就活を終えた感想 

※2021年のブログから転載

フェローシップと就活がひと段落して、今なら「就活で大事なものって何?」と聞かれたら、たぶんこう答えます。
1. 信用の貯金を貯める
2. コネクションを作る
3. 運が向いてくるのを待つ

なんだか身もフタもない三つです。でも、結局これに尽きる気がしています。



フェローの就活(2018–2021)

2018年8月から米国で移植外科のフェローシップを始めて、2020年8月に正規の2年間を修了しました。
そしてフェロー終了後も、米国にスタッフ外科医として残りたくて、ポジション探しの就活をフェロー1年目の1月から始めていました。

ただ、移植外科医の就活市場はほぼ飽和状態。2年目が終わってもポジションは見つからず、所属先のご厚意で3年目はシニアフェローとして雇用していただきました(2020–2021)。

その間も就活は続けましたが、状況はやっぱり厳しくて。
3年間で応募できるほぼすべて、200以上のポジションに応募したのに、面接まで進めたのは4件だけでした。



決まったきっかけ

結果的に就職先が決まったのは、フェローシップのプログラムディレクターが直接電話をかけて、私のことを推薦してくれたことがきっかけでした。
その後、先方から個人的に連絡をいただきました。

「結局、電話か……」っていうのが、正直な感想です。



就活後日談:採用する側の話

就活が終わってから、今回採用してくださった部長に「採用する側の苦労」を聞きました。
• 今回、3つの空きポジションに100以上の応募があったこと
• 応募者の中には、有名プログラムを卒業した米国人フェローや、すでに外国でスタッフとして働いている外科医もいたこと
• その中から人を選ぶうえで一番大切なのは、**「自分がよく知っている人からの強い推薦」**だということ

つまり、私が運よくスタッフとして採用していただけた理由は、ものすごく単純で、
部長が「よく知っている人物」から、強い推薦をもらえた。それに尽きます。



「書類上はみんな強い」問題

レジデントでもフェローでもスタッフでも、ひとつのポジションに数十〜数百の応募があります。
しかもどの応募者も、書類の上では「手術もできて論文も書ける外科医」に見えるように書いてきます。でも、本当に手術を任せられる人間かどうかなんて、数枚の書類と数回の面接では正直わかりにくい。そこで差がつくのが、いわゆる**“もう一押し”**です。
• 上司から部長へ、直接推薦の電話をしてもらう
• 学会で直接話しかけて存在を覚えてもらう
• 発表や質疑で「あ、あの人ね」と思い出してもらう

そういう、地味で、わかりやすくて、でも効くやつ。

有名プログラムの部長は、自分のフェローがいかに skillful で reliable かを伝える電話を本当にたくさんかけます。フェローが職を得られないと、そのプログラムの評価(評判)にも関わるからです。



「推薦=信用の前借り」だと思う

ただ、部長なら誰でも推薦するかというと、そうでもありません。人を推薦するって、「自分の信用を懸けて、この人は信頼できる」と言うことです。
もし推薦した人が期待と違っていたら、推薦者の信用が削れます。だからこそ、強い推薦は “自分が信用しているフェロー” にしか出しにくい。

特に外国人で言葉の壁がある場合、その「信用」を得るまでに、時間が余計にかかることもあると思います。



信用貯金は、コツコツしか増えない

じゃあ信用はどうやって得るのか。結局、貯金と同じで、コツコツしかありません。
• 米国人がやりたがらないことを引き受ける
• 複雑な症例の過去の手術所見や画像所見を把握して、手術のアシストに備える
• 研究・論文執筆で、その科の実績に貢献する

派手じゃないけど、「この人なら大丈夫」と思ってもらう材料を、毎日ちょっとずつ積み上げる。
そうやって信用貯金を増やしていって、

「知り合いのところで人を探してるんだけど…」
「今度うちに空きができるんだけど…」

みたいな話が来るのを待つ。



待つだけだと来ないので、つながりを作る

とはいえ、待っているだけだと、チャンスはなかなか来ません。幸い今は、行動すればすぐに人とつながれる技術があります。
• SNS(Twitter、LinkedIn)で他大学のアテンディングとつながる
• 学会発表や質疑応答で、名前と顔を覚えてもらう
• あるいは今回の私みたいに、TeamWADAチャンネルを通じてご縁をいただく

人のつながり、縁を大切にして、コネクションを作る努力はやっぱり大事だと思います。



最後は運。でも、運を掴む手は用意しておく

信用貯金を重ねて、コネクションも作って、それでもタイミングによっては良いポジションが見つからないことがあります。結局、最後に実感したのは、「一番大切なのは運」でした。

ただ、ポジションに空きが出たときに、信用貯金とコネクションがなければ、“空きが出た”=“チャンスが来た” ことにすら気づけない。

「人事を尽くして天命を待つ」って、使い古された言葉だけど、使い古されるには理由があるんだな、と今回しみじみ思いました。

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