トランプが引導を渡した「国連の葬儀」。ハメネイ師死亡と街頭の歓声が突きつける、新しい正義のカタチ
2026年2月28日、米・イスラエルによる大規模空爆「エピック・フューリー作戦」が実施され、イランのハメネイ最高指導者が死亡。中東が激震に包まれる中、国連安全保障理事会は「拒否権」の壁に阻まれ、再び沈黙しました。
ハメネイ師の死を祝うイラン市民の歓声と、機能を停止した安保理。いま、80年前に作られた「国連」というシステムは、その存在意義を根本から問われています。本記事では、この歴史的転換点の全貌と、揺らぐ世界秩序の行方を多角的に分析します。
2026年2月28日、世界は衝撃的なニュースに揺れた。アメリカとイスラエルが、イランに対して大規模な共同軍事攻撃を開始したのだ。
トランプ大統領は「ハメネイ最高指導者は死んだ」とTruth Socialに投稿し、ネタニヤフ首相は「イランの脅威を排除する」と宣言した。イランは即座に報復攻撃を行い、湾岸諸国の米軍基地やイスラエルにミサイルを撃ち込んだ。

中東が炎に包まれる中、国連安全保障理事会は緊急会合を招集。グテーレス事務総長は「誰も制御できない連鎖反応を引き起こす危険がある」と警告し、即時停戦を訴えた。
でも、ここでちょっと立ち止まって考えてみたい。この緊急会合で、国連は何かを「できた」のだろうか? 率直に言って、答えはNOだ。そして、これこそが今、世界中で問われている根本的な疑問につながる──国連に存在意義はあるのか?
今回の記事では、このニュースを多角的に掘り下げながら、国連という80年前に生まれた国際機構の「今」と「これから」を考えてみたい。
そもそも何が起きたのか?──米・イスラエルのイラン攻撃の全貌

攻撃の経緯
2026年2月28日の朝(イラン現地時間)、イスラエル空軍約200機と米軍のトマホークミサイル、HIMARS、ドローンが一斉にイランに向けて攻撃を開始した。イスラエル側のコードネームは「ロアリング・ライオン(Roaring Lion:獅子の咆哮)」、米国防総省は「オペレーション・エピック・フューリー(Operation Epic Fury:猛烈な怒り作戦)」と命名。
標的はテヘラン、イスファハン、コム、カラジ、ケルマンシャーなど、イランの政治・軍事・核開発の中枢だった。ネタニヤフ首相は「イランの存在的脅威を除去するための共同作戦だ」とビデオ声明で語り、トランプ大統領は「邪悪な独裁政権がアメリカの安全保障を脅かすことを許さない」と宣言した。
ハメネイ最高指導者の「死亡」報道
攻撃開始後、トランプ大統領はTruth Socialで「ハメネイは死んだ」と投稿し、各国メディアが「死亡」と「否定」が入り混じる形で報じた。
その後、イラン国営メディアが、米軍とイスラエル軍の攻撃により最高指導者ハメネイ師が死亡したと報じ(イラン側が死亡を追認した形)、死亡が確認された。
報道では、ハメネイ師は執務室で死亡したとされ、イランは40日間の服喪(追悼期間)を宣言したとも伝えられている。
つまり今回の局面は「首都空爆」だけでなく、「最高指導者の死亡」という体制中枢の断絶を伴う危機へと質が変わった、と見た方が現実に近い。
イランの報復と中東の混乱
イランは即座に報復に出た。カタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアリ・アルサレム空軍基地、UAEのダフラ空軍基地、バーレーンの米第5艦隊司令部など、湾岸諸国に展開する米軍施設にミサイルを発射した。
UAEのアブダビでは落下した迎撃ミサイルの破片で少なくとも1人が死亡、ドバイの主要空港は一時閉鎖された。サウジアラビアは「あからさまなイランの侵略行為」と強く非難した。
政治・国際関係の視点──国連安保理は「動けなかった」

緊急会合の中身
中国とロシアが「米国とイスラエルによる挑発的で無謀な軍事侵略行為」として緊急会合を要請し、フランスのマクロン大統領も同様に要請した。バーレーン、コロンビアも加わり、安保理は2月28日午後に緊急会合を開催。
グテーレス事務総長は、米・イスラエルの攻撃とイランの報復攻撃の双方を非難し、「すべてを尽くしてさらなるエスカレーションを防がなければならない」と訴えた。
イラン外相のアラグチ氏は安保理に書簡を送り、米・イスラエルの行為を「国連憲章に対する露骨な違反」と非難し、「国連憲章第51条に基づく自衛権を行使する」と主張した。
一方、イスラエルのダノン国連大使は「攻撃を非難するのは偽善だ」とし、「イランとそのプロキシが中東を不安定化させてきた責任がある」と反論した。
実質的な行動は「ゼロ」
ここが核心だ。安保理は会合を開いた。各国が意見を述べた。でも、具体的な決議は何も採択されなかった。なぜか? 答えはシンプルで、米国が常任理事国として拒否権を持っているからだ。

攻撃を行った当事国が、その攻撃を非難する決議を拒否できる──これが国連安保理の構造的な矛盾なのだ。ロシアのウクライナ侵攻でも、ガザ紛争でも、まったく同じパターンが繰り返されてきた。
2024年には安保理で8回の拒否権が行使され、1986年以来の最多を記録した。2025年も4回の拒否権が行使された(ガザに関する米国の2回、ウクライナに関するロシアの2回)。安保理が採択した決議はわずか44本で、1991年以来の最少だった。つまり、世界が最も危機的な状況にある時に、国連は最も動けなくなっているのだ。
歴史の視点──80年間のジレンマ、「大国の一致」なくして機能せず

そもそも国連はどうやって生まれたのか
国連の成り立ちを振り返ると、今の機能不全がなぜ起きるのかがよく分かる。国連は1945年、第二次世界大戦の惨禍を二度と繰り返さないために設立された。でも実は、その設計思想は「世界中の国が平等に話し合う場」というよりも、「大国が協調して世界の秩序を守る仕組み」だった。
ルーズベルト大統領は米英ソ中の「4人の警察官」構想を持っており、大国が世界の治安を維持するという発想で国連を設計した。
拒否権はその核心にある仕組みで、5つの常任理事国(米・英・仏・露・中)の「全員一致」がなければ重要な決定ができないようになっている。つまり、国連は大国の利害が一致している時にだけ機能するように作られた国際機構なのだ。
機能した時代、機能しなかった時代
冷戦期(1945〜1989年)は、米ソが互いに拒否権を乱発し、安保理はほとんど何も決められなかった。冷戦終結後の1990年代初頭は、唯一の超大国となった米国のリーダーシップの下、湾岸戦争での多国籍軍承認やPKOの活発化など、国連が最も機能した時期だった。1988年初頭にはわずか5件だったPKOが、その後5年間で14もの新規PKOが組織された。
しかしその黄金期も長くは続かなかった。ソマリア、ルワンダ、ボスニアでのPKOの失敗、コソボでの安保理決議なきNATO軍事介入(1999年)、そしてプーチン政権下でのロシアの覇権主義的行動──安保理は再び麻痺状態に陥っていった。
そして2022年のロシアによるウクライナ侵攻で、その限界は決定的に露呈した。侵略の当事国が拒否権を行使して自らへの非難決議を葬る──これは国連憲章が「合法的に」認めている行為なのだ。今回の米・イスラエルのイラン攻撃でも、まったく同じ構図が再現されている。
経済の視点──世界経済への衝撃と国連の「無力さ」

中東の不安定化がもたらす経済的影響
今回の攻撃は、単なる軍事衝突にとどまらない。中東全体に波及したイランの報復により、UAE、カタール、クウェートが空域を閉鎖し、世界の航空路線に大きな混乱が生じた。ドバイの主要空港が一時閉鎖され、湾岸地域を経由する国際物流にも打撃を与えている。
中東は世界の石油供給の要であり、ホルムズ海峡を通過する原油は世界の消費量の約2割を占める。軍事衝突の長期化は原油価格の高騰を通じて世界経済にインフレ圧力を加え、私たちの生活にも直接影響を及ぼす。
国連の財政危機
皮肉なことに、世界が国連を最も必要としている時、国連自体が深刻な財政危機に直面している。2025年の通常予算は37.2億ドルだが、全額を支払った加盟国は193カ国中わずか75カ国にすぎない。最大の分担率(22%)を割り当てられている米国は、累積で約15億ドルを滞納している。

トランプ政権は米国第一主義の下、国際機関への拠出を大幅に見直し、2026米会計年度予算案では国連関連で33.3億ドルの拠出停止を打ち出した。これにより国際移住機関(IOM)は本部職員の約2割を削減、人道問題調整事務所(OCHA)も職員約500人を削減する事態に追い込まれている。
「お金がないから動けない」という国連の苦境は、拒否権による機能不全とは別の次元で、国連の存在意義を根底から揺るがしている。
テクノロジー・軍事の視点──核拡散と「スナップバック制裁」の顛末

イラン核問題と制裁の復活
今回の軍事攻撃に至るまでには、長い外交プロセスがあった。2015年のイラン核合意(JCPOA)は、イランの核開発を制限する代わりに国連制裁を解除するという画期的な合意だったが、2018年にトランプ政権(第1期)が一方的に離脱し、枠組みは崩壊に向かった。
2025年8月、イギリス・フランス・ドイツの3カ国がイランの核合意違反を理由に「スナップバック」手続きを開始。これは核合意に組み込まれた「拒否権を迂回できる」珍しいメカニズムで、安保理が制裁解除の継続を決議しない限り、自動的に制裁が復活する仕組みだ。
2025年9月、中国とロシアが提出した制裁復活延期の決議案は、賛成わずか4カ国で否決され、同月27日にイラン制裁が正式に復活した。2026年1月にはプラハで40カ国が集まり、制裁の履行を促進する会議が開催された。
外交の失敗から軍事行動へ
この制裁復活後も、米国とイランの間ではジュネーブなどで核問題をめぐる交渉が続けられた。しかし、イスラエルは「イランの核施設の解体」を要求し、単なるウラン濃縮の停止では不十分だと主張。交渉は行き詰まり、結果的に軍事攻撃という最悪のシナリオに至った。
ここに国連の限界が如実に現れている。安保理での制裁メカニズムは機能したが、その先の紛争予防──つまり外交的解決の強制力──を持ち得なかった。制裁は「圧力」にはなるが、「平和」そのものを生み出すわけではない。
倫理・哲学の視点──「正義」は誰が決めるのか

攻撃の「正当性」をめぐる対立
今回の攻撃について、立場によって「正義」の定義はまるで違う。
トランプ大統領とネタニヤフ首相は「イランの核・ミサイル能力は不寛容な脅威であり、先制攻撃は自衛の範囲内だ」と主張する。米軍高官は「イランが先制攻撃を企図していた情報があった」と語り、攻撃の必要性を強調した。
一方、イラン外相は「主権と領土保全に対する露骨な侵害であり、国連憲章違反だ」と非難し、自衛権の行使として報復を正当化した。中国とロシアは米・イスラエルの行動を「挑発的で無謀な軍事侵略」と呼んだ。
英仏独の3カ国は興味深い立場をとった。米・イスラエルの攻撃自体は直接非難せず、イランの報復攻撃をより強く批判しつつ、「交渉の再開」を求めた。
「力の論理」が「法の論理」を圧倒する現実
ここで突きつけられるのは、国際社会における「正義」の脆弱さだ。国連憲章は武力行使を原則禁止し(第2条4項)、自衛権は安保理が必要な措置をとるまでの暫定的なものとしている(第51条)。しかし現実には、軍事的に強い国が「自衛」や「国家安全保障」を理由に武力を行使し、安保理がそれを止められないという構図が繰り返されている。
さらに今回、議論を複雑にしているのはイラン国内の反応だ。AFPBBなどの報道によれば、最高指導者の死亡が伝わると、一部の市民が街頭で音楽を流し、歓声を上げて「祝杯」を挙げる姿が見られたという。
長年の経済苦境やデモに対する苛烈な弾圧に耐えてきた人々にとって、この攻撃は「主権の侵害」ではなく「独裁からの解放」を意味していたのだ。
ここに、国連が抱える最大のパラドックス(逆説)がある。
国連憲章が守ろうとする「国家の主権」は、その主権の名の下で自国民を苦しめる指導者をも守ってしまう。
拒否権という仕組みは、法の論理ではなく力の論理を制度化したものであり、国際法の専門家たちが指摘するように、それは「集団的安全保障」のためではなく、強権的な国家の「自己免罪」のメカニズムとして機能してしまっている。
国民を弾圧する「主権」を、国際法はいつまで守り続けるべきなのか。
人間社会として、この仕組みをこのまま許容し続けていいのか?──今回のイラン攻撃は、これまでの国連のあり方では答えの出せない、あまりにも残酷で根本的な問いを私たちに突きつけている。
未来予測──トランプの「平和評議会」は国連を置き換えるのか

Board of Peaceの衝撃
実は今回のイラン攻撃のわずか1カ月前、もう一つの「国連の危機」が進行していた。2026年1月、トランプ大統領がダボスで「平和評議会(Board of Peace)」を正式に発足させたのだ。
当初はガザ復興のための暫定的な組織として安保理決議で承認されたものだったが、トランプ政権はこれをガザにとどまらない「グローバルな問題」に取り組む恒久的な組織に拡大する構想を打ち出した。
しかもその憲章草案によれば、トランプ自身が「無期限の議長」を務め、議題設定、メンバーの招聘・解任、拒否権の行使、さらには評議会の解散まで──すべてが一人の人間に委ねられている。
トランプ大統領は「この評議会が国連に取って代わるかもしれない」と発言し、外交関係者に衝撃を与えた。サウジアラビア、UAE、バーレーン、エジプト、トルコ、インドネシアなど約35カ国が参加を表明した一方、フランスは参加を辞退した。

「ポスト国連」の世界は来るのか
ケンブリッジ大学の国際法教授マーク・ウェラー氏は、「これは国連に対する直接的な挑戦であり、世界秩序を一人の人間の姿に作り替えようとする試みだ」と警鐘を鳴らしている。
しかし冷静に考えると、Board of Peaceが国連を本当に代替できるかは極めて疑問だ。国連には193カ国が加盟し、ユニセフ、WFP、UNHCR、WHOなど専門機関を通じた人道支援・開発支援のネットワークが地球規模で張り巡らされている。Board of Peaceにはそうしたインフラもノウハウもない。
むしろ本当の危機は、国連が弱体化する一方で、それに代わる実効的な仕組みも存在しない「空白」が生まれることではないだろうか。
それでも国連には価値がある──「見えない仕事」の膨大さ

安保理だけが国連ではない
ここまで読むと「国連って本当にダメなんだな」と思うかもしれない。でも、ちょっと待ってほしい。安保理の機能不全=国連全体の無価値ではない。
国連の「見えない仕事」は膨大だ。ユニセフは2024年、104カ国で448件の緊急事態に対応し、4,100万人に水と衛生支援を届け、2,460万人の子どもに予防接種を行い、1,270万人の子どもに教育の機会を提供した。世界食糧計画(WFP)は81カ国で7,670万人に食糧援助を届けている。
1948年以来、国連PKOはカンボジア、ナミビア、モザンビーク、エルサルバドル、東ティモール、コートジボワール、リベリアなど数十カ国で紛争終結と和解を支援してきた。2023年時点でも12のミッションに125カ国から88,000人の要員が参加している。
気候変動のパリ協定、持続可能な開発目標(SDGs)、人権条約、国際法の法典化──これらはすべて国連という枠組みがなければ実現しなかったものだ。
「話し合いの場」としての不可欠な役割
国連の中満泉事務次長が指摘するように、安保理の機能不全が続く中でも、国連総会の決議により大きな権限を与えるべきだという声は強まっている。
実際、ロシアのウクライナ侵攻後には、総会の緊急特別会合で141カ国がロシアを非難する決議を採択した。法的拘束力はなくても、国際社会の「総意」を可視化する唯一の場として、国連総会には代替不可能な価値がある。
193カ国が集まる場は、地球上に国連以外には存在しない。その「場」自体が、たとえ完璧に機能していなくても、なくしてはいけない資産なのだ。
安保理改革の道筋──変われるのか、変われないのか

改革案のいろいろ
安保理改革は1993年から議論されているが、30年以上経っても実質的な進展がない。主な改革案には以下のようなものがある。
G4案(日本・ドイツ・ブラジル・インド): 常任理事国を6議席、非常任理事国を3〜4議席拡大。アフリカに2議席、アジア太平洋に2議席、中南米に1議席、西欧に1議席の新常任理事国を設置
アフリカ連合(AU)のエズルウィニ・コンセンサス: 安保理を26メンバーに拡大、アフリカに完全な拒否権付きの常任理事国2議席
コンセンサス連合(イタリア主導): 新たな常任理事国の設置に反対し、任期の長い非常任理事国枠の拡大を提案
仏メキシコ提案(2015年): 大量虐殺やジェノサイドの審議では拒否権行使を自主的に控えるよう求める
なぜ改革は進まないのか
最大の障壁は、改革には国連憲章の改正が必要であり、それには常任理事国5カ国すべての同意が必要だということだ。自分の権限を制限する改正に賛成する国があるだろうか? 国連創設から80年間で憲章改正はわずか3回しか行われておらず、常任理事国の交代やその権限の制約は一度も実現していない。
2024年9月の「未来サミット」で採択された成果文書「未来のための協定」では、「安保理の緊急の改革が必要」と従来の「早期の改革」から一歩踏み込んだ表現が使われた。
しかし具体的な常任理事国数や拒否権の制限については、「今後の協議で合意に向けて努力する」という表現に抑えられたままだ。改革のスピードと危機の深刻化のスピードが、まるで釣り合っていない。
まとめ──「不完全でも必要な存在」を、どう鍛え直すか

ここまで見てきたように、国連安保理の機能不全は構造的で深刻だ。拒否権という仕組みは、まさに今回の米・イスラエルのイラン攻撃のような事態──常任理事国自身が紛争の当事者になるケース──では完全に無力化する。
トランプ大統領のBoard of Peaceは国連の代替というより、むしろ国連の弱体化を加速させるリスクを孕んでいる。
しかし同時に、国連システム全体を見れば、人道支援、開発支援、国際法の整備、気候変動対策など、国連なしでは成り立たない活動が無数にある。安保理の「安全保障」機能だけで国連の価値を測るのは、あまりにも一面的だ。
いまの国連は、4本の足すべてにトゲがささり、牙の折れた巨象だ。
しかし、まだ進みたい方向を指し示す長い鼻を持っている!
「国連に存在意義はあるのか?」という問いに対する答えは、おそらくこうだ──存在意義はある。ただし、80年前の設計のままでは、21世紀の危機に対応できない。
拒否権改革、理事国枠の拡大、財政基盤の強化、そして何よりも「大国が自らのルールを守る文化」の醸成が必要だ。
じゃあ、私たちに何ができるのか? まず、国連が「万能の平和装置」でも「無用の長物」でもないことを理解すること。その上で、自分の国の政府が国連にどう関わっているのか──分担金を払っているか、改革を推進しているか、自国の利益だけを追求していないか──に目を向けること。国連を変えられるのは、結局、そこに参加している私たち一人一人の国の意志なのだから。
今回のイラン攻撃が示したのは、国連の「死」ではなく、国連が「このままでは生き残れない」という切迫した現実だ。
80歳の国連に、私たちは「引退」を宣告するのか、それとも「再生」のチャンスを与えるのか──その選択は、今を生きる世界中の市民にかかっている。

参考ニュース記事
関連する過去記事
今回の「国連の存在意義/中東危機/イラン攻撃」の文脈に近いものを、過去記事からピックアップしました。
スナップバック制裁
イラン核合意(JCPOA)に組み込まれた制裁復活メカニズム。安保理が「制裁解除の継続」を決議しない限り、自動的に国連制裁が復活する仕組み。拒否権を迂回できる珍しい設計。
拒否権(ヴィートー)
国連安全保障理事会の常任理事国(米・英・仏・露・中)が持つ特権。5カ国のうち1カ国でも反対すれば、どんな決議案も否決される。
常任理事国(P5)
安保理に永続的に議席を持つ5カ国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)。第二次世界大戦の戦勝国が原則。
PKO(国連平和維持活動)
紛争地域に国連が派遣する軍事・文民混成の活動部隊。停戦監視、秩序維持、選挙支援などを担う。
JCPOA(包括的共同行動計画)
2015年にイランとP5+ドイツが締結したイラン核合意の正式名称。核開発制限と経済制裁解除を交換する枠組み。
グテーレス事務総長
アントニオ・グテーレス。国連の最高責任者。2017年就任。ただし事務総長に「命令権」はなく、あくまで仲介・勧告の役割に限られる。
Board of Peace(平和評議会)
2026年1月にトランプ大統領が設立した国際協議体。当初はガザ復興目的だったが、国連の代替機関になり得るとも言及された。
国連憲章第51条
国連加盟国が武力攻撃を受けた際に認められる「自衛権」の根拠条文。ただし安保理が必要な措置をとるまでの暫定的措置と規定されている。
ホルムズ海峡
ペルシャ湾とアラビア海を結ぶ狭い海峡。世界の原油輸送量の約2割が通過する、エネルギー安全保障上の最重要チョークポイント。
