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静かに整っていく場所を、手放します|南箱根ダイヤランド(静岡県函南町)

静岡県函南町に南箱根ダイヤランドという別荘地があります。

熱海から車で30分ほどの丘陵地にある閑静な別荘地。

今回、父が所有している南箱根ダイヤランドの別荘を、手放すことになりました。

これまで、私自身がこの家に来た回数はそれほど多くありません。

おそらく10回も来ていないと思います。

正直、最初に来たときは「うちには少し贅沢すぎる場所なんじゃないか」。

そんなふうに感じていました。


にも行けて、もあって、もある。

熱海をはじめ温泉も近くにいくつもある。

その上、富士山まで見える。

少しできすぎているような場所だな、と。

裾野まで見える富士山

父が、この別荘を購入した当時、母は体調が不安定な状態でした。

今回、改めて話を聞いてみると、「気分転換に、貸別荘でも探してみようか」と伊豆方面を見に行き、不動産会社に案内されて辿り着いたのがこの場所だったそうです。

見学に来たそのとき、リビングの大きな窓のちょうど目の前に、きれいに富士山が見えた。

雲ひとつなく裾野までくっきりと見えていたそうです。

ベランダから見る富士山と雲海

一幅の絵画のようなその風景がとても印象的だったようで、母が数日後に「あそこがいい」と言ったことで、決断した。

父は、そう語ってくれました。

心を癒してくれた家

そんな母は、最初は一人で一週間、二週間と滞在する程度だったのが、やがて一ヶ月、さらに一年の半分をここで過ごすようになっていきました。

外景

庭にあった小さな家庭菜園の手入れをしたり、簡単なDIYをしたり、書道をしたり、犬の散歩をしたり。

そうした時間の中で、母の状態も少しずつ落ち着いていったのです。

仕事の疲れを洗い流す

父が特に好んでいたのは、広々としたお風呂でした。

湯船に浸かり、窓を開けると、裾野まで広がる富士山が見える。

その景色を見ながら「なんて幸せなんだろう」と感じたことが何度もあったそうです。

金曜日の夜、仕事を終えてこの場所に来て、管理センターのレストランで駿河湾や、三島・沼津の夜景を見ながら食事をする。

管理センター横の展望台から駿河湾方面を望む

この時間のために働いているのかもしれない」

そんなふうに思ったこともあったと聞きました。

釣り好きの父は、出かけるときには、あえて人の少ない山道を選んで車で走ることもあったそうです。

その道の途中で、自然の中に溶け込んでいくような感覚があったとも話していました。

座るだけで視野が広がる

実際にこの場所にいると、「静か」というよりも、日常や人間関係でおりのように溜まっていたものが少しずつ洗い流されていくような感覚があります。

家の中にいるのに、どこか清々しい。

呼吸が少し深くなるような、そんな感じがするのです。

リビングにただ座る。

そして、ふと顔を上げると、視界がすっと広がっていく。

リビングから眺める風景。晴れていれば富士山が望める。

そこに富士山がある。

風の音と、野鳥の声だけが聞こえてきます。

私だけの図書室

私自身の印象としては、造り付けの本棚の多さに驚きました。

二階の一部屋は三面が本棚で、部屋の前のスペースにも本棚が並んでいます。

あまり来られないのが分かっているのに嬉しくて、好きな本を並べていました。

3面に造り付けのしっかりした本棚

これだけの本に囲まれて過ごす時間は、本好きの私からすればワクワクしてやはり特別なものでした。

南箱根ダイヤランドの空気感

この別荘地には、独特の空気があります。

散歩をしていると、すれ違う人と自然に挨拶を交わす文化があって、犬を連れている方も多い。

桜の花の下、父と孫が近所を散歩中

定年後に移り住んでいる方や、別荘として利用している方も多く、穏やかな人柄の方が多い印象です。

この家での過ごし方

リビングでも、お風呂でも、いつも窓の方に視線が抜けていきます。

天気が良ければ、富士山の裾野まで広がる遠景がそのままの姿勢で目に映る。

特別なことは何もしなくていい。

ただ座っているだけでも、自然とぼんやりできる場所です。

春はが咲き、ウグイスが鳴きます。

少し標高がある分、夏も空気が涼やかです。

秋が過ぎ、冬が訪れると寒さはいくぶん厳しく感じますが、その分、空気が澄んで、景色が際立ちます。

薪ストーブは冬の醍醐味

薪ストーブの火を眺めながら、パチパチと音を聞いているだけで、時間の流れがゆっくり穏やかに過ぎていくのです。

大切に引き継いでくれる方へ

そんな場所でしたが、母が心臓の病気を患い、ここに来られなくなりました。

父も仕事の関係で足が遠のき、このまま使われないままにするよりも、まだ状態が良いうちに、次の方に引き継ぎたいと考えています。

障子に木陰が映る和室

私は今回、改めてこの家に来てみて、この場所が家族にとってどんな意味を持っていたのかを、少し理解できた気がしました。

母だけでなく、父も、家族も、そしてここに連れてこられた犬も含めて、この場所に救われた時間がありました。

この家を建ててくれた大工さんのこだわりも、随所に感じられます。

斜めの天井と梁

木材の使い方や、斜めの天井漆喰の壁腰板の質感。

そしてけやきの一枚板のローテーブル

長く過ごすための工夫が、丁寧に積み重ねられています。

特別なことをしなくても、ただ過ごすだけで、少し整っていくような場所です。

薪ストーブとローテーブル

もしこの場所にご縁を感じていただける方がいれば、この空間を、自分のペースで使っていただけたらとても嬉しい。

そんなふうに思っています。

▼物件の詳細はこちら
南箱根ダイヤランド A2487


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平山はじめ|武術を通して身体にのめり込み獣医師から東洋医学に転向したマニアな鍼灸師/はじめ鍼灸整骨院 お気持ちをいただければ小躍りするほど嬉しいです🤣 いただいたチップはクリエイターとしての活動費に活用させていただきます!