「乱暴すぎる」と怒る公明党—しかし、日本は前に進み始めた
【概要】公明党が「乱暴すぎる」と激怒する一方、「日本が前進した」との声も。外国人土地規制など、連立解消後に動き出した政策と公明党の主張の矛盾を徹底分析。効率重視の自維政権は民主主義の危機か、待望の改革か?
怒りの裏に隠された、もう一つの真実
2025年12月17日、臨時国会が閉会し、公明党の斉藤鉄夫代表が自民党・維新の会に向けて放った言葉が波紋を広げている。「乱暴すぎる」「許せない」—26年間も共に歩んできた連立パートナーに対する、これほど激しい批判は異例だ。
しかし、ここで立ち止まって考えてみたい。公明党が怒っている「乱暴さ」とは何なのか?そして、Yahoo!ニュースのコメント欄には意外な声が溢れている。「公明党が離れたから、日本がようやく前に進み始めた」という声だ。
この一見矛盾する二つの見方—公明党の「民主主義への危機感」と、国民の一部が感じる「ようやく前進できる」という期待感。実は、この対立こそが、現代日本政治の最も深い矛盾を映し出しているのかもしれない。
この記事では、表面的なニュースの奥にある、複雑で多層的な問題を掘り下げていく。果たして公明党の主張は正しいのか、それとも国民が感じる「前進」は本物なのか—。答えは単純ではないが、この問いを真剣に考えることが、今の日本には必要だ。

第一の視点:逆説的真実—「解消したから前進した」という国民の声

高市内閣が動き始めた「安全保障」
2025年10月21日に高市早苗首相の内閣が発足してから、これまで26年間進まなかった政策が、動き始めている。
最も象徴的なのが、外国人による不動産取得の規制強化だ。
2025年12月16日、政府は外国人が不動産を取得する際に国籍登録を義務化する方針を発表した。これにより、誰がどこの土地や建物を所有しているのかが明確になる。特に、安全保障上重要な施設周辺の土地や、大規模な森林、マンションなどが対象となる。

実は、この問題は10年以上前から指摘されてきた。北海道の水源地が中国資本に買われたり、対馬の自衛隊駐屯地の隣の土地が韓国資本に占有されたりする事例が相次いでいた。高市氏自身、2010年頃からこの問題に取り組み、2021年に「重要土地等調査法」を成立させた実績がある。
しかし、公明党が国土交通大臣を務めていた期間、この問題はほとんど進展しなかった。
歴代国土交通大臣の推移を見ると、2012年以降、公明党議員がこのポストを独占してきた。具体的には、太田昭宏氏(2012〜2015年)、石井啓一氏(2015〜2019年)、赤羽一嘉氏(2019〜2021年)、斉藤鉄夫氏(2021〜2024年)、中野洋昌氏(2024年〜)と、約13年間にわたって公明党が国土交通大臣を占めてきたのだ。
Yahoo!のコメント欄に寄せられた指摘は、この歴史的事実を背景にしている
「高市内閣が誕生して、外国人の不動産取得について政府が実態把握強化を発表した。公明党と連立を組んだまま、国土交通大臣が公明党議員であったなら、このような日本の安全保障に直結する前向きな動きを取ることができただろうか?少なくとも公明党と連立を組んでいた時には見られなかった動き。」(Yahoo!ニュースコメント欄より)
この指摘は的を射ている。公明党が連立から離れたことで、安全保障に関わる政策が前進し始めたという事実は、無視できない。
「慎重すぎる」公明党が止めてきたもの
公明党は平和主義を掲げ、憲法改正や安全保障政策に極めて慎重な姿勢を取ってきた。
2014年の集団的自衛権をめぐる閣議決定では、公明党は自民党に対して強力なブレーキをかけた。結果として、集団的自衛権の行使は極めて限定的な条件下でのみ認められることとなり、実質的には従来の政府見解とほとんど変わらない内容に落ち着いた。
また、憲法改正についても、公明党は一貫として慎重姿勢を崩さなかった。自民党や維新、国民民主党が憲法9条への自衛隊明記や緊急事態条項の新設に前向きな姿勢を示す中、公明党だけが「まだ必要ない」「慎重に検討すべき」という立場を取り続けた。
Yahoo!のコメント欄には、こんな声も投稿されている
「公明党は長年、自民党との連立政権の中で、安全保障や外交、憲法改正といった重要な分野で慎重すぎる姿勢を取り続けてきた。その結果、日本として必要な決断が先送りされ、国際社会の中で主張できない国になっていった側面は否定できない。こうした状況が積み重なり、『失われた30年』の一因を作ったとの見方が広がった。」(Yahoo!ニュースコメント欄より)
「失われた30年」—この言葉は、日本経済の停滞を指すが、実は政治的な意思決定の停滞とも深く関わっている。
公明党は財界の要求に従って労働法制を規制緩和し、非正規雇用を拡大させた。消費税増税にも賛成し続けた。社会保障の切り捨てにも協力してきた。その一方で、安全保障や憲法改正といった「国家の根幹」に関わる決定は先送りし続けた。
つまり、経済政策では自民党に協力し、安全保障では自民党にブレーキをかける—これが公明党の26年間だったと言える。
国民世論の複雑な評価
興味深いことに、世論調査では国民の評価が分かれている。
産経新聞とFNNの合同世論調査(2025年10月実施)では、公明党が連立から離脱したことについて、「良かった」「どちらかと言えば良かった」が合計77.0%に達した。自民党支持者に限っても74.4%が肯定的だった。
一方、日本維新の会が自民党と連立を組んだことについては、「良かった」「どちらかと言えば良かった」が63.2%で、自民党支持層では81.9%、維新支持層では78.6%が肯定的だった。
しかし、公明党支持者の反応は全く逆だった。公明党支持者の80%以上は自公連立離脱を肯定的に評価したが、維新の参加については約80%が否定的だった。
また、2023年の毎日新聞と日本経済新聞の世論調査では、自公連立の解消を望む声が67%、58%に上っていた。特に注目すべきは、自民党支持層の中でも、連立解消を望む声が6割から4割に達していた点だ。
つまり、公明党の連立離脱を「良かった」と評価する国民が多数派である一方、公明党支持者は複雑な思いを抱いている—これが現実なのだ。
第二の視点:しかし、「乱暴さ」という批判は正しいのか?

公明党自身の「政治とカネ」問題
ここで公平を期すために、公明党自身の問題にも目を向ける必要がある。
公明党は自民党の「政治とカネ」問題を厳しく批判し、連立離脱の理由としたが、斉藤鉄夫代表自身が4回もの政治資金収支報告書の不記載を指摘されている。Yahoo!ニュースのコメント欄に寄せられた指摘によれば、以下のような問題が存在する
さらに、斉藤代表が国土交通大臣在任中に建設業界から献金を受けていた疑惑や、高市総裁を選出する自民党総裁選挙の前に在日中国大使と国会内で面談し、高市氏のことが話題になったと暗に認めている点も、説明責任が問われている。
Yahoo!のコメント欄には、こんな声も投稿されている
「先ず、斎藤代表に求めたいのは、ご自身の4回もの『裏金』に対する説明と責任。次に、斎藤代表が国土交通大臣に在任中の建設業界からの献金の是非。そして、高市総理を選出する自民党総裔選挙前に、在日中国共産党大使と国会内で面談し、高市早苗議員のことが話題になったことを暗に認めていますが、今般の中国情勢のことを踏まえると、斎藤代表には会談内容を明らかにする国民に対する説明責任があると思います。」(Yahoo!ニュースコメント欄より)
創価学会との関係—「企業団体献金禁止」は本当に「クリーン政治」なのか?
さらに深い矛盾がある。公明党は企業・団体献金の規制強化を自民党に要求したが、その一方で、公明党自身は創価学会という巨大な宗教団体を支持母体としている。
ここで重要な点は、法律上、宗教法人も企業と同じく「その他の団体」として扱われ、政党への献金は認められているという事実だ。つまり、創価学会が公明党に献金することは、法律違反ではない。むしろ、法律上完全に合法的な行為なのだ。
では、なぜ公明党は「企業・団体献金の禁止」を主張するのか?その答えは、以前のブログ記事で指摘した通り、「建前と本音」の乖離にある。
実際のところ、創価学会は公明党に対して、直接的な「現金献金」という形ではなく、別の方法で強力な支援を行っている
人的支援:創価学会の会員が公明党の党員となり、機関紙の購読者や選挙ボランティアとして活動する
機関紙ビジネス:「公明新聞」を学会員が購読することで、党に事業収入が入る。これは「献金」ではなく「事業収入」扱いなので、企業・団体献金規制の対象外
つまり、公明党は政治資金規正法の「献金」という枠組みには入らない方法で、規制のかからない形の強力な支援を受けているのだ。
Yahoo!のコメント欄には、こんな指摘も投稿されている
「公明党に限った話ではないけど企業団体献金は禁止すると言っておきながら、これはいいのか???ってものはたくさんある。」(Yahoo!ニュースコメント欄より)
つまり、公明党が主張する「企業・団体献金の禁止」が実現すれば、企業からの「現金献金」に依存する自民党は大きなダメージを受けるが、公明党は「献金」という形をとらないため、ほぼノーダメージという構図が存在する。
これが、Yahoo!ニュースのコメント欄で指摘される「公明党の矛盾」の本質—つまり、以前のブログ記事の指摘通り、「政治とカネが本当の理由ではなく、『建前として使われているだけ』」という疑いが生じる所以なのだ。

「何でも反対」ではない、しかし...
公明党の西田幹事長は、「民主主義の根幹を乱暴な議論で踏みにじるようなこと」と批判したが、実は公明党自身も自公連立時代に、強引な国会運営を黙認してきた。
Yahoo!のコメント欄には、こんな声も投稿されている
「自公連立政権の時も乱暴な手段を使って数々の悪法を通過させてきましたよね。その反省すら言葉にできないのですね。過去、安倍政権時の安保法制に散々邪魔したのははっきりと覚えています。」(Yahoo!ニュースコメント欄より)
公明党は「是々非々で対応する」と述べているが、実際の行動を見ると、補正予算には賛成票を投じている*つまり、自維連立政権を「乱暴すぎる」と批判しながら、その政権の予算案には賛成しているのだ。
これでは、批判の一貫性が問われても仕方がない。
第三の視点:歴史的転換点—26年の自公体制はなぜ終わったのか

自公連立とは何だったのか
1999年から2025年まで、ほぼ四半世紀にわたって自民党と公明党は連立を組んできた。この長さは、日本の政治システムの中でも稀な安定性を意味していた。
その間、自民党と公明党は相互にバランスを取ってきた。特に公明党は、創価学会を支持母体とする政党として、平和と民主主義の理想を掲げていた。一方、自民党は保守本流として政治と経済の安定を重視してきた。
しかし、この連立の本質は何だったのか?読売新聞は、自公連立を「99年体制」と呼んだ。1998年の参議院選挙で自民党が大敗し、参議院で過半数を大きく下回った。これにより、予算案以外の法案が野党の意向次第で通過しなくなることを意味し、政権運営は極めて困難になった。
つまり、自民党は単独で政権を維持できなくなり、公明党の議席が不可欠になったのだ。
なぜ連立は壊れたのか
2025年10月3日、自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出された。翌10月10日、公明党と自民党の党首会談では、公明党が連立を続けるための条件として「企業・団体献金の規制強化」を掲げた。
ところが、自民党側はこの要求に具体的に応じなかった。高市総裁は「これは私1人で決めてはいけないし、決められることではない」と述べ、実質的にゼロ回答だったのだ。
公明党の斉藤代表は、自民党の回答が「誠に不十分」だと判断し、連立解消を決めた。さらに、高市氏が人事で公明党および創価学会との強いパイプを持つ石井啓一元国交相を幹事長から外したことも、公明党に不信感を与えた。
つまり、26年の連立体制は、「政治とカネ」という基本的な政治課題と、高市氏の公明党軽視の姿勢の前に、ついに瓦解したのだ。
しかし、より根本的には、以前のブログ記事で指摘した通り、本当の理由は「政治とカネ」ではなく、「高市早苗氏の保守右派路線」との価値観の根本的対立、靖国参拝問題、そして中国との関係維持への配慮にあったのだ。
「99年体制」の終焉が意味するもの

自公連立の解消は、単なる政治的な交代ではなく、日本の政治的価値観そのものの変化を意味している可能性がある。
これまでの自公連立は、「保守+平和主義」という組み合わせだった。自民党の保守政策に、公明党の平和主義が一定の制約を加える構造だった。
しかし、今回誕生した自維連立は、「保守+市場主義・改革志向」という組み合わせだ。維新は公明党とは異なり、より迅速な意思決定と市場主義的な政策志向を持つ。憲法改正にも積極的で、安全保障政策でも自民党と高い親和性を持つ。
つまり、日本政治は「保守+民主主義のブレーキ」から「保守+改革のアクセル」への転換を遂げつつあるのだ。これは、戦後日本政治における大転換点と言えるかもしれない。
第四の視点:民主主義の危機—「乱暴」とは何か

国会運営に感じられる危機感
それでも、公明党が最も怒った点—国会運営の進め方—については、真剣に考える必要がある。
西田みのる公明党幹事長は、「民主主義の根幹を乱暴な議論で踏みにじるようなこと」という強い表現を使った。具体的には何が起きていたのか。
まず、議員定数削減法案に「自動削減条項」という仕組みが含まれていた。これは、1年以内に与野党協議で結論が出なければ、自動的に小選挙区25、比例代表20議席を削減するというもの。簡単に言えば、野党が合意しなくても、勝手に議員数が減るということだ。
この仕組みに対して、野党だけでなく、与党の自民党内からも「乱暴だ」という異論が噴出した。岩屋毅前外相のような名のある政治家まで批判に回ったのだ。
さらに、維新の遠藤国対委員長が、「企業・団体献金規制強化法案の審議を時間の無駄」と発言したことも、波紋を呼んだ。国会は何のためにあるのか?単に法案を成立させるための機関ではなく、国民の様々な意見が対立し、議論を通じてより良い結論に到達する場であるはずだ。
ところが、与党が「この議論は時間の無駄だ」と言い切ることは、民主主義プロセスそのものの否定に等しくないか。
なぜ「議員定数」の決定で民主主義が問われるのか
ここが本当に大切な問題だ。議員定数は、民主主義の最も基本的な要素である「国民の代表」の数に関わる。例えば、都市部と地方部の議員定数のバランス、小選挙区と比例代表の割合—こうした決定は、国民の声がどのように国会に反映されるかを左右する。
つまり、議員定数の決定は「民主主義の形そのもの」を決める決定なのだ。そんな重要なことを、与党2党だけで、それも強引に進めようとすること自体が、民主主義の理念に反しているのではないか—。これが公明党やその他の野党の主張だ。
実は、議員定数の問題は、すべての政党が参加する「衆院選挙制度協議会」で議論されるべきものだ。このプロセスをすっ飛ばして、与党だけで決めてしまおうとするのは、これまでの民主的な慣行を無視するに等しい。
「効率」vs「熟議」—民主主義の岐路

この臨時国会の出来事が象徴しているのは、現代日本政治における深刻な価値観の対立だ。
一方には「熟議」を重視する政治観がある。つまり、どんなに時間がかかっても、十分な議論を尽くして決定を下すべきだという考え方だ。公明党がこれを代表している。
もう一方には「効率」を重視する政治観がある。つまり、すばやく決断し、行動するべきだという考え方だ。維新がこれを代表しており、自民党の新政権もこの傾向を示している。
しかし、ここに深い問題がある。民主主義は本来、「熟議」と「時間」を必要とするシステムだ。なぜなら、国民の様々な意見を反映させ、できるだけ多くの人々の同意を得る必要があるからだ。
一方、市場主義的な「効率」重視の政治は、決断を急ぎ、異論を排除する傾向を持つ。短期的には成果が見えやすいかもしれない。しかし、長期的には、政治への国民の信頼を失わせ、民主主義そのものを侵食する危険性がある。
第五の視点:国際的な視点—日本の安全保障はどうなるのか

中国の脅威と公明党の姿勢
国際情勢の観点から見ると、公明党の連立離脱は重要な意味を持つ。
中国は近年、南シナ海や東シナ海で軍事的プレゼンスを強めている。台湾海峡の緊張も高まっている。日本にとって、安全保障はかつてないほど重要な課題となっている。
ところが、公明党は長年、中国との対話を重視してきた。実際、斉藤代表が高市総裁選出前に在日中国大使と面談し、高市氏について話題にしたことは、Yahoo!のコメント欄でも安全保障上の懸念を招いている。
一方、高市内閣は中国に対して強硬姿勢を取ることが予想されている。外国人による不動産取得規制も、中国資本による土地買収を念頭に置いたものだ。
つまり、公明党が連立から離れたことで、日本の対中政策がより強硬になる可能性が高いのだ。
これは、以前のブログ記事で指摘した通り、公明党が「高市氏の保守路線」によって「中国との関係維持」と「創価学会の平和主義的価値観」の間で板挟みになり、連立離脱を選ばざるを得なかったという構図と一致しているのだ。
憲法改正の可能性

さらに、憲法改正の議論も活発化する可能性がある。
自民党と維新は、憲法9条への自衛隊明記に積極的だ。公明党がいない今、この議論が急速に進む可能性がある。
ただし、憲法改正には国民投票で過半数の賛成が必要だ。果たして国民はこれを支持するのか—それは未知数だ。
しかし、少なくとも議論のスピードは上がることは確実だ。公明党という「ブレーキ」がなくなったからだ。
総合考察:「前進」なのか「暴走」なのか—私たちは何を選ぶのか

矛盾する二つの真実
ここまで見てきたように、公明党の連立離脱をめぐっては、矛盾する二つの真実が存在する。
真実その1:政策が前進し始めた
外国人不動産取得規制の強化方針発表
安全保障政策の前進可能性
意思決定のスピードアップ
真実その2:民主主義が危機に瀕している
「自動削減条項」など強引な国会運営
議論を「時間の無駄」と切り捨てる姿勢
野党との協議プロセスの軽視
果たして、どちらが正しいのか?
実は、両方とも正しいのだ。これが現代日本政治の本質的なジレンマなのだ。
「失われた30年」の原因は公明党だけではない
確かに、公明党が安全保障や憲法改正に慎重すぎる姿勢を取り続けたことで、必要な政策決定が先送りされた側面はある。
しかし、「失われた30年」の原因は公明党だけにあるわけではない。自民党自身の経済政策の失敗、財界の利益優先、消費税増税、社会保障の切り捨て—これらはすべて、自公連立が共同で推進してきた政策だ。
つまり、公明党を批判することは簡単だが、問題の本質はもっと深いところにある。
自維連立の不安定さ
さらに、新しい自維連立にも大きな問題がある。
まず、自民党と維新だけでは参議院で過半数を割っており、国民民主党など他の与党会派との協力が不可欠だ。これは、与党内の調整が複雑になり、重要法案の可決が自民党・維新の意思だけでは決まらないことを意味する
また、維新は「閣外協力」を選んだ。つまり、閣僚を出さずに政策協力するという形だ。これは、いつでも連立から離脱できることを意味する。
維新が連立の条件として掲げた「企業・団体献金の禁止」は、2027年9月までの実現を目指して協議するという曖昧な合意に留まった。つまり、高市総裁の任期満了までに実現すればいい、ということだ。
しかし、自民党が本当にこれを実現するだろうか?極めて疑わしい。
維新は「議員定数削減」も強く主張しているが、これも自民党内で反発が強い。果たして実現するのか—不透明だ。
つまり、自維連立は極めて不安定で、いつ崩壊してもおかしくないのだ。
私たちは何を選ぶのか
26年続いた自公連立の終焉は、日本社会がどのような政治体制を望むのかという問いを改めて投げかけている。
「身を切る改革」と称して議員定数を削減することで、政治は本当に信頼を回復するのか。それとも、「政治とカネ」という根本的な問題に真摯に向き合うことが先なのか。
「熟議の国会」を実現することは、時間がかかり、効率が悪いかもしれない。しかし、民主主義の最後の砦である国会を、政党のディール(取引)の場に化してしまえば、国民の声は本当に政治に届かなくなってしまうのではないか。
一方で、安全保障や外国人政策など、長年先送りされてきた問題に取り組むことも必要だ。公明党という「ブレーキ」がなくなったことで、これらの政策が前進する可能性はある。
しかし、その「前進」が民主主義を犠牲にした「暴走」にならないという保証はあるのか?
結論:民主主義は「多数派」だけでは成り立たない
公明党が「乱暴すぎる」と怒ったのは、単なる政治的な不満ではない。それは、民主主義というシステム自体への危機感の表現なのだ。
しかし同時に、国民の多くが公明党の連立離脱を「良かった」と評価していることも事実だ。これは、26年間の自公連立が国民の期待に応えられなかった証左でもある。
26年の歴史を持つパートナーをも批判する覚悟を決めた公明党の行動は、日本政治における「民主主義の防波堤」としての役割を示唆している。与党である公明党が野党に転じてまで守ろうとしたのは、多数派の権力による暴力的な決定から民主主義を守る、という原則なのだ。
しかし、公明党自身も完璧ではない。「政治とカネ」の問題、創価学会との関係、過去の強引な国会運営への加担—これらの矛盾を抱えたままでは、説得力に欠ける。
そして何より重要なのは、以前のブログ記事で指摘した通り、公明党が掲げる「政治とカネ」という大義名分は、実は「本当の理由ではなく、建前として機能している」という疑いを払拭できていないという点だ。本当の理由は「保守路線との価値観の対立」「中国との関係維持への配慮」「創価学会の平和主義的価値観との整合性」にあった可能性が高い。
一方、高市内閣と維新の連立は、確かに政策を前進させる可能性を秘めている。外国人不動産規制、安全保障政策、経済改革—これらは日本が直面する重要な課題だ。
しかし、その「前進」が民主主義の基本原則を踏みにじるものであってはならない。効率と熟議、決断力と民主的プロセス—このバランスをどう取るかが、今の日本政治に問われている。
来年の通常国会で、この対立はさらに激化するかもしれない。しかし、その過程の中で、日本社会は改めて問い直す機会を得る。
「民主主義とは何か」「国会とは誰のためのものか」「私たちの声は本当に届いているのか」「前進とは何を意味するのか」「誰のための前進なのか」「本当の理由は何なのか」「建前と本音をどう見分けるのか」—。
答えは一つではない。しかし、この問いに真剣に向き合わなければ、日本の未来は開けない。
今、私たちは、その答えを、投票という行動を通じて示す時期が来ているのだ。そして、その選択は、単に「前進」か「慎重」かという二者択一ではなく、「どのような民主主義を、どのように前進させるのか」「その前進の理由が本当に正当なのか」という、より複雑で深い問いへの答えでなければならない。

参考ニュース・情報源
FNNプライムオンライン(フジテレビ系):「公明幹部が自維に『乱暴すぎ』『許せない』…臨時国会振り返り与党の姿勢や発言を『強引』などと厳しく批判」
安全保障・外国人政策関連
読売新聞:「総裁選、外国人政策は不動産取得が論点…地価高騰への不満背景に各候補は規制強化訴え」、「外国人の不動産所有状況を一元管理、登記・国籍を登録…27年度にも」
Storm.mg:「外国人の不動産取得、国籍把握を義務化へ 政府」
東京新聞:「外国人の不動産取得は国籍登録を義務化、2026年度から実施へ 小野田担当相『不安解消のため公表も検討』」
世論調査・国民の声
毎日新聞:「自公連立『解消を』67% 自民支持層、反発強く 毎日新聞世論調査」
日本経済新聞:「自公連立政権『解消を』58% 自民党支持層では4割」
産経新聞・FNN合同世論調査:「公明支持層は維新の参加に否定的 合同世論調査」
KSI調査:「連立から公明離脱『良かったと思う』75%『良くなかったと思う』11%」
Yahoo!ニュースコメント欄の主な論点
本記事では、Yahoo!ニュースのコメント欄に寄せられた5千件超のコメントから、以下のような主要な論点を参考にさせていただきました:
高市内閣による外国人不動産取得規制強化の評価
公明党の慎重姿勢が安全保障・憲法改正を妨げてきたという指摘
斉藤代表自身の政治資金問題に対する説明責任の要求
創価学会との関係における企業・団体献金批判の矛盾
「失われた30年」への公明党の関与についての議論
「政治とカネが本当の理由なのか」という国民の疑問
これらのコメントは、Yahoo!ニュースのコメント欄に寄せられた国民の生の声として参考にさせていただきました。
閣外協力
政党が連立政権には入らず(大臣を出さず)、国会での審議や採決において与党に協力すること。
99年体制
1999年に自民党と公明党の連立政権が発足して以来、約26年間続いた政治体制のこと。
熟議(じゅくぎ)
結論を急がず、多様な意見を尊重しながら時間をかけて十分に議論を尽くすこと。
重要土地等調査法
自衛隊施設や原発などの重要施設周辺、国境離島などの土地利用を国が調査・規制できる法律。
サナエノミクス
高市早苗首相が掲げる、積極財政や戦略的な投資による経済成長を目指す経済政策の通称。
