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「3,000万控除を最速で回転させて資産形成すべき」という言説は正しいのか?



1. はじめに

1-1.「3,000万控除を回転させて利確を繰り返す」という手法

都心部におけるタワーマンションの価格高騰が止まらない。実需のみならず投資家や海外富裕層などによる活発な資金流入も続き、タワーマンションは今や単なる住まいを超えた資産性の高い投資対象としても認識されている。

このような活況の中、マンション愛好家(マンクラ)たちの中でも投資志向の強い人物たちによって語られるのが、「3,000万特別を最大限に活用した資産形成戦略」である。値上がりが期待できるタワマンに居住し、数年後に売却して利確した上で新たなタワマンに住み替えるーー。3,000万円控除を最速で回転させて、売却益に対する税金をほとんど払うことなく住み替えまくることで資産を拡大する戦略は、タワマンの流動性と非常に相性が良く、昨今の不動産市況の過熱に伴って注目が高まっている。

湾岸のタワマン群

1-2. 3,000万控除とは

ここで言う3,000万控除とは、正式名称を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という。マイホーム(居住用財産)を売却した際に、その所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる制度である。この税制優遇は3年ごとに利用でき、投資家はタワマンの含み益が3,000万に達した時点で物件を売却して利益を獲得する。これを繰り返すことで、彼らは良質なマンションを転々としながら多額の現金を獲得してきたのだ。

1-3. 疑問: 本当に「最速回転」が最適なのか?

しかし、この戦略に対してひとつの疑問が浮かぶ。それは、「上昇相場において、順調に値上がりしていく優良な資産を簡単に売却してしまって良いのだろうか?」というものである。

売却は含み益を手軽に現金化できる方法であるが、同時にその後の価格上昇の機会を放棄する行為でもある。むしろ優良物件は手放さずに長期で保有し、自身の与信枠の成長に合わせて新たな物件を買い増し、資産全体の規模を拡大させていく戦略の方が、最終的なリターンは大きくなるのではないか。

この仮説を検証すべく、両戦略の10年後の純資産をシミュレーションした。

本noteが明らかにするのは「3,000万控除回転戦略」が必ずしも資産形成の最適解ではないという事実である。

結論から述べると、「3,000万控除回転戦略」は現金の回収速度こそ上がるものの、最終的な純資産額においては「買い増し戦略」に劣後することが判明した。

不動産価格が一貫して上昇を続ける今日の市場環境下においては、目先の現金や非課税メリットに固執するよりも、バランスシート(B/S)の拡大こそが資産形成に最もクリティカルであり、たとえ高金利の融資を利用してでもレバレッジを最大化して資産規模を拡大することの価値が高いという結果が得られた。


2. シミュレーション

2-1. 前提条件

本シミュレーションは以下の前提条件に基づいて行われた。

  • 初期年収: 2,500万円

  • 不動産価格上昇率: 年5.0%

  • 年収上昇率: 年5.0%(個人の成長とインフレを反映)

  • 住宅ローン金利: 年1.0%

  • 取引タイミング:
     3, 6, 9年目に住み替え、もしくは買い増しの不動産取引を実行する。

  • 3,000万円控除回転戦略:
     1年目に年収の10倍で自宅を購入する。
     3, 6, 9年目に年収の10倍の与信枠を最大限使って自宅を住み替える。
     3,000万控除は3回利用できる。
     売却で得た現金は年利5%で複利運用する。

  • 買い増し戦略:
     
    1年目に年収の10倍で自宅を購入する。
     3, 6年目に投資物件を買い増しする。
      物件1: 物件価格1.3億、融資金額1億、金利2.0%
      物件2: 物件価格1.3億、融資金額1億、金利3.0%
     9年目に年収の10倍の与信枠を最大限使って自宅を住み替える。
     3,000万控除は1回しか利用できない。
     売却で得た現金は年利5%で複利運用する。

2-2. 補足

  • 不動産が価格上昇する中、年収も同様に上昇する優秀な人物を想定した。

  • 10年目時点で両者が同一レベルの住居(築2年の良質タワマン)に居住するシナリオを想定した。

  • 譲渡所得に対する課税は20% or 40%(短期譲渡 or 長期譲渡)とした。

  • 簡易化のため、物件ごとの価格上昇率は統一し、売買の諸費用や賃料収入は計算から除外した。

2-3. 評価項目

各年ごとに以下の項目を計算して比較した。

  • 含み益(ここでは物件の市場価格−ローン残債と定義)

  • 手持ち現金

  • 純資産


3. 結果

3-1. 含み益、手持ち現金、純資産の推移

最終的な現金は3,000万控除回転戦略の方が多い。
しかし純資産は買い増し戦略の方が1億円ほど上回った!

3-2. 3,000万控除回転戦略の資産推移

3, 6, 9年目の住み替えのタイミングで自宅含み益が現金に移転される。
毎回3,000万控除を使用しているので節税メリットは大きい。

3-3. 買い増し戦略の資産推移

3, 6年目の買い増しのタイミングで自己資金を投下する。
9年目の住み替えのタイミングでしか3,000万控除を使用できないため節税メリットは小さいが、投資用不動産の利益によって最終的な純資産は3,000万控除回転戦略を大きく上回った。

4. 考察


10年後の最終的な純資産は、

3,000万控除回転戦略 = 2億4,794万円
買い増し戦略 = 3億3,523万円

約1億円の差をつけて買い増し戦略が圧勝した。

3,000万控除回転戦略は、3年ごとに売却益を現金化するためいずれの年次においてもキャッシュポジションが豊富である。しかし投資用ローンを用いたB/Sの拡大を行わなかったことで上昇相場における資産全体の成長ポテンシャルを手放してしまっており、手元の現金を年利5%で運用してもこの機会損失を補填することは出来なかった。

一方、買い増し戦略は資産規模を拡大させたことで不動産価格5%上昇の恩恵を膨らませた元本全体で享受することができている。高金利&多額の自己資金投下という悪条件を設定し、賃料収入を計算に含めずともこの結果に至った。これがレバレッジの力であり、上昇相場ではB/S拡大が資産形成に最も大きく影響する。なお、最終的に保有する投資用不動産を全て売却して納税しても、純資産で5,000万円以上上回る結果となった(計算は省略)。

もちろん、タワマンを投資用で購入する際には融資金額が伸びず多額の現金が必要となるケースが多いため、3,000万控除を利用して含み益を現金化することは非常に有効となるだろう。ただし3,000万控除を回転させることはB/S拡大のための"手段"であり、決して”目的”ではない。非課税で効率よく現金を獲得できるという3,000万控除最大のメリットは、買い増しによって膨らんだB/Sの前では些細な問題なのだ。資産価値の高い良質な物件を購入できるのであれば、適宜住み替えを行いながらも積極的に投資用不動産の買い増しを検討したい。


5. まとめ


本noteの結論は以下の3つ。

結論①:
3000万控除回転戦略は税金を圧縮しながら効率的に現金を獲得できるが、最終的な純資産は買い増し戦略に軍配が上がる🔥

結論②:
上昇相場では「B/Sの拡大」が資産形成に最もクリティカルであり、高金利の融資を利用してでもレバレッジを最大化すべき🔥

結論③:
B/S拡大の"手段"として3,000万控除を活用するのは非常に有効なので、買い増しと組み合わせて取り組もう🔥


あとがき
最後まで読んでくださってありがとうございます!
拡散やいいねしてくれたら嬉しいです☺️素敵なタワマン投資ライフを!!!
※投資は自己責任です。
※計算ミスがあったらすみません🙇

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