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速歩術の具体的な技法② ~「千里善走法」 後編

後編では、上り坂、下り坂と、七體之法について書きます。今回は読み取りの難しい部分が多く、かなり憶測が混じります。

・上り坂

上り坂は、歩幅を狭くすることと十間(18m)ごとに歩き方を変える他は、平地とあまり変わりません。真(腰歩き)、行(左右の片踏み)、草(通常の歩き)と歩き方を変えます。

・下り坂

登山する人はご存じだと思いますが、上りよりも下りの方が足が受ける衝撃が強く、ダメージは大きいです。
善走法では腰を落として小さい歩幅で歩く他、下り坂だけの歩き方を使っています。その歩き方は次の四つ。

①両手を上げる気持ちで、肩を掉て(ふるって)腰をすえ、軽足に進む 
②肩と腰をすえて歩く
③足の底に意を下して軽く運ぶ
④手を掉て(ふるって)歩く

この4つを十間(18m)ごとに変えるとしています。
それぞれ、衝撃を緩和する方法だと考えて推測します。

①両手を上げる気持ちで、肩をふるって歩く
手を上げると言っても、肩が振りやすい高さなので、せいぜい脇をあけるくらいでしょう。この状態で肩をふるう=上体を左右にねじってみます。

人体の構造として、上体を左にねじると体重は左足に乗り、右にねじると右足に乗ります。上体を左にねじりながら右足を出し、右にねじりながら左足を出すと、体重がかからない分、接地の衝撃が少なくて済みます。
こうやってダメージを減らしていたのではないかと考えますが、どうでしょうか。

④手をふるって歩く
これも腕を振った方向に体重が移るので、衝撃を減らすのに使えます。

我々が普通に歩くように前後に振ってもいいのですが、試してみた感じでは
前が狭く後ろが広く、上から見てハの字型に振るほうが、体重移動できて足が楽でした。

わからなかったのが
②肩と腰をすえて歩く

③足の底に意を下して軽く運ぶ
でした。どちらも具体的な歩き方が想像できませんでした。

・七體の法

身体の七つの部分を順番に使うことで、三つ足運歩の法よりも長く疲れずに歩けるとのことです。

①頭で歩く …頭を前に進めて歩く
②胸で歩く 
…胸を突き出すように歩く
③真の足取で腰をすえて歩く
④行の足取 右六分、左四分で歩く
⑤行の足取 左六分、右四分で歩く
⑥右の手で歩く
 …片手をふるってあるく
⑦左の手で歩く
 …同上

③④⑤は前と同じ。
新しく出てきたのは①②と⑥⑦ですね。

①と②は、姿勢を変えて使う筋肉を変える方法。
頭を前に出すのと、胸を前に出すのでは姿勢が変わるので、使う筋肉の場所も微妙に変わります。この方法は、今のランナーも使えるかもしれません。

⑥と⑦、片手を振って歩くとはどういうことか。
私が考え付くのは二つです。

一つは、我々がふだん歩くように、足と逆側の手を出して歩く。
普通の歩き方だと、片手を振ることのメリットはあまり感じません。片踏みの補助として使うと、足が出やすいように思います。

もう一つは、右手右足を同時に出す、同側のナンバ歩き。右手を大きく前に振り出し、その手に引かれるように右足を出す。右手を後ろに振り出す反動で、左足を前に出す。
面白いことに、両手で同側ナンバ歩きをするより、バランスがとりやすく歩きやすいです。

このどちらかが正解かもしれないし、両方とも間違っているかもしれない。私としては、後者の同側ナンバ歩きを押したい。

・わからないことは多いけれども

技術を本から引き出すのは、やっぱり限界がありますね。この本にも
「この七法ならびに身の備え等、管城子(筆のこと)の尽くすところにあらず。師授口伝にあらずんば、いかでかその妙を得んや」
と書いていますから。

ただ、こうして読むとわかるのは、千里善走法が神秘の方法や超能力ではないこと。筋肉は疲労するという当たり前のことを、どのようにクリアするか考えて作られた方法なのです。

八起堂治療院ホームページ


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