座席表づくりから考えるAI×業務改善~ 2時間かかっていた仕事が10分になった保育現場の実践~
日々の業務の中で、「これ、毎回やっているけれど、もう少し何とかならないかな」と感じることは少なくありません。
今日は、業務改善の一例として、AIを使ってみたということについて書いてみたいと思います。

クリスマス親子礼拝の準備
来週末、向山こども園ではクリスマス親子礼拝が行われます。
この行事は、親子で一緒にクリスマスを祝う礼拝で、子どもたちの賛美や、年長児によるページェントなどが行われる大切な行事です。
今年は初めて、建築の終わった「野のはなホール」を活用することになり、私たち保育者にとっても初めての経験になります。会場が変わることで、動線や配置、役割分担など、これまでとは違った準備が必要になります。
座席表づくりという、地味だけれど大切な仕事
クリスマス親子礼拝では、毎年、学年ごとに座席を決めています。
年長児であれば、役に合わせて子どもたちの座席を指定しますし、年中児もキャンドルサービスを行う関係で、あらかじめ座席を決めておく必要があります。
向山こども園の行事としては珍しく、多くの保育者が関わって動く行事になるため、クラスごとにマニュアルを作成する業務が発生します。その中で必ず必要になるのが、座席表です。
ところが、この座席表を作る作業が、意外と大変です。
手書きで作ると後からデータ化しにくく、マニュアル作成時に使い回すことができません。
一方で、パソコンで一人ひとりの名前を枠の中に入力していく方法もありますが、これもなかなか厄介です。
枠の余白の関係で文字が入らなかったり、一人だけ枠が大きくなってしまったりします。また、後から席替えをしようとすると簡単に入れ替えができず、結果的に時間がかかってしまいます。
「簡単なアプリを作れないかな」と思ったきっかけ
ちょうど年中の保育者に対して、スーパーバイザー(学年主任)がマニュアルの作り方をレクチャーしている場面を小耳に挟みました。
そのときに、「これ、簡単なアプリみたいなものを作れないかな」と思いました。
「ちょっと待ってー」と声をかけて、手が空いていたので、すぐにアプリ作りを始めました。
今回は、Geminiのキャンバス機能を使いました。この機能は、こちらの要望を伝えるとコードを書いてくれるものです。
座席表アプリを作ってみる
最初にできたものは、想像以上に使えそうなものでした。ただし、座席の列数や、一列あたりの席数を指定することができませんでした。
列毎に人数指定をしたい
クラスの人数は17人や27人など、きれいに割り切れないことがほとんどです。一列5人で5列、というように単純にはいかず、「一列5人の4列と、一列4人の2列で計6列」といった配置にしたいこともあります。そこで、一列ごとの席数を指定できるように、プログラムを書き換えてもらいました。
後から変えられることの重要性
座席表は、一度作って終わりではありません。
実際には、「やっぱりこの子は端の方がいいな」「この子とこの子はどうしてもおしゃべりになってしまうから分けた方がいい」といった調整が、必ず後から出てきます。
そこで、ドラッグアンドドロップで席を入れ替えられるような設定にしてもらい、最終的には画像データとして出力できるようにしました。
30分で完成した、実用レベルのアプリ
他の仕事と同時進行で進めていましたが、結果的に30分ほどでアプリは完成しました。
動いたり動かなかったりする部分や、「最初から」「全員離席」といったあるのに使えないボタンも存在しますが、現場で使う分には特段問題はありません。




Excelなどで作ってある名簿をそのまま貼り付ければ十分に機能します。名前と名字の間に空白を入れておくと、より見分けやすく使いやすいと感じました。
従量課金ではないため、使ってみたい方がいれば、ぜひ試してもらえたらと思います。(動かなかったらすみません)
緊急度と重要度のマトリックスで考え直してみる
仕事を整理する考え方として、「緊急度×重要度」のマトリックスがあります。

第1領域、つまり緊急かつ重要な仕事については、最終判断や責任は人が担う必要があります。一方で、下書きやチェック、たたき台の作成はAIが力を発揮できます。
第2領域である非緊急だが重要な仕事は、最もAIを投資する価値が高い領域です。失敗しても致命傷にはならず、改善できれば確実に現場の余白が生まれます。
第3領域の緊急だが重要ではない仕事は、AIや分担で処理し、感情的な対応は人が担う。
第4領域は、原則やらない、もしくは自動化の候補になります。
今回の座席表アプリは、「緊急ではないが重要である」第2領域の仕事でした。
座席表づくりで、実際に何が変わったのか
これまで座席表づくりは、軽く1時間、確認や修正を含めると1時間半から2時間ほどかかっていました。
それが、アプリを使うことで作業自体は5分ほどに短縮されました。
さらに期待が持てるのは、仕事のやり方が変わる可能性があること。
一人で作って後からチェックするのではなく、画面を見ながら2人で子どもを入れ替えたり、列の人数を調整したりすることができるようになりました。
トータルで見ると、2時間近くかかっていた仕事が10分ほどで終わる仕事に変わったと言えます。
第2領域に気づけるのは現場にいるからこそ
AIが使えるかどうかは、技術の問題ではなく、「重要だが後回しにされてきた仕事」に気づけるかどうかだと思います。
外部の人には見えにくく、現場では当たり前すぎて言語化されてこなかったこの領域の仕事。座席表づくりは、まさにその一つでした。
現場にいるからこそ見える詰まりを、第2領域として捉え、AIと一緒に改善する。今回の経験から、その可能性を強く感じています。
これからも小さな業務改善を積み重ねていく
今回のアプリ作りを通して、思っていた以上に簡単に、しかも実用レベルのものが作れることが分かりました。
第1領域と第2領域について、事前に準備しておくことで、保育の質や余白はまだまだ高められるはずです。
だからこそ、これからも、保育者や事務職員が当たり前にやってくれている仕事を見つけ出し、小さなチャレンジを重ねていきたいと思います。
