旅と独立準備を行き来する不思議な時間だった。

夜はホテルの隣の建物にあるフードコートで、最後のスリランカカレーを堪能した。
満足だった。

明日はスリランカを旅立つ。
少し寂しい。
それでも、まだ旅は終わらない。
帰国前に、もうひとつの目的地。
シンガポールが待っている。

いいなと思ったら応援しよう!