速歩術の技法③ ~神速歩行術の具体的な練習方法が、インターネットで読める
前回までの千里善走法に続き、二つ目は神速歩行術。
資料で見る限り、もっとも有名な速歩術です。
この術を有名にしているのは、幕末の伊勢商人、竹川竹斎。
神速歩行術の使い手で、伊勢と江戸を三日で往復(800㎞)して手紙を届けたといわれています。
この竹川竹斎は地域発展に尽くした偉人であり、勝海舟と親交があった文化人でもあります。そのため三日往復の逸話も有名になり、神速歩行術もあちこちで紹介されました。
ただ、ほとんどの本は技名を紹介しているだけで、具体的な方法を書いていません。
・神速歩行術の貴重資料「撓のひゞき」
国会図書館の電子資料をシラミつぶしにあたってみたところ、見つけたのが「撓のひゞき」(しないのひびき 瀬尾謙一 神修館)でした。
剣道の随筆集なのですが、巻末付録として神速歩行術が紹介されています。神速歩行術の詳細な技術、とくに中心技術である「臍納め」の二段階呼吸を書いている本は、私が見たかぎりではこれだけ。
説明文によると、著者の師匠である渡辺篤氏が神速歩行術の免許をもっていたとのことで、内容の信頼性は高いと言えます。
実はこの「撓のひゞき」、オンラインで、しかも無料で読めます。
神速歩行術に興味のある人は、ぜひ国会図書館デジタルコレクションで、「撓のひゞき」を検索してください。
身分証明書を登録すれば、パソコン・携帯で読めます。
・神速歩行術は、腹で歩く
前述したとおり、足を引き上げる筋肉は疲労しやすい性質があります。
神速歩行術は、足の引き上げに腹筋・呼吸筋を使うことで、疲れをためずに歩く方法です。
その方法が「臍納め」。
臍納めの具体的な方法は、次回以降で解説します。
・余談・龍馬暗殺について
実はこの「撓のひゞき」の著者の師匠、渡辺篤氏も有名人です。
本書内にある「先師 渡辺篤 略年表」を見ると慶応三年のところに
二、五 見廻組御雇仰せ付けらる 七人扶持を受く
十一、十一 新遊撃隊仰せ付けらる
十一、十五 佐々木只三郎等と近江谷を襲い坂本龍馬を斬る
十一、十九 坂本龍馬を討ちし功として十五人扶持賜る
坂本龍馬を斬ったとされる見廻り組の一人だったんですね。今井信郎の供述による坂本龍馬暗殺者の一覧にも名前があります。
本人も晩年、近江屋事件の様子を弟や弟子などに語り、「父から贈られた刀、出羽大掾藤原国路で龍馬を斬った」と言っていたようです(Wikipedia)。
意外なところで、意外なつながりがあるものですね。
