狩野探幽がくつろぎながら描いた“秋”……《草花写生図巻》@トーハク
東京国立博物館の安土桃山から江戸時代までの近代絵画の部屋には、秋の草花が咲き誇っています。その中で、ひときわひっそりと咲いているのが……《草花写生図巻 秋》です。描いたのは狩野探幽さん……作者名を記した看板か札がかかっていれば、もっと多くの人が見入りそうですけど、ときおり外国人がさーっと見ていくだけの雰囲気にとどまっています。

以前、同図巻の「春」を見た時から、他の季節の巻を楽しみにしていました。わたしは完成された作品よりも、こうしてササっとスケッチしたような絵の方が「いいなぁ」って思う確率が高いようです。
狩野探幽さんの当作も、いい感じで肩の力が抜けているような印象を受けます。まぁ知っている人からすれば「いやいや侮るなかれ、この絵はものすごく気合いを入れて描かれたものですぞ…オホンッ」……なのかもしれませんが、まぁいずれにしても想像なんだからいいんですよ。わたしは、「狩野探幽さんがリラックスしながら描いたもの」に思えたし、思いたいんですからw
さて、解説によれば同図巻は「身近な草花や各家から持ち寄られた珍しいものなどを写生してまとめた図巻」なのだそうです。実際に草花を見て描いたものもあれば、誰かが描いた草花を写したものもあるということかな……と思ったら、「探幽が実際に手にとって観察した瑞々しい感性がみてとれます」と解説が続くので、すべて実際の草花を見て描いたのかもしれません。


なにが描かれているのかをパパパッと草花の名前を書いていければいいのですが……あぁ〜、あれあれ! よく見るやつ! ……とは思うのですが、名前が思い出せるものが少ないです。それに、間違っていたら申し訳ないし、それ以上に恥ずかしいので……。

とはいえ、狩野探幽さんも野花に詳しいわけではなく、例えばキク科などは種類が多くて難しいですし、この黄色い花などは「野菊」と記されているのみでした。そうそう、野菊で間違いないですね。




↑ この花などは、なぜか彩色がしっかりと施されていて、中央の雌しべなんて、黄色いインクが盛り盛りにされていたので、もしかすると実際の作品に描く前に、かなり本気で描いたのかもなぁとか、もしくはこの花が気に入って、色彩もリアルに描きたかったのかもなぁとか、色んなことが思い浮かびます。

解説には「画中には年記があり、没年まで写生をしていたことがわかります」とあります。実際に上の箇所のように日付が記されていることも多く、ここは……寛文八年七月晦日(30日)……でしょうかね。もしそれが正しければですが、1668年ですから狩野探幽が66歳頃……亡くなる6年前のスケッチということになります。

これは分かりやすいですね……「水引」です。「水いき」と書かれているように見えますが……昔の人は「い」を「ひ」と書き、「ひ」を「い」と書いていたんでしょうか……。

その横に描かれている、下の写真の草も「水引」なのかと思って、付記されている名前を見ると……読めません……けれども「水いき」とは異なるような気がします。仲間の種でしょうか。


「ホタルブクロ」っぽいですけど……花の大きさとかは、わたしが知っている「ホタルブクロ」とは、なんか違うかもなぁ……。それにしても、この桃色というかピンクというか淡い赤というか……茎や葉の緑色もですが、褪色もせずにきれいに残っていますね。なにか色の確認をするために記しているのかなぁ……。


これは何だかさっぱり分かりませんね……睡蓮の葉っぱのような雰囲気ですが、後ろのすすきの大きさからして、それはないかぁ〜という感じです。これはほんとに、何かを見て描いたというよりも、心の中に残っていた情景を「こんな感じだったかなぁ〜」っていう感じで描いているようにも見えます。






これは「オニノゲシ」といった感じでしょうか。季節を問わずに見かけるような気がして、秋の花なのかは分かりませんが……都心でも、そのあたりで見られますね。





下は「ミゾソバ」の花弁が開く前のようにも見えますが、隣に書かれている「〇〇ノ花」と記されているので、異なる花なのかもしれません。



これは朝顔で間違いなさそうですけれど、今回の絵巻のテーマは「秋」です。そこで調べてみると、朝顔は「秋」の季語とのこと。7〜8月は陰暦では秋なので、まぁ恐れ入谷の朝顔祭りも7月開催なので、まぁ秋の花ということで間違いなかったのでしょう。今の感覚とはだいぶ違いますけどね。




これはツバキかな? とも思いましたが、椿は、漢字が示すとおり「春」の花でしょう……。そう考えて改めて雌しべの形をみると、椿ではなさそう……。


アザミも、わたしの中では夏の花ですが……開花時期を調べてみると「一般的には9〜10月」とあるので、秋ということで間違いなさそうです。

下の写真の真ん中の花はなんですかね……。菊っぽいですけれど、雌しべ雄しべが水色の花っていうこと自体が、珍しい気がします。



手前の少し紫っぽい花には「菊菜」と記されています。菊菜? って聞いたことがなかったです……。農林水産省のWebサイトには「春菊のなかでも、えぐみや苦味の少ない菊菜」とあります。そんな春菊があるんですねぇ……料理しないのがバレますね。


上の黄色い花には「女老花」と添えられています。推測するに「女郎花(おみなえし)」で間違いなさそうです。

カーネーションのような濃い赤色の花もあります。やたら色のグラデーションがきっちりと描かれている気がします。




最後の花をたくさん入れた籠を描くところが、なんかいいですよね。狩野探幽さん……良い人そうだなw
今回のnoteは以上です。
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