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この秋、東京国立博物館に麒麟(キリン)が帰ってくる!

東京国立博物館東博=トーハクでは、2022年10月18日(火) ~ 2022年12月11日(日)の期間で、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を開催されます。

同展では、トーハク所蔵の全国宝(89件)が展示されると同時に、明治天皇が京都から東京へ遷られる時に使った鳳輦ほうれんや、かつて帝室博物館だった頃のトーハクにいた、キリンの剥製が展示されます。

東博の壁に掲示されている往時の博物館の館内写真

写真の左側が、秋の特別展で展示される雄のキリンの「ファンジ」です。明治40年1907にドイツから輸入されて、上野動物園で暮らしていましたが、翌41年の3月に亡くなってしまいました。短命だったのは、当時の上野動物園のキリン舎の、暖房の不備が、大きな要因としてあったと言います。(上野動物園の公式Twitterより

↑ 上野動物園のTwitterアカウントでは、キリンのファンジとグレーについてツイートしています。横浜から上野まで、どう運んだのか? キリンを「キリン(麒麟)」と呼ぶことになった経緯などが記されていて、面白いです。

キリンのファンジとグレーが亡くなった後は、剥製にされて帝室博物館現トーハクで展示されることになります。当時の上野動物園は、帝室博物館現トーハクの一部だったので、自然な流れだったのでしょう。その後、関東大震災で展示物が不足していた、お隣にある国立科学博物館科博=カハクへ移管されます。現在は、科博に収蔵されている……はずなのですが、現在、上野公園の科博へ行っても、ファンジもグレーの剥製標本も展示されていません。

科博の研究者である川田伸一郎さんは、著書『標本バカ』で、現在キリンの剥製は、茨城県つくば市にある同館の収蔵庫に保管されていると言います。そこでは、たまに見学会が開かれ、キリンの剥製も見られるのだそうです。

ただし、剥製は2体ではなく1体のみ。どうやら雄のファンジが残っていて、雌のグレーの剥製は、廃棄されてしまったようです。グレーは、冒頭の剥製後の写真を見ると、木の葉を食べているかのように、少し首を伸ばしている姿の方です。

なぜ廃棄されたかは公式には不明……ここからは想像ですが、高さのある雌のグレーの剥製は、上野から茨城県つくば市まで運べなかったか、運搬が(特にコスト面で)困難だったために、廃棄されてしまったのではないでしょうか。科博のTwitter掲載の写真を見ると、高さが4m近くありそうです。倒して運ぶにしても、貨車の中で固定するのは難しいような気がします。もしくは、収蔵庫に入れられなかったから……なのかもしれません。

この両肢を広げた姿勢って、なにをしているところ?

ところで、『標本バカ』には、もう一つ興味深いことが記されていました。前肢を左右に大きく広げて首を地面にまで下げているファンジの姿勢についてです。川田さんによれば、これは「キリンが水を飲む時にとる姿勢」なんだとか。またなぜ、その水飲み姿勢で剥製にしたかと言えば……川田さんは「うがった見方をすれば」と断りつつ、雌のグレーよりも大きなファンジを立たせた状態で剥製にすると、展示室に入らなかったからではないかと推測しています。

いずれにしても、そんな様々な苦難を乗り越えてきた、キリンのファンジの剥製が、この秋に、科博からトーハクへ一時帰宅します。それを聞いてからずっと、「トーハクの目の前にある科博から持ってくるんだなぁ」って、漠然と思っていたのですが……なんとなんと、つくば市から運んでくるんですよねぇ。そんなファンジの姿を、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」で、見てみたいなと思います。

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