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67日目

未明
寒い街を歩く

終電で無事に最寄り駅に着いた
寒の戻りがあって 冬のさなかのようだ

さっき四日市まで フリークスのお2人と一緒だった
それぞれに「また明日」と、拳をあわせ別れる
四日市で3週連続で店の周年イベントがある
それの前乗りで四日市に泊まろうって算段である

「好き」が人を動かす わかるよ その気持ち

私の方はと言うと
盆栽屋の帰りにちょっと寄り
すぐにお暇しようかと思う
家で ケーキが待ってるはずだから


音楽がなければ
出会わなかった道が交差していく
これは喜ばしいことだと思うことにする



家に辿り着く パスタを茹でる
食べたら お風呂に入って 寝てしまおう



守「これ、ラーメンじゃないの?」
ラーメン風カルボナーラです
守「あぁ 汁パスタか」
なんか その呼び方やだな




翌朝


寒いはずだ 雪がちらついている
定刻に盆栽屋へ向かう


久居まで来ると
流石に雪が舞ってることはなく
晴れ そして風ある 寒い



夕方まで いろいろとお手伝い 16時までは接客
やっぱり楽しいね 楽をしない心地よさがある

新しく盆栽を育てたいって人も
ぽつぽつと来てくれる

ありがたいことだ
できるだけ知ってることをお伝えする




夕方 帰り道
異常に荷物が重い


カバンの中身は 山のような甘夏である



今朝採れたとのこと
ご自由にとのことだったので
ご自由にお持ち帰りさせてもらう


お裾分けの さらにお裾分けで 節操ないけど
ゴウさんに差し入れしようかと思いたつ
ご自由にしてもらおう



妻に連絡をしておく

「少し遅くなります」

LINEは 既読されない
最近はもっぱら 新発売された
ポケモンのソフトに夢中

好きなようにしたらいいさ
ご自由にどうぞ




菅野さん見たら、すぐにお暇しようかな 長居したら未練残りそう



夕暮れとともに到着

ショーウエムラさんのサンダーバードが
アトッチから漏れ聴こえている
玄関前には大量の靴が
いったい中には何人いるんだろう


ここは昼から宴の地
みんな最高の夜を迎えようとしている


ドレミファといろは 15周年 1週目


この規模があと2週続くんだから
正気ではない(褒め言葉)


アトッチの戸を開けると
立ち見 立ち見の満員

まぁ そりゃそうか
ワンオーダーはあれど 無料なのは破格すぎる
おかしな連中で溢れないわけがない

実際 ここに来るならば
少しおかしいくらいが 丁度良いんだろうけどね
開始は12時過ぎで 一応の演目終了予定は21時?

一応っていうのは本当に「一応」で
以降は翌朝まで 終わりなき打ち上げとなる
みんな飲み潰れるまで飲む 魔窟と化す

けれど 大きな間違いが起きないのは
酒を飲む誰もが 根底では常識人だからだろう

守「子どものような寝顔は見ていて可愛いぞ」
どうしたんですか 守護霊っぽいこと言って
守「殴るぞ」



あぁ お酒飲みたいなぁ と思いつつ
受付で ウーロン茶を頼む
夜は車に乗らねばならないから 酒はNGだ
お腹が冷えると困るので 氷なしで
あわせてカレーも頼む

たぶんカレーを食べられるタイミングは今しかない
キッチンには西島衛さんもいるから
じきに出来上がるだろう


西島さんの出番は 今日ラストの予定だ
シックスブリッツ …見たいけど今日は無理そう
雰囲気 …も見たいけど今日は無理そう

受付前あたりから
ショーさんの歌を2曲 聴く

やはり 盛りあげ上手な演者の演奏は快感で
客のほうも まだまだ聴きたい熱気がある

だが時間である
サーキットイベントの歯痒いところだが
持ち時間を守ることもまた
リスペクト出来る演者の持ち味である

少し押しているのだろうか 時計を見るが
そもそものタイムスケジュールを
きちんと把握はしていない


もう1つのステージ ドレミファといろはでは
次の演者 目下奴言水さんが出番である

大部分のお客さんが移動する
私は残り カウンターに移動してカレーを待つ
ステージでは菅野さんが 音響チェックを始める


フリークスの ゆのめさんが隣に来てくれて
わたしと同じようにカレーを頼む
そのまたお隣に 黒岡まさひろさんが来てくれて
彼女と同じようにカレーを頼む


黒岡さんは今日 だいぶ早い出番だったみたい
アトッチに入る時に鉢合わせして挨拶すると
顔だけ覚えてくださっていたようで
黒「お久しぶりですね」
と、いつもの柔らかな口調で言葉をかけ
握手してくれた

彼と握手する時にいつも感じること
相変わらず 握り返すその手は力強い
生命力を感じる


ゆのめさんと黒岡さんは 2人今日が初対面
黒岩さんの演奏を とても楽しく聴いた
と、ゆのめさんは嬉しそうに話す
黒岡さんも楽しんで頂けて…
と、嬉しそうに返す


私は そのやり取りに静かに耳を傾ける
じっとりとした視線が 天井のあたりにある
守「盗み聞きとは 趣味が悪いのぅ」
どの口が言うんですか あなたはまず
カウンターから降りなさいよ




カレーが来た が 写真を撮り忘れる

粒つぶと残る素材の味が 複雑な旨味を連れてくる
スパイシーだが いやらしい辛みはなく
後からじんわりと 辛さがやってきて体を温める

私は辛い食べ物全般が あまり得意ではない
だが「寺町 大丈夫」のカレーは 大丈夫
不思議と 残さず食べられるほどに美味しい

絶品なので また京都行った時には立ち寄りたい


画像提供:ゆのめさん




守「食わず嫌いの多いおまえさんが食レポとか」
笑うなよ いいだろ 素直な感想なんだから


カレーを食べながら 背中で
菅野さんのサウンドチェックを聴く
贅沢すぎる時間だなあ と思う


カレーを食べ終わると ちょうど
イベント主催のゴウさんがカウンターに戻ってきた

おすそ分けの甘夏を渡そうと席を立つ

レジ袋いっぱいの甘夏を渡す
その重さに ゴウさんは明らかに引いている
ゴ「ちょ…多すぎやろ」
すみませんねぇ 加減できなくて…

今朝採れたてだということと
沢山いるみなさんへ ご自由にどうぞ…と伝える

半ば無理を言ってるのは うっすら分かってはいる
ゴ「よし ええわ! 打ち上げで配るわ~」
切り替えと理解力が 抜群に早いゴウさんで助かる


ありがとうございます ていうか
ちゃんとした周年のお祝いも渡せず ごめんなさい


さぁ…時間は随分と経過してしまったが
言水さんの演奏 少しでも聴けるだろうか
お皿を下げて ドレミファといろはに移動する



暗がりの中 皆が演奏に耳を傾ける
壁際とカウンターを除いて フロアに椅子はなく
テーブルも取り払われ 広々としている

その床に 各々ぺたんと座って 音楽を聴く
「ムーンプリズムパワー!」と歌う 言水さん
彼の歌は 抑揚やら こぶしが効いてて癖になる

ここにきている人たちは 幸せ者だ
などと 音楽を聴いて思う

「チが違っても続く道ぃ〜」

生まれや 国や 血なんて関係ない
ボクはこの歌が大好きだ


2曲ほど聴けた 彼の歌はまた近々聴ける気がする
演目が終わり アトッチに戻る





アトッチ再び
カウンター席の前の方で観覧する

座敷も通路も人で溢れている
K子さんも人を縫うようにして最前列へ来る
言葉は なかったけれど
「こんばんは!」「あぁ!間に合ったんですね!」
のようなやりとりが一瞬生まれる

すぐに菅野さんの演奏が始まる



おもちゃ箱みたいな空間で 純粋に
音楽に溺れるためだけに こんなに集まっている

菅野さんは 昨日少し話しすぎたことを
短く反省しつつ 丁寧に歌い重ねる


初めて菅野さんの歌に触れたのも
四日市の このイベントだった

『グッピー』で「父親になってみたい」って
歌ってくれてから 何年経つだろう

私にとって 菅野さんとの出会いは
他の人の音楽への 架け橋だと思っている

小形さんきっかけで ライブに足を踏み入れて
他の演者へ話しかけるのに躊躇していた時に
初めて声をかけることができた音楽家が彼だった

守「こうなってしまったのは彼のせい?」
言い方が 間違いですよ

こんな未来を繋げてくれているのは
彼や彼と同じステージで歌い続けている
出会える全ての 音楽家だし
求めたから こうなった
心の底の欲求が 凝り固まった理念が
音楽で解放されると 教えてくれている

過去形ではなくて 進行形なんです
守「生きてるっていうと そうなるのか〜」



深い感謝とともに 歌と 音楽がある

菅野さんは
いろんな場所も もちろん大切だが と前置きして
ここに集まった人を「家族」みたいに思っている
そう 伝えてくれた


「家族」という形容は 最上級の愛に聞こえる
人の繋がりは 他に代えることができない

毒も 穢れも 未練も 愛情も
音楽に素直な菅野さんの演奏だからこそ
人間らしさや喜怒哀楽が真っ直ぐ届くんだろう


彼が 歌い続けてくれることを願っている
叶うならまた またどこかのステージで



菅野さんの演目の後 帰ることにする

ドレミファといろはに 少し寄る
ステージには次の演者が 間もなく演奏という感じ
壁際に座るkazさんが気づいてくれて 手を振る
入り口近くのソファに座る 言水さんと握手

またね みんな

けど どうせ「また来週」って言うんだろ?
本当に おかしくて 最高な人達



帰りしな 演奏前のBGMに
「きみは、ぼくの東京だった」が流れはじめる

帰りにくくなるからやめて?




帰り道 サブスクで また
「きみは、ぼくの東京だった」を聴いている
家族を想い 電車に乗る



昨日 上の子の誕生日だった
予定を合わせるのが難しくても
愛情が尽きているわけじゃないのは
一緒のテーブルで 同じケーキを分け合うので
十分すぎるほど実感するものだ



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