東京国立博物館の近代絵画に魅了されました
週末に東京国立博物館へ行ってきました。最近は土曜や日曜は、展示室は人が多くて、トーハクへ行きたいという気持ちがおきなくなっています。ただし「閉館ギリギリに行けばすいているかも?」なんて淡い期待をいだきつつ、最後の1時間ちょっとだけトーハクを回ってみることにしました。
16時少し前にトーハク本館に入りましたが、やはり人が多いですね。そりゃそうだよなぁと思いつつ、まずは2階をぐるっと巡ってみました。それから1階に移って刀剣の間(13室)へ。特別展から流れてきたのか……もしくはこれから流れていくのか……刀剣ファンの女性がいつもより多い気がします。そそくさと部屋を通り過ぎて、アイヌ&琉球の部屋へ(16室)。やはり混んでいます。でもそろそろ閉館時間ということで、もしかすると刀剣の部屋が空き始めているかもなと思って、人の流れに逆らうように13室へ戻ってみました。すると……
「すいませーん、閉館時間になりまーす」と、警備の方がやってきました。「そうか、もう閉館かぁ」と思いながら本館の玄関に向かおうとすると、警備員さんが「こちらから順に閉めていきますので、そちらへ進んでください」と言います。
「え……玄関は、すぐそこなのに……」とも思いましたが、逆に考えると「まだ急いでなら、見て回れるってことじゃん!」と思って、まだ見ていない「近代美術の部屋(18室)」へ急ぐことにしました。

一度、刀剣を見て帰ろうと思い16室から13室まで歩いていきましたが、ここで警備員さんに逆へ向かう……戻るように言われて、改めてぐるっと18室を目指しました
■どこを切り取っても絵として成立する下村観山の『白狐』
そして……18室へ行くと、展示が変わって、見たことのない作品が展示されていました。部屋に入って振り返ると、いつも大きな作品が飾られている場所です。振り返って、ちょっと絶句しました。そのくらい素晴らしいって感じたんです。「なにこれ……誰の作品?」って思って解説パネルを見ると……下村観山の『白狐』とあります。
すごいな……と、作品を前にして思いました。

写真に撮っても、単なる2Dの絵なんですけどね……。なんだろ、静かな森の雰囲気が頭の中にふわぁ〜って再現された気がしました。

画像を拡大してもらえると分かるのですが、狐が単なる白ではなく、白の上に白が重ねて描かれています。全体を引いて見ると、その毛並みの一本一本は、目の悪いわたしには見られないんですけど、たぶん感じることはできているんですよね。それで、白狐がリアルな生き物として頭の中に投影されていきます。

葉っぱは……黄色いのは柏っぽいですけど……枝ぶりが違うような……。奥にあるのはアカメガシワか……同定に自信ないけど……。
いずれにしても、大きな絵のどこを切り取っても絵として成立している点が、わたしの好みです。二曲一双の構成でありつつ、もし一隻ずつ切り離しても、素敵な作品として成立しそうです。
なんて思いながら写真を撮っていたら、先ほど通った部屋から「閉館しまぁ〜す」と、先ほどの警備員さんの声が聞こえてきて、ぞろぞろと他のお客さんが部屋に入ってきました。急がねば!
■智積院を出奔して画家を目指した土田麦僊
早くエントランスへ向かわなくなては! と思って振り返ると……また「これいいじゃん!」な作品が展示されていました。土田麦僊さんの『名粧』です。

この前、サントリー美術館『京都・智積院の名宝』へ行った時に「いいじゃんこれ」と思ったのが、土田麦僊さんの『朝顔図』でした。なんでしょうね……好みの線と色使いなんだと思います。
いまWikipediaで調べてみたら「竹内栖鳳に師事」とあったので、納得しました。また、先日読んだ『京都・智積院の名宝』の資料には、佐渡生まれの土田麦僊さんは、16歳の時(おそらく明治36年)に智積院に入ったのだといいます。「入った」というのが、どういうことか分かりませんが、小坊主として預けられたのでしょう。ただし、麦僊さんは「画家になりたい!」という強い思いがあったようで、「画家を志して出奔した」と記されていました。Wikiには「明治37年(1904年)、竹内栖鳳に弟子入り」とあるので、京都東山の智積院を出奔して、そのまま竹内栖鳳の家へ転がり込んだのでしょう。もしかすると京都に来てからの数カ月の間に、竹内栖鳳さんには弟子入りを頼み込んでいたのかもしれませんね。
そんな激情家っぽい土田麦僊さんですが、描いた絵からは、とても穏やかさを感じます。線には迷いがなく意志を感じるのに、全体としてはホワンとした印象です。

なんて思っていると、とうとう警備員さんが18室に入ってきました。「わぁ〜ごめんなさ〜い」と心の中で思いつつ、またエントランスへ向かって歩きました。するとまた……
■下村観山のきれいな絵巻物『修羅道絵巻』
エントランスへ向けて歩き始めたのですが、毎回、高確率で好みの作品が置いてある、長〜〜い展示ケースの作品をチラッと見てみたら、やっぱりすごい作品が置いてあったんです。
またまた下村観山さんの『修羅道絵巻』です。

わぁ〜、見たいよ見たいよと思いながら、とりあえずスマホでパシャパシャと写真を撮っていきました。かけた時間はおよそ1分か2分。歩を進めながら、帰ったらじっくりと見てみようと、乱れ撮りです(笑)。だって、警備員さんがどんどん迫ってくるんですもん。










絵の勢いと同じように右から左へとスマホで乱れ撮りをしながら、エントランスへと向かっていきましたが、なんだか昔の絵巻物にインスピレーションを受けて描いたんだろうなっていうのだけは分かりました。
この作品については、文化財オンラインにも載っていました。そこには「観山27歳にして古絵巻の学習成果を集約させた、完成度の高い近代絵巻といえよう」とあります。たしかにこれが27歳の時の作品って……ごいすぅ〜すぎますよね。
ということで「ほんと…ごめんなさい!」と思いながら、もう振り返るのはやめようと心に決めて出口へと向かいました。今日も来てよかったですし、また平日に来られる日があったら、来たいなと思いました。


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