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「専門化の時代だからジョブ型」という誤解

メンバーシップ型からジョブ型へ――
そう唱和する人々の頭にある理由の一つとして、高度に専門化された社会への適応がある。「ゼネラリストからスペシャリストへ」というフレーズも同じ文脈で語られる。
たしかに単純作業や定型的業務なら、そう言えるかもしれない。しかし、周知のようにその多くはデジタル化によって代替されているし、AIの普及により今後いっそう進むことが確実だ。したがって、仕事を奪われる危機は、ゼネラリストよりむしろスペシャリストに迫っているといえよう。
さらに問題なのは、スペシャリストとプロフェッショナルを混同している人も多いことだ。実際、一つの仕事に熟達した人を「プロ」と呼ぶ風潮も広がっている。
しかし本来、プロフェッショナルとは医師、弁護士、科学者などのように高度な専門能力を用いて自分の判断で問題解決できる職業、あるいはその仕事に携わる人たちである。そもそも彼らを「スペシャリスト」と呼んだり、「ジョブ型」に分類したりすると、彼らは即座に否定するだろう。
企業でもプロ人材の育成を目指すなら、その方向性はスペシャリストの育成とは異なるし、ジョブ型でそれを達成しようとするのはミスリードだといわざるを得ない。
行政学者・組織学者のV・A・トンプソンはかつて、「課業の専門化」と「人の専門化」を明確に区別した。前者は分業に象徴される組織主導の専門分化であり、後者は医学の専門化のように人(の能力)と社会の主導で進められる。
この分類に従えば、スペシャリスト-ジョブ型はある意味で大量生産時代における分業システムの延長線上にあると言える。AIとの協働が進むこれからの時代には、プロフェッショナル(自営型の一類型)こそ目指すべき方向ではなかろうか。近年注目されているジョブクラフティングも、その有力なツールと言える。
流行に惑わされて誤った道を歩まないようにしたい。

 

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太田肇 「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。