「若者は和田政宗に入れていた」宮城県知事選が見せた“世代で真っ二つ”のニッポン政治
【概要】2025年12月3日の参政党記者会見で和田政宗氏が明かした「50歳以下では勝っていた」発言。宮城県知事選の出口調査から見える世代間政治格差の実態と若者の投票行動を解説します。
2025年12月3日、国会内で開かれた参政党の臨時記者会見。元自民党参議院議員・和田政宗氏の政調会長補佐就任が発表されたこの場で、一つの発言が宮城県知事選の世代別投票行動に改めて注目が集まるきっかけとなる内容でした。
「宮城県知事選挙で、当日の各メディアの出口調査では50歳以下では私全て勝っているという状況でございました」
選挙結果だけを見れば、現職・村井嘉浩氏が約34万票を獲得し6選を達成。和田氏は約32万票で次点に終わりました。
しかしその裏には、「これからの未来を長く生きる世代」が選んだ"もう一つの結果"が隠されていたのです。
この記事では、
記者会見で何が語られたのか
出口調査の世代別データが示す「分断」の実態
なぜ50歳以下は和田氏を選んだのか
世代間政治格差とは何か、そしてどう向き合うべきか
を、政治初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
第1章:参政党・臨時記者会見

和田政宗氏の政調会長補佐就任という転機
2025年12月3日、参政党は元参議院議員・和田政宗氏(51歳)を政調会長補佐として迎え入れることを正式発表しました。
和田氏の経歴(簡易版)
元NHKアナウンサー
2013年、みんなの党から参議院議員初当選
その後自民党に移籍し2期12年務める
次世代の党で政調会長・幹事長・党首代行を歴任
2024年11月、自民党に離党届を提出
神谷宗幣代表は会見で、「議員も新人ばかりで質問作りが追いつかない。和田さんには政策立案に深く関わってほしい」と述べ、豊田真由子氏を政調会長代行に格上げし、和田氏を政調会長補佐に据える人事を明らかにしました。
「11年前に一緒に作ろうとした政党が参政党」
記者会見で和田氏は、参政党参加を決断した理由の一つとして、神谷代表との個人的な縁を挙げました。
「実は11年前、みんなの党が壊れた時に神谷代表と新党を作ろうとしていました。今回『あの時一緒に作ろうとした政党は今の参政党なんですよ』と言っていただいて、私の心を大きく動かすきっかけになりました」
この発言は、単なる政治的打算ではなく、長年温めてきた「若い世代が参加する新しい政治」への思いが根底にあることを示唆しています。
そして語られた「50歳以下では勝っていた」
会見の質疑応答で、記者から「宮城県知事選で得た知見をどう政策に反映するか」と問われた和田氏は、こう答えました。
「当日の各メディアの出口調査では50歳以下では私全て勝っているという状況でございました」
さらに続けて、
「出産育児費用の完全無償化を初めとした子供子育て政策、県民の子育て世代の大幅減税といった政策が、まさに若い世代に投票していただいた結果です」
出口調査で示された『50歳以下では和田氏が優位だった』という構図は、世代間政治格差を考える上で重要なポイントと言えます。
第2章:宮城県知事選2025 — データで見る「分断」の実態

選挙の基本情報をおさらい
まずは前提となる選挙の全体像から整理しましょう。
宮城県知事選挙2025の概要
投開票日:2025年10月26日
主な候補者
村井嘉浩氏(現職、自民・公明・維新系が支援)
和田政宗氏(元参院議員、無所属で出馬、参政党が事実上支援)
その他候補数名
最終結果:
村井嘉浩:約34万票
和田政宗:約32万4,000票
票差:約1万5,000票
現職が勝利したとはいえ、「薄氷の勝利」と各メディアが報じる大接戦でした。
地域別で見える「都市 vs 地方」の構図
もう一つ重要なのが、票の地理的な偏りです。
地域別得票の特徴
仙台市(5区合計):和田氏が約17万票、村井氏を約3万6,000票上回る
仙台市以外の市町村:村井氏が和田氏を5万票以上リードし逆転
つまり、
都市部(仙台)→ 変化を求める票が集中
地方部 → 安定・実績を求める票が優位
という構図がくっきりと現れていました。
世代別出口調査が示した「50歳以下 vs 60歳以上」
では、最も重要なデータを見ていきましょう。
FNN(仙台放送)が実施した出口調査では、年代別に以下のような結果が出ています。
年代別・主な投票先(最も割合が高い候補)
$$
\begin{array}{|l|l|l|}
\hline
\textbf{年代} & \textbf{投票先トップ} & \textbf{割合} \\ \hline
10代 & 和田政宗 & 47% \\ \hline
20代 & 和田政宗 & 54% \\ \hline
30代 & 和田政宗 & 60% \\ \hline
40代 & 和田政宗 & 48% \\ \hline
50代 & 村井/和田 & 42%(拮抗) \\ \hline
60代 & 村井嘉浩 & 48% \\ \hline
70代 & 村井嘉浩 & 46% \\ \hline
80歳以上 & 村井嘉浩 & 50% \\ \hline
\end{array}
$$
ポイント整理
✅ 10〜40代は和田氏がリード
✅ 50代は五分五分
✅ 60代以上は村井氏が優位
この数字が示しているのは、「同じ宮城県民なのに、年齢によって"選びたい未来"がまったく違う」という厳然たる事実です。
無党派層も若者寄りに流れた
同じ出口調査では、「どの政党も支持していない=無党派層」の動きも集計されています。
無党派層の投票先
村井嘉浩:37%
和田政宗:41%
その他・棄権等:22%
無党派層は若い世代〜中堅世代に多いと言われています。そこで和田氏が上回っているということは、「組織票」ではなく「自分で考えて投票する層」が、変化側に流れていたことを意味します。
第3章:なぜ50歳以下は「挑戦者」を選んだのか?

ここからは、若い世代の投票行動の理由を、政策・体験・情報源の3つの軸で分析していきます。
理由①:生活に直結する「子育て・将来不安」が決め手
出産・子育て・減税という"リアルな関心事"
和田政宗氏が掲げた主な政策は以下の通りです。
出産・育児費用の完全無償化
子育て世帯や現役世代の大幅減税
若年層の所得向上施策
これらは、「今まさに子育てをしている世代」「これから子どもを持とうとしている世代」に直接刺さる内容です。
一方、現職の村井氏は、
東日本大震災からの復興
自動車関連産業の誘致
20年間の実績と安定
といった、「これまでを総括する」文脈の訴えが中心でした。
どちらが正しい・間違っているではなく、「どの世代に響くか」が違うのです。
60代以上の関心:これまでの暮らしを守れるか(年金・医療・地域コミュニティ)
50代以下の関心:これからの暮らしを良くできるか(子育て負担・給料・キャリア)
この視点の違いが、そのまま投票行動の違いになったと考えられます。
理由②:「草の根・参加型選挙」に若者がハマった

スーツではなく「私服のボランティア」が街頭に集まった
宮城県知事選の和田陣営には、従来型の選挙とは異なる特徴がありました。
和田陣営の特徴
手弁当のボランティアが多数参加
若い世代・子育て世代のサラリーマンや主婦がSNSで呼びかけ合って集結
スーツ姿の「動員」ではなく、普段着の市民が目立った
和田氏は記者会見でこう語っています。
「来てる人みんなスーツ着てないんですよ。土日中心だったこともありますが、若い方々が手弁当でボランティアに参加してくれた。これは私の所属していた政党ではなかなかできないものでした」
従来型の「組織・団体がバスで動員して、のぼりを持って並ぶ」選挙とは対照的に、「自分たちで変えに行く」感覚を持てる場だったことが、若者を引きつけました。
SNSと参政党の「情報拡散力」
和田氏の背後には、SNSをフル活用する参政党の存在がありました。
参政党の選挙戦略
代表の神谷宗幣氏が複数回、仙台入りして街頭演説
X(旧Twitter)やYouTubeで演説動画・解説コンテンツを拡散
支持者コミュニティ内で「シェアして広げよう」と呼びかける動き
テレビや新聞よりもスマホ・SNSで情報を取る世代にとって、「オンライン → オフライン(リアルの街頭・ボランティア)」が自然につながる選挙になっていたのです。
理由③:「オールド政治」への違和感
村井知事の「舌出し事件」が象徴するもの
当選確実後のインタビューで、村井知事が舌を出すパフォーマンスをしたことが物議を醸しました。
和田氏は記者会見でこの件について問われ、次のように批判しました。
「一生懸命に応援してくれた方を侮辱するようなそういうことについては私はもうこれ全く許せない。勝ったら何でもいいみたいな、そういうような状況っていうのは私はおかしいと思う。オールド政治の典型だと思います」
さらに続けて、
「新しい政治というのは相手に対するリスペクトがあるということ。選挙は結果が全てですが、私にも投票してくれた30万人を超える方々がいる。そういった方々に対する敬意があれば、あんなことはしなくてもいい」
勝てば官軍という古い政治スタイルに対し、相手へのリスペクトや品格を求める若い世代の感性が、和田氏支持へとつながった側面も見逃せません。
一方、村井知事は12月3日の定例会見で和田氏の参政党入りについて「非常に器用な生き方をされている方だと思う」とコメントし、皮肉めいた発言で応酬しています。
第4章:それでも現職が勝った理由 — シルバーデモクラシーという現実

高齢者の「投票率×人口ボリューム」の破壊力
ここで出てくるのが、「シルバーデモクラシー」(シルバー民主主義)という概念です。
シルバーデモクラシーとは
有権者の中で高齢者の割合が高く、その人たちの投票率も高いため、結果的に「高齢者に有利な政策」や「変化より現状維持」が選ばれやすくなる現象
今回の宮城県知事選でも、以下のような構図がありました。
出口調査では60代以上の多くが村井氏を支持
投票率は一般的に若者より高齢者の方が高い
結果として、全体の票数では"高齢層の選択"が勝つ
50歳以下が変化を選んでも、「投票に行かない若者」+「確実に投票する高齢者」という組み合わせの前では、まだ届かなかったのです。
「若者がバカ」なのではなく、状況が違いすぎる
ネット上では、「若者は極端な候補に入れすぎ」「判断力が足りない」といった批判も出ました。
しかし、以下の現実を踏まえる必要があります。
若い世代の置かれた状況
社会保障を「支払う側」で「受け取るのはずっと先」
非正規雇用の増加や将来の年金不安
「このままではまずい」という切実な危機感
情報源がテレビよりSNS中心で、違う視点の情報に触れやすい
高齢世代の置かれた状況
年金・医療など既に受け取っている社会保障の維持が重要
安定した生活基盤があり、急激な変化はリスク
情報源はテレビ・新聞が中心で、実績重視の判断
つまり、見ている景色がそもそも違うのです。
高齢者が「現職の実績と安定」を重視するのは自然なことですし、若者が「将来への不安と変化」を重視するのもまた自然です。ここに優劣をつけるより、「なぜそう感じるのか」を冷静に見ていく方が建設的です。
第5章:世代間政治格差が広がると何が問題なのか?
問題①:社会保障の「負担する人」と「受け取る人」が分断される
日本は少子高齢化が急速に進んでおり、
年金や医療費などの社会保障費は増え続ける
それを支える現役世代は相対的に減っていく
という構図です。
このとき政治が「高齢者の票」を意識しすぎると、
給付(もらうお金・サービス)は減らしづらい
でも税金や社会保険料は上げないと財政がもたない
となり、現役世代への負担がじわじわ重くなります。
「負担する側の声」が政治に届きにくい状態が続けば、若者の政治不信がさらに進む危険があります。
問題②:若者の「政治離れ」が加速する悪循環
今回の宮城県知事選は、若者が動けばここまで接戦になる、という希望も見せてくれました。
しかし同時に、
「頑張っても結局は高齢層の票で決まるなら、もういいや」
という諦めにつながる可能性もゼロではありません。
これは政治にとっても社会にとっても危険なシナリオです。なぜなら、
政治に関心がある層だけが投票する
ますます特定の層(高齢者+既得権益)向けの政治に偏る
若い世代の生活や将来不安が置き去りになる
さらに政治離れが進む
という「負のループ」が強化されてしまうからです。
第6章:宮城県知事選から学ぶ「これからの戦い方」

では、この「世代間政治格差」を前提としたうえで、私たちはどう動けばいいのでしょうか。
ここからは、個人・政治家・メディアの3つのレベルで具体的なアクションを考えてみます。
個人編:若い世代ができる3つのアクション
① 「完璧な候補」を探すより、「マシな選択」をする
完璧な候補、100%価値観が一致する政党は、まず存在しません。
宮城県知事選でも、
村井氏:復興やインフラで実績あり。ただし多選や一部政策に懸念
和田氏:子育てや若者の政策に注力。ただし主張や支持層に賛否あり
といった、「一長一短」の構図でした。
重要なのは、
「今の自分の暮らし」と「10年後の自分の暮らし」にとって、どちらが"まだマシ"か
という視点で、二者択一でも"相対的な選択"でも、とにかく投票行動につなげることです。
② SNSだけで完結せず、「公式情報+複数メディア」をチェックする
宮城県知事選は、SNSでの情報拡散が非常に大きな役割を果たしました。
その一方で、断片的な切り抜き動画や煽りポストも多く、「誤解」が広がりやすい環境でもあります。
情報リテラシーを高める習慣
候補者の公式サイト・公約PDF・選挙公報を見る
地元メディアのニュースも一度はチェックする
SNSはあくまで"入り口"と捉える
複数の視点から情報を比較する
という習慣をつけておくと、感情的なトレンドに流されずに済みます。
③ 「一人で悩まない」— 家族・友人と政治の話をしてみる
日本では、政治やお金の話をタブー視する空気があります。
しかし、世代間政治格差がここまで大きくなっている以上、
親世代・祖父母世代と、投票先や価値観をあえて話してみる
会社や友人同士で、「今回どこに入れた?」と気軽に話せる空気を作る
ことが、長い目で見れば一番効いてくる対策かもしれません。
対話なしに、お互いの立場や不安を理解することはできないからです。
政治家・政党に必要な視点
宮城県知事選の出口調査は、政党にとってもはっきりしたメッセージになっています。
政党が学ぶべきこと
✅ 10〜40代を「ちゃんと取りに行けば」ここまで票が動く
✅ 逆に言えば、放っておくと他の"新しい選択肢"にごっそり持っていかれる
参政党は、まさにこの「空白地帯」に入り込む形で支持を集めたと考えられます。
既存政党が本気で若者票を取りに行くなら、
若い世代の"リアル"な悩みに直結する政策(家計・キャリア・子育て)
SNS時代のコミュニケーション設計(双方向性・分かりやすさ)
「参加してもいいんだ」と感じさせる場づくり(オンライン+オフライン)
が不可欠です。
メディアができること
地方選挙になるほど、情報は限られがちです。
宮城県知事選では、出口調査や解説記事を通じて、
年代別の投票傾向
地域別の票の出方
候補者ごとの政策の違い
などを丁寧に伝えたメディアもありました。
こうしたデータを"選挙後に振り返るだけ"で終わらせず、
選挙前から「今回の争点」「世代ごとの関心」を可視化して伝える
若い世代が見ているSNS空間とも連携して発信する
出口調査の詳細を選挙当日にリアルタイムで公開する
といった取り組みを広げていくことで、「投票しても意味がない」という空気を変えていくことができます。
まとめ:50歳以下が選んだ未来を「幻」にしないために

2025年12月3日の参政党・臨時記者会見で明かされた「50歳以下では勝っていた」という事実は、単なる選挙の裏話ではありませんでした。
それは、
10〜40代の多くが「変化」を選び
60代以上は「安定」を選んだ
都市部では挑戦者が勝ち、地方部では現職が勝った
という、日本社会の「分断」を可視化するデータだったのです。
最終的には現職が6選を果たしましたが、「もし若い世代の投票率がもう少し高かったら」という"IF"が、現実味を持って語られるだけの数字が出ています。
世代間政治格差は「対立」ではなく「対話」のきっかけに
世代間政治格差は、「どちらが悪い」という話ではありません。それぞれの世代が、それぞれの立場から「合理的に」投票した結果です。
だからこそ、
若い世代は、諦めずに「自分の暮らし」と「10年後」を軸に一票を投じる
高齢世代は、負担を担う現役世代の声にも耳を傾ける
政治とメディアは、両方の世代を"ちゃんと有権者として見る"
この3つの意識がそろって初めて、世代間政治格差は「対立」ではなく「対話」のきっかけになります。
あなたは、次の選挙でどんな未来を選びますか?
もし今回の宮城県知事選のような構図が、あなたの住む地域でも起きたとしたら——
そのとき、誰に、何を託すでしょうか。
参政党・和田政宗氏の記者会見が投げかけた問いは、宮城県だけの話ではありません。それは、これからの日本政治全体に向けられた、重要なメッセージなのです。
シルバーデモクラシー(シルバー民主主義):有権者に占める高齢者の割合が増え、高齢者向けの政策が優先されやすくなる政治の状態や、そのような傾向を指す言葉。
出口調査:投票所の出口で有権者に「誰に投票したか」などを聞き取り、開票前におおよその傾向を把握するための調査。
無党派層:特定の政党を支持していない、または支持政党を持たない有権者のグループ。
シルバー世代:主に高齢者層(一般的には60歳以上)を指す言い方。年金生活者を中心とした世代を意味することが多い。
草の根(草の根運動):政党や大きな組織に頼らず、地域の市民や小さな集まりから広がっていく自発的な社会・政治活動。
無党籍(無所属):特定の政党に所属していない政治家・候補者の立場。
世代間格差(世代間政治格差):世代によって受ける恩恵や負担、政治への影響力などに大きな差がある状態。
参考文献・情報源
参政党臨時記者会見(2025年12月3日)
FNN仙台放送 出口調査結果
宮城県選挙管理委員会 公式結果
関連タグ
#参政党 #和田政宗 #宮城県知事選 #シルバー民主主義 #若者政治参加 #シルバーデモクラシー #シルバー民主主義 #神谷宗幣 #選挙 #政治
