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台湾有事『連呼』したのは誰?メディアがろくに報じない国会質疑の真実【全文掲載】

【概要】2025年11月、高市首相の台湾有事答弁が中国の猛反発を招きました。しかし、その答弁を引き出したのは岡田克也氏の執拗な質問。「高市首相が悪い」で片付けていいのか?国会質疑の全容と、言葉を引き出す側の責任について、多角的に分析します。

「高市首相が悪い」で片付けていいのか?

2025年11月、日中関係が一気に冷え込みました。きっかけは11月7日の予算委員会での高市早苗首相の「台湾有事は存立危機事態になり得る」という答弁です。​

この発言に中国が猛反発。駐大阪総領事が「汚い首は斬ってやる」とSNSに投稿し、中国外務省はこれを擁護。さらに中国は日本への渡航自粛を呼びかけ、人民解放軍も「正面から痛撃を加える」と警告する事態にエスカレートしました。​

メディアの報道を見ると、「高市首相の発言が問題だった」という論調が目立ちます。

でも、ちょっと待ってください。

その答弁を引き出したのは誰だったのか?

実はこの視点、ほとんど語られていません。今回の主役は、質問者である岡田克也氏(立憲民主党)なんです。​

この記事では、「高市首相批判」一色の報道では見えてこない、国会質疑の構造的な問題を掘り下げていきます。読み終わる頃には、「言葉を引き出す側の責任」についても考えるきっかけになるはずです。

※この記事の末尾に、岡田氏と高市首相の質疑応答の全文文字起こしを掲載しています。ご自身の目で、実際のやり取りを確認してみてください。


1. あの質疑は最初から「台湾有事」前提で組み立てられていた

岡田氏の質問の特徴を時系列で追う

11月7日の予算委員会、岡田克也氏の質問内容を整理すると、明確な「構造」が見えてきます。​

前半:レトリック攻撃から入る

  • 「世界で最も偉大な日米同盟」という表現への違和感を指摘

  • 「日本外交を取り戻す」は前任者否定では?という言葉狩り的質問

ここまではウォーミングアップ。本題はここからです。

中盤~後半:「台湾有事×存立危機事態」へ一気にシフト

  • 10年前の安保法制議論を長々と振り返る

  • 「限定的な集団的自衛権以外は違憲であることを確認」と前置き

  • 台湾海峡、バシー海峡など具体的な地名を出して、存立危機事態に当たるかを執拗に質問

  • 「軽々しく有事を口にするな」と説教調で締める

つまり、質問の構図はこうなっています

  1. 台湾有事を国会の場で具体的に前提にする

  2. 総理から「存立危機事態になり得る」という言質を引き出す

  3. その上で「軽々しい」「基準が曖昧だ」と批判する

これ、かなり計算された質問設計ですよね。

岡田克也氏は「知らなかった」では済まされない

ここで重要なのは、岡田氏は外交の素人ではないという点です。​

  • 元外務大臣(2009-2010年)

  • 安保法制審議の経緯を熟知

  • 外交・安全保障の「プロ」

こういう質問をすれば、中国がどう反応するか、当然分かっていたはずです。

それでもあえて、台湾有事という超センシティブなテーマを、国会というフォーマルな場で、何度も具体的に質問した。この事実は重く見る必要があります。

2. 高市首相は「従来答弁の踏襲」を崩していない

答弁内容を冷静に分析すると

一方、高市首相の答弁はどうだったのでしょうか。実は、従来の政府見解から一歩も出ていません。​

存立危機事態について

  • 「三要件に基づく、我が国防衛のための必要最小限の武力行使に限られる」

  • 2015年の安保法制審議での内閣法制局の答弁を再確認​

  • 新しい解釈ではなく、歴代内閣の立場を踏襲

台湾封鎖について聞かれた際も

  • 「個別具体の状況に応じて判断」

  • 「民間船でのいやがらせ程度なら該当しない」

  • 「戦闘行為を伴う封鎖なら、我が国への影響も含めて検討」​

要するに、高市首相は新しいことを言ったわけではなく、10年前から政府が言い続けてきたことを、改めて確認しただけなんです。​

実際、高市首相は11月10日の予算委員会で答弁撤回を拒否し、「政府見解の範囲内」と明言しています。​

「戦略的曖昧さ」はもう維持できない時代

確かに、歴代首相は「どのような場合が存立危機事態に該当するか」を明言することを避けてきました。これが「戦略的曖昧さ」という外交手法です。​

でも、もうその戦略は限界に来ています。

  • 中国軍が月200~300回も台湾の防空識別圏に侵入(もはや日常化)

  • 中国は3隻目の空母「福建」を台湾海峡で運用開始

  • 専門家は「2026~2027年が最も危険」と警告

「曖昧にしておけば何とかなる」時代は終わったんです。

3. 問題の本質:「舞台」と「言葉の組み合わせ」が生んだ爆発力

中国が喜ぶ「素材」を提供してしまった

ここで一歩引いて考えると、今回の爆発力を生んだ要素は、中身そのものではなく、「絵面」だったことが分かります。

中国側にとって扱いやすかった要素

  • 「日本の国会」というフォーマルな場で

  • 「日本の首相が」

  • 「台湾有事」と「存立危機事態(集団的自衛権)」を

  • セットで語った

この「フルコンボ」が、中国の宣伝マシンにとって、あまりにも使いやすい素材だったんです。​

しかも、そのきっかけを作ったのが

  • 野党のベテラン外交通・岡田克也氏

  • 外相経験者で安保法制も熟知している人物

この構図が、中国にとっては「日本の首相が、台湾有事に軍事介入するつもりだと公言した」と、いくらでも意訳して流せる極上の素材になってしまったわけです。​

実際、中国の官製メディアは大喜び

案の定、中国のメディアは

  • 「日本は台海戦争に介入するつもりだ」

  • 「頭を打ち砕かれる」

といった、おどろおどろしいレトリックを総動員して、日本批判キャンペーンを展開しています。​

岡田氏の質問が、結果的に中国の反日プロパガンダに燃料を投下した形になってしまいました。

4. 「高市首相いじめ」のつもりが、中国の宣伝に加担?

穿った見方も成立してしまう

ここまで来ると、こういう見方も成立してしまいます。

野党の狙い(推測)

  • 正面から高市政権の支持率を削れない(支持率約80%前後の高水準)

  • 安保法制という「弱点カード」を引っ張り出したい

  • そのために台湾有事と存立危機事態を国会で結び付ける

  • 結果的に、中国が喜ぶ「エサ」を大量供給

もちろん、岡田氏が本気で「中国に燃料を投下してやろう」と思っていたとは限りません。

でも、結果としては、中国の強硬論・反日論を正当化する材料を与えてしまったのは事実です。

奇妙な逆効果:高市政権の支持率は下がらず

さらに皮肉なのが、この一連の流れが、野党の思惑とは逆の結果を生んでいることです。

  • 最近の世論調査で高市内閣の支持率は約7割強と高水準維持

  • 台湾有事に際して自衛権を行使することに賛成する声も約5割弱

つまり

  • 内向き:「高市首相いじめ」をしているつもりで

  • 外向き:「日本は台湾海峡で戦う気だ」というイメージを強化し

  • 結果:高市政権の「強硬だが頼れる」イメージを裏打ちする

という、野党にとっては最悪の逆効果になりつつあるわけです。​

5. 「台湾有事」は口にした瞬間に外交カードになる時代

言葉の重みを理解しているのか

今回の件で改めてはっきりしたのは、「台湾有事」というフレーズは、口にした瞬間に外交カードとして使われてしまうという現実です。​

この構図、理解していますか?

  • 首相が発言すれば、中国は待ってましたとばかりに「対日制裁カード」の口実にする

  • 中国の過激な反応を受ければ、日本側の対中世論は一層悪化する

  • その結果、「台湾有事=日中全面対立」のイメージだけが強化されていく

こうした構図を理解しているのであれば、国会で台湾有事を前提にした想定問答を長々とやるのは、かなりリスキーな行為です。

岡田氏は「そのリスク」を知らないはずがない

特に、外相も務めた岡田氏レベルの政治家が、そのリスクを知らないはずがありません。​

それでもあの質問を組み立てたという事実は、やはり重く見ざるを得ません。

6. 専門家も指摘:「国会で議論すべき内容だったのか」

公開質疑の限界

安全保障の専門家からは、根本的な疑問も提起されています。​

「そもそも公開の国会で、このような具体的な安全保障上の想定を議論すべきなのか?」

国会には「秘密会」という非公開の審議方式があります。機微な安全保障情報は秘密会で扱い、公開質疑では原則論にとどめるという運用の改善を求める声もあります。​

「しつこく聞く方も問題」という声

今回の事態を受けて、岡田氏の質問の仕方にも批判が集まっています。​

  • タレントの杉村太蔵氏:「聞く方も聞く方」とコメント​(日曜日のサンジャポ)

  • SNS上:「岡田氏の質問がしつこい」という声多数​

  • 立憲民主党の別の議員も、この批判について国会で言及​

小泉防衛相も「立民が何を求めているのか分からない」と困惑を示しています。​

国民の多くが感じているのは、「野党は批判だけで、代替案がない」という不満です。

7. 多角的視点:それぞれの「正しさ」を検証する

視点① 高市首相側:従来見解の範囲内

高市首相と政府の立場は一貫しています。​

  • 2015年の安保法制審議での内閣法制局の答弁を踏襲

  • 新しい解釈ではなく、歴代内閣の見解を再確認しただけ

  • 外務省高官も「政府の立場は変わっていない」と中国側に説明​

答弁内容そのものに問題はありません。

視点② 野党側:批判だけで対案なし

岡田氏ら野党側の問題点は明確です。​

  • 「存立危機事態の基準が曖昧」と批判するが、では具体的にどうすべきか示さない

  • 「武力行使を軽々しく口にするな」と言うが、台湾有事にどう対応するのか不明

  • 批判だけなら誰でもできる。リーダーに必要なのは具体的な解決策

視点③ 中国側:過剰反応で孤立を深める

中国の反応は明らかに過剰です。​

  • 外交官が「首を斬る」という暴力的表現を使用

  • 外務省がそれを擁護

  • 人民解放軍まで動員して脅迫

これは「戦狼外交」の典型で、かえって中国の国際的孤立を深めています。

視点④ 国際社会:日本の姿勢を支持

米国のグラス大使が迅速に高市首相を支持したことは重要です。​

  • 「中国が日本国民を脅している」と明確に批判

  • 日米同盟の強固さを改めて示した

国際社会は、高市首相の発言を「問題」とは見ていません。

8. 今後の国会質疑に求められる改善点

① 質問する側の責任を明確に

今回の件で明らかになったのは、「答弁を引き出す側にも責任がある」という当たり前の事実です。

  • 質問が外交的にどう利用されるか考慮する

  • 機微な安全保障情報は秘密会で扱う

  • 批判だけでなく、具体的な対案を示す

② 「プロの政治家」としての自覚

岡田氏は外相経験者です。そのレベルの政治家であれば、質問の影響を予測できたはずです。​

  • 「台湾有事は、日本のどの政治家が、どの場で、どう扱うのか」

  • 「国会質疑を、中国の宣伝戦でどう悪用され得るのか」

ここまでを視野に入れて設計してこそ、本当の意味での「プロの外交・安全保障政治家」ではないでしょうか。

③ 国民の目線:「やっつける国会」から「作り上げる国会」へ

国民が求めているのは、政治家同士の足の引っ張り合いではありません

今、日本に必要なのは「やっつける国会」ではなく「作り上げる国会」です。

  • 「やっつける国会」とは:政権の揚げ足を取り、失言を引き出し、批判だけで終わる国会

  • 「作り上げる国会」とは:具体的な対案を示し、より良い政策を共に作り上げる国会

国民が本当に知りたいのは

  • 日本の安全をどう守るか

  • 台湾有事にどう備えるか

  • 中国とどう向き合うか

こうした建設的な議論こそが必要なんです。

批判することは簡単です。でも、それだけでは日本の未来は守れません。与野党が「やっつけ合う」のではなく、国民の生命と財産を守るための政策を「作り上げる」――そんな成熟した民主主義が求められています。

まとめ:「高市首相が悪い」で片付けるのはあまりに雑

この記事の核心メッセージ

ポイントをまとめます。

① 高市首相の答弁は、内容的には従来路線の踏襲

  • 法制局見解や過去答弁の範囲内

  • 新しい解釈を持ち出したわけではない​

② 火薬庫にマッチを近づけたのは、岡田質疑のほう

  • 国会という舞台で「台湾有事×存立危機事態」という絵を作った​

  • 結果として、中国の対日強硬論に燃料を投下​

  • 高市政権の「武闘派イメージ」も補強(野党の逆効果)

  • 立憲民主党不要論に拍車

③ 言葉を引き出す側の責任も議論すべき

  • 外相経験者の岡田氏が、外交的影響を予測できなかったはずがない

  • 批判だけで対案なしでは、国民の支持は得られない​

④ 今こそ「やっつける国会」から「作り上げる国会」へ

  • 台湾有事は「いつ起きるか」の問題

  • 政治家には具体的な対策を示す責任がある

  • 足の引っ張り合いをしている場合ではない

最後に:あなたはどう思いますか?

メディアは「高市首相が悪い」という論調一色です。でも、本当にそうでしょうか?

  • 岡田氏の質問がなければ、高市首相はあの答弁をしなかった

  • あの答弁がなければ、中国はここまで反発しなかった

  • でも、台湾有事のリスクは現実に存在する

このジレンマをどう解決するか。それこそが、今の日本政治に問われている本質的な問いです。

国会が「やっつけ合いの場」から「未来を作り上げる場」に変わるとき、日本の安全保障も、日中関係も、より良い方向に進むはずです。

私たち一人ひとりが、メディアの論調を鵜呑みにせず、多角的に物事を見る目を持つこと。それが、日本の未来を守ることにつながると信じています。​

よくある質問(FAQ)

Q1. 高市首相は「戦略的曖昧さ」を破ったのでは?

A. 確かに具体的な言及を避けてきた歴代政権の慣例は破りました。しかし、答弁内容自体は従来の政府見解の範囲内です。問題は「中身」ではなく「言ってしまったこと」です。全文文字起こし(記事末参照)を読めば、高市首相が慎重に言葉を選んでいたことが分かります。

Q2. 岡田氏は何が目的だったの?

A. 表向きは「安保法制の問題点を指摘し、政権を批判すること」でしょう。ただ、結果的に中国の反日プロパガンダに利用される素材を提供してしまいました。​

Q3. 中国の反応は予測できなかったの?

A. いいえ、予測可能でした。台湾問題は中国にとって「核心的利益」であり、日本の首相が具体的に言及すれば強く反発することは、外交の専門家なら誰でも分かります。​

Q4. じゃあ台湾有事について国会で議論してはいけないの?

A. そうではありません。ただ、公開の場で具体的なシナリオを語ることのリスクを理解し、必要に応じて秘密会を活用するなど、議論の「場」を選ぶべきです。​

参考ニュース記事

📄 参考資料:岡田克也氏と高市首相の質疑応答【全文文字起こし】

「本当にそんなやり取りだったの?」と思われた方へ

ここでは、2025年11月7日の衆議院予算委員会における、岡田克也氏と高市早苗首相の質疑応答を、可能な限り正確に文字起こししました。

メディアの切り取り報道ではなく、実際のやり取りの全体像をご自身の目で確認してください。AI文字起こし利用のため多少乱れはありますがご了承ください。

岡田克也委員
今日は、外交問題を中心に総理と議論したいと思います。
まず、先般の日米・日韓・日中の首脳会談、お疲れさまでした。首脳同士が信頼関係を築くことは極めて重要であり、個々の具体的進展があったとは必ずしも思いませんが、首脳会談を無事に終えられたことは評価したいと思います。

そのうえで、気になる点を何点か申し上げたいと思います。
総理は、10月28日の日米首脳会談後の記者会見で次のように述べられました。

「これから日本は、世界で最も偉大な日米同盟を軸として、世界の真ん中で咲き誇る力強い日本外交を取り戻し、国際社会の平和と繁栄により大きな役割を果たしていきたい」

まず、「世界で最も偉大な日米同盟」という表現ですが、私は大きな違和感があります。
国際社会の中で「偉大な同盟」と言えば、たとえばNATOなど、いくつか思い浮かびます。そうした同盟以上に「偉大な」同盟であると総理が言われる根拠を伺いたい。

また、そもそもここで「偉大な」という言葉を使うこと自体にも違和感があります。お答えください。

高市内閣総理大臣
「世界で最も偉大な日米同盟」という表現についてですが、私は、かつて戦火を交えた日米両国が和解し、関係を深め、信頼し合う同盟国となり、今や両国の安全のみならず、インド太平洋の平和と繁栄の礎となっていると考えています。

一時、「アメリカ・ファースト」という言葉が出てきて、アメリカが各地からコミットメントを引き揚げてしまうのではないかという懸念もありました。しかし、日米首脳会談の中で確認したのは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」にも、しっかり関与していくという姿勢です。

国際社会の平和と繁栄に、日米同盟が大きな役割を果たしている――そうした思いから、あのような表現を用いました。

岡田克也委員
トランプ大統領の時の発言はよく変わるところもありますが、「世界で最も偉大」という表現については、やはり自衛隊の活動できる範囲が限定されている以上、たとえばNATOのような同盟とは質が違うと私は思います。

きょうの読売新聞には、駐日米大使が「インド太平洋における米国の最重要同盟国」といった趣旨の表現をされています。このくらいなら私も分かります。しかし、「世界で最も」というのは、総理ご自身も承知のうえで使われたのだと思いますが、私は非常に違和感があるということを申し上げておきます。

もう一点、日本外交を「取り戻す」と言われています。
「世界の真ん中で咲き誇る」というのは総理のお好きなフレーズなので置いておくとして、「力強い日本外交を取り戻す」というのは、現状から何をどう変えるつもりなのか。その意味を伺います。

高市内閣総理大臣
2016年、安倍元総理が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を提唱されました。その後、第1次トランプ政権期にアメリカがTPPから離脱した後も、日本が主導してCPTPPとしてまとめ上げました。さらに、2018年の日EU経済連携協定、日米貿易協定の枠組みなども整備されました。

2016年から2018年、2019年頃にかけては、「世界で咲き誇る日本外交」を、わかりやすい形で経験できた時代だったと思っています。その取り組み自体は今も続いていますが、一方で、私たちが慣れ親しんできた「自由で開かれた安定的な国際秩序」は、パワーバランスの変化や地政学的競争の激化によって大きく揺らいでいます。

その中でもう一度、日本が米国や欧州、そしてさまざまな国々と手を携え、日米同盟も、日EU関係も大切にしながら、しっかりと存在感を高めていくことが大事だ――こうした思いから「取り戻す」という表現を使っております。

岡田克也委員
安倍さんが政権に復帰された時に、「日本を取り戻す」「外交を取り戻す」という表現を使われました。政権交代があった以上、そのような言い方が出てくること自体は、言葉としてはあり得るかもしれません。

私たちは民主党政権の外交について、民主党だからこそできたこともたくさんあったと考えていますので、安倍さんの発言を肯定するわけではありません。しかし、政権が変わったから「取り戻す」というロジックには、それなりの文脈がありました。

ところが今は、自民党政権が続いている中で、現職総理が「日本外交を取り戻す」と言っている。
そうすると、総理の発言は、前任者である安倍さん、菅さん、岸田さんの外交に問題があったから「取り戻す」のだ、という意味にしか受け取れません。総理はどう認識されているのでしょうか。

高市内閣総理大臣
先ほど申し上げたような取り組みは、岸田政権においても、安倍政権・菅政権においても一貫して続けられてきたものです。ただ、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。

特に、中国・北朝鮮・ロシアの軍事動向は、深刻な懸念となっています。そうした国際情勢の中で、「自由で開かれたインド太平洋」を日本外交の柱として受け継ぐことを再確認し、さらに時代に合わせて発展させていく。その枠組みの中に、経済安全保障など新しい理念も取り込んでいく必要があると考えています。

同盟国である米国はもちろん、基本的価値を共有する諸国や、いわゆるグローバル・サウスの国々との関係強化にも取り組んでいく――そうした決意を表明したものです。

岡田克也委員
総理は「取り戻す」という表現がお好きなようで、11月1日のAPEC首脳会議後の記者会見でも、質疑を含めて20分ほどの短い会見の中で、2回も「日本外交を取り戻す」という言い方をされています。

しかし先ほど申し上げたように、外交というのは継続している部分が非常に多い。今回総理が成果として挙げている日韓のシャトル外交も、今になって決まったものではなく、前任者たちが積み上げてきたものです。日中首脳会談での「戦略的互恵関係」も同様です。

外交というのは、そうした先人たちの努力の積み重ねの上に成り立つものです。総理の発言を聞いていると、安倍さんや菅さん、岸田さんに対して非常に失礼な言い方になっているのではないかと感じます。

もう少し丁寧に、「前任者たちの努力の上に今の外交がある」という認識を、ぜひ持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市内閣総理大臣
ご指摘はよく承りました。
「自由で開かれたインド太平洋」を含めて、これまでの外交の枠組みは、歴代の総理が受け継いできたものです。特に岸田元総理は、その前に外務大臣を長く務められ、日韓関係の改善にも大いに貢献されました。そうした基盤の上に、今の私の外交もスタートしているということは、十分認識しています。

一方で、FOIPについては、現在の周辺状況の変化を踏まえて、さらに発展させていきたいという思いが強い。経済安全保障や、新興技術をめぐる国際競争など新たな課題も生じています。その意味で、日本の存在感をさらに強め、関係国を巻き込みながら発展させていきたいと考えています。

岡田克也委員
新しい外交を切り開きたいという総理の思いは理解します。ただ、前任者たちへの敬意も忘れずに取り組んでいただきたい。

では、二つ目のテーマである「存立危機事態」について、少し時間をかけて議論したいと思います。

この法律ができた10年前、私は野党第一党の代表でした。従来の個別的自衛権だけでは対応できない事例があるということは認識していました。すでに米軍が戦っている状況で、米軍と自衛隊が共同で対処している中、米軍艦が攻撃を受けた場合、日本自身はまだ武力攻撃を受けていない段階でも、それを放置するわけにはいかない。その説明をどうつけるのか、という問題です。

対応として、一つは個別的自衛権の解釈を拡張する考え方、もう一つは集団的自衛権を限定的に認めるという考え方があり得ると当時思っていました。自民党の中には、全面的な集団的自衛権を認めるべきだという議論もかなりあったと思います。

そうした中で安倍さんが提示したのが、「存立危機事態」という概念でした。

「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命・自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」

という定義です。

しかし私たちは、この概念はかなり曖昧だと指摘しました。「我が国の存立が脅かされる」とはどういう意味か。「国民の権利が根底から覆される明白な危険」とは何か。いずれも非常に抽象的です。

「我が国に対する武力攻撃事態」と比べると、はるかに抽象的な概念であり、これで本当に「限定」になっているのか。多くの内閣法制局長官経験者や憲法学者が、違憲のおそれがあると批判し、私たちもこの法案には反対しました。

ただ、あれから10年が経ち、さまざまな事実の積み重ねもあります。いまさらゼロから議論をやり直すことは現実的ではない、ということも理解しています。その中で、この法律が本当に憲法違反にならないのか、運用はどうあるべきか、党内でしっかり議論していきたい。これが現在の私たちの基本スタンスです。

そこで総理にまず確認したいのは、この「存立危機事態」、すなわち限定された集団的自衛権の行使以外の、限定のない一般的な集団的自衛権の行使は違憲である――これは従来の政府見解だと思いますが、その考えは今も維持されていますか。

高市内閣総理大臣
憲法上、我が国による武力の行使が許容されるのは、いわゆる「三要件」を満たす場合の、自衛の措置としての武力行使に限られます。

この三要件は、国際的に見ても例を見ないほど厳しい基準であり、その時々の内閣が恣意的に解釈できるようなものではありません。

ご指摘の存立危機事態における武力行使も、限定された集団的自衛権の行使であり、あくまで我が国を防衛するための、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置としての武力行使に限られます。集団的自衛権の行使一般を認めるものではなく、他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められない――という政府見解に変更はありません。

岡田克也委員
要するに、限定のない集団的自衛権の行使を認めれば違憲になる、ということですね。
そうだとすれば、この「存立危機事態」を踏み外した運用が行われれば、単なる法律違反ではなく憲法違反になる。

だからこそ、存立危機事態の運用は極めて限定的に考えなければならないし、それを逸脱した場合には憲法違反になる――そういう理解でよろしいですね。

高市内閣総理大臣
政府見解は、今申し上げた通りであります。

岡田克也委員
では、平成27年9月14日の、当時の公明党・山口代表と安倍総理、そして内閣法制局長官との参議院特別委員会でのやり取りについて伺います。

当時の長官答弁では、おおむね次のような趣旨が述べられています。

武力行使は、これまで通り自衛隊法88条に規定された「我が国防衛のための必要最小限度の武力行使」にとどまる

被占領地を含む他国領域にまで出て行って戦うような、いわゆる海外での武力行使を認めるものではない

存立危機事態に該当するのに、武力攻撃事態に該当しないということは、まず考えにくい

つまり、存立危機事態と武力攻撃事態は、ほぼ重なり合うような例外的なケースを想定しているという説明でした。

法制局長官に伺いますが、現在もこの答弁は維持されていますか。

内閣法制局長官・岩尾信局長
お答えいたします。

委員ご指摘のとおり、平成27年9月14日、参議院の特別委員会において、当時の横畑内閣法制局長官は、

新三要件のもとで認められる武力行使は、あくまで自衛隊法第88条に規定された「我が国防衛のための必要最小限度の武力行使」であること

他国の防衛の権利として観念される、国際法上の集団的自衛権一般の行使を認めるものではないこと

被占領地を含めて他国領域まで出て行って戦うような、いわゆる海外での武力行使を認めるものではないこと

さらに、ホルムズ海峡の事例のように、他国に対する武力攻撃であっても、その結果として我が国が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻・重大な被害が及びうるという例外的なケースは否定できないが、実際に起こりうる事態を考えれば、「存立危機事態に該当するのに、武力攻撃事態等に該当しない」ということは、まずないと考える――と述べています。

この見解について、現在も変更はありません。

岡田克也委員
当時の与党であった公明党代表と総理、そして法制局長官とのやり取りは、非常に重みのあるものです。今、長官からも当時の見解を維持しているとの答弁がありましたが、総理も同じ認識でよろしいですね。

高市内閣総理大臣
法制局長官が述べたとおり、平成27年9月14日の委員会で当時の長官が示した見解について、私も変更はないと考えております。

岡田克也委員
にもかかわらず、一部の政治家の発言には、非常に軽々しいと言わざるを得ないものが相次いでいます。

たとえば失礼ながら、高市総理ご自身も、1年前の総裁選の際に、「中国による台湾の海上封鎖が発生した場合、存立危機事態になる可能性がある」という趣旨の発言をされています。絶対にあり得ないと言い切るつもりは私もありませんが、どのような場合に存立危機事態になるとお考えだったのか、お聞かせください。

高市内閣総理大臣
台湾をめぐる問題は、台湾と中国の間で平和的に解決されることを期待する――これが従来からの一貫した立場です。

そのうえで、一般論として申し上げますが、どのような事態が存立危機事態に該当するかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、あらゆる情報を総合して判断しなければなりません。

存立危機事態の定義は、武力攻撃事態対処法第2条第4項に規定されているとおりであり、その要件に該当するか否かを、個別の状況に照らして判断することになります。

岡田克也委員
総理は「海上封鎖が行われれば存立危機事態になる可能性がある」とおっしゃいました。

たとえば台湾とフィリピンの間のバシー海峡が封鎖された場合を考えます。確かに迂回すれば何日か余分に時間がかかるかもしれませんが、日本へのエネルギーや食料の供給が途絶するわけではありません。そうした状況で、どのような場合に存立危機事態と判断するのでしょうか。

高市内閣総理大臣
他の地域であっても、台湾をめぐる議論であっても、他国に対する武力攻撃が発生し、それが海上封鎖という形をとる場合があります。

たとえば海上封鎖を解くために米軍が展開し、それを妨げるために相手国が武力を行使する――そうした事態も想定されます。いわゆる戦争状態の一環として海上封鎖が行われ、ミサイル攻撃なども伴うような場合には、我が国への影響も含めて、個別具体的な状況を総合的に見て判断する必要があります。

単に民間船を並べて通行を妨げる程度であれば、存立危機事態には当たらないと考えますが、戦闘と一体となった封鎖であれば、また別の評価が必要です。

岡田克也委員
今の総理の答弁では、「存立危機事態を限定的に運用する」という趣旨から、大きく外れてしまいます。政府に極めて広い裁量を与えることになりかねない。

日本が直接攻撃された場合には、それはもはや存立危機事態というより、我が国に対する武力攻撃事態であり、自衛権発動の問題になります。それは当然あり得る。しかし、日本が攻撃を受けていない段階で、「少し遠回りをしなければならなくなる」程度の状況で存立危機事態だと言うのは、なかなか想定し難い。そうしたことを、あまり軽々しく言うべきではないと思います。

さらに、昨年1月には、自民党の麻生副総裁がワシントンで、「中国が台湾に侵攻した場合、日本政府が存立危機事態と判断する可能性が極めて高い」と発言されています。安倍さんも「台湾有事は日本有事」などと繰り返し発言していました。

有事かどうかという極めて重い話を、政治家や一部の評論家、自衛隊OBなどがあまりに軽々しく口にしているのは、極めて問題だと考えますが、総理はいかがお考えですか。

高市内閣総理大臣
麻生副総裁の個別発言について、内閣総理大臣としてコメントすることは控えます。

ただ、あらゆる事態を想定しておく、最悪の事態を想定して備えるということは非常に重要です。台湾有事と一言で言っても、そこにはさまざまな形があり得ます。単なる海上封鎖の場合もあれば、武力行使を伴う場合、偽情報やサイバー攻撃、プロパガンダなど、複合的な形もあり得ます。

それが戦闘艦艇を用いた武力行使を伴うものであれば、存立危機事態に該当し得るケースであると考えます。実際に発生した事態の個別具体的な状況を踏まえ、政府が保有するあらゆる情報を総合して判断することになります。

一般論として、武力攻撃が発生すれば、存立危機事態に該当する可能性は高い。法律の条文どおりの判断を行うということです。

岡田克也委員
最後の部分がよく分かりませんでした。
「武力攻撃が発生したら存立危機事態に当たる可能性が高い」とおっしゃいましたが、その「武力攻撃」は誰に対するものを念頭に置いているのですか。

高市内閣総理大臣
武力攻撃が発生し、それによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命・自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合――条文どおりの要件を満たすかどうかで判断します。

岡田克也委員
結局、「我が国の存立が脅かされるか」「国民の権利が根底から覆される明白な危険があるか」という判断次第だということになりますが、総理の答弁は、「あらゆる要素を総合的に勘案して判断する」というだけで、規範としての条文の意味を薄めてしまっているように感じます。

もっと明確な基準がなければ、どこまででも拡大解釈できてしまう。国会も事前・事後の承認に関与しますが、あまりに抽象的だと、判断のしようがありません。

また、朝鮮半島を含めて近隣で有事が発生した場合、日本政府として最優先でやらなければならないのは、そこに住む在留邦人を安全な場所に退避させることです。日本が自ら「存立危機事態だ」と言って武力行使を始めれば、そうした活動がかえって困難になる可能性が高い。

ですから、武力行使という話を、あまり軽々しく口にすべきではないと思いますが、いかがですか。

高市内閣総理大臣
有事の際に在留邦人を救出・退避させることが最優先事項であることは、そのとおりです。その安全を確保しながら行わなければならないという点も変わりません。

一方で、最悪の事態を想定して備えておくことも必要です。台湾情勢は、それほど深刻な段階に来ているという認識を持っています。実際に事態が発生した場合に、どのような状況が起こりうるのか、さまざまなシミュレーションを行い、最悪の事態も想定しておく必要があります。

ただし、それは直ちに「存立危機事態だ」と認定して日本が武力行使を行う、ということを意味するものではありません。

岡田克也委員
慎重な運用が求められるという点は、今の総理の答弁からも確認できました。やはり大事なのは、まず在留邦人を安全に退避させること。これは台湾有事に限らず、朝鮮半島など他の地域でも同様です。

そのうえで、近隣で有事が起こった場合には、大量の避難民が発生し、おそらく数十万、数百万単位になる可能性もあります。それを受け入れ、適切に保護することも、日本にとって極めて重要な責務です。ウクライナ危機の際にドイツなど欧州諸国が避難民を受け入れたように、日本でも同様の事態が起こり得る。

しかし、日本自身が武力行使に踏み込めば、そうした避難民の受け入れや保護にも大きな支障が生じる。そうしたことを総合的に踏まえ、存立危機事態の認定と武力行使については、極めて慎重であるべきだと考えますが、与党内や一部の発言を見ていると、あまりに軽々しく語られているのではないかと懸念します。

高市内閣総理大臣

在留邦人の救出が最優先であることは、重ねて確認したいと思います。そのうえで、存立危機事態の認定にあたっては、個別具体的な状況に即し、
攻撃国の意思・能力事態の規模国際社会や日本の対応状況などを総合的に考慮し、我が国に戦火が及ぶ可能性や、国民に生じうる犠牲の深刻性・重大性を踏まえて判断します。政府が保有するあらゆる情報を総合して判断することは当然であり、そのうえで慎重に対処してまいります。

岡田克也委員
しかし、今おっしゃった基準は、国会でこれまで示されてきた説明と同じで、どのようにも読めるほど抽象的です。そのままでは、国会が事前・事後の承認を行う際に、客観的な判断が難しい。

やはり、もう少し明確な基準で判断できるようにしなければならない。その問題意識から、今日の議論をさせていただきました。

次に、米軍との共同演習やシミュレーションの問題に移ります。米軍と自衛隊が共同で、さまざまな有事シナリオを想定した訓練や机上演習を行っていると思います。2022年の2+2共同声明の中でも、その進展が歓迎されています。

その際、自衛隊は「存立危機事態に限定して武力行使が可能である」という日本側の憲法上の制約が、きちんと前提として共有されているのかどうか。総理の最初の答弁であった「世界で最も偉大な日米同盟」という表現からは、あたかも制限なく、米軍と同じようなことができるという印象を与えかねません。

日本には憲法上の限界があるという点を、米側にしっかり伝えておられるのか、伺います。

高市内閣総理大臣
これは、自民党総裁選のときから申し上げてきたことですが、「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインには、

自衛隊及び米軍の活動は、それぞれの憲法およびその時々に適用される国内法令、ならびに国家安全保障政策の基本的方針に従って行われる
と明記されています。これは日米共通の認識です。

したがって、米軍は、日本が攻撃を受けた場合であっても、自衛隊の「前に出て戦う」存在ではありません。まずは自衛隊が自ら国民と領土を守り、その自衛隊を米軍が支援・補完するという役割分担になっています。この点も、日米で共通認識を持っています。

日本が自国の憲法と国内法を順守して行動することは、ガイドラインにも明記されており、その限界についても米側と共有されています。

岡田克也委員
次に、在日米軍基地からの「直接出撃」の問題について、短く伺います。

日米安保条約と、それに関する岸―ハーター交換公文により、在日米軍基地から日本周辺への作戦行動を行う場合には、日本政府との「事前協議」を行うことになっています。

日本周辺有事を想定すると、「重要影響事態」や「存立危機事態」の認定よりも前段階で、この事前協議が行われる可能性があります。これは、日本にとって極めて重い決断を迫る場面になる。

米軍基地を日本国内に維持し、使えるようにしておくことは、日米同盟の根幹ですから、「ノー」と言うのは容易ではありません。しかし、認めれば日本が攻撃を受けるリスクは格段に高まる。そうした極めて重大な決断を迫られる局面があり得るという認識はお持ちでしょうか。

高市内閣総理大臣
ご指摘の通り、そうした局面は極めて重大な決断を伴います。国家と国民の命運がかかっている、非常に重い判断だと認識しています。

岡田克也委員
問題は、日本の法令上、この「事前協議」の扱いが明確に位置付けられていないという点です。

国家安全保障会議(NSC)に関する規定を見ると、武力攻撃事態や存立危機事態への対処方針については明記されていますが、事前協議への対応は、一般的な規定から読み込むしかなく、具体的に定められてはいない。

もし安全保障関連3文書(国家安全保障戦略など)を見直すのであれば、その中で事前協議制度の運用を明確に位置付け、どのような手続きで判断するのか整理すべきではないか。国会が事前・事後にどう関与するかも含めて、きちんと議論すべきだと考えますが、いかがですか。

高市内閣総理大臣
事前協議については、日米安保条約第6条および岸―ハーター交換公文という国際約束に基づく制度であり、本来、行政権の範囲に属するものです。条約の実施にあたって、国会承認を要する手続きではありません。

もっとも、国会との関係をどうするかは、その時点の状況を総合的に勘案し、政府の責任で判断することになりますが、現時点でこれ以上の新たな法的手続きの制定を予定しているわけではありません。

岡田克也委員

「条約に基づくものだから国会は関係ない」というのは、私は非常に偏った見方だと思います。これは、日本が攻撃を受けるかもしれないという重大な決定に直結する話です。それを政府だけで決められるというのは、到底納得できません。

この点は、ぜひ真剣に再検討していただきたい。

最後に、いわゆる「川崎重工事件」と呼ばれる事案について伺います。

これは、川崎重工が下請け企業に架空発注を行い、6年間で約17億円を支出し、その資金で、現場作業を含め、潜水艦乗組員向けに様々な物品を提供していたというものです。作業用の長靴や消耗品だけでなく、冷蔵庫などの備品、ゲーム機やゴルフバッグ、飲食代のツケ払いなど、潜水艦内の私物に相当するものも含まれていた。

防衛省の防衛監察本部による調査で、中間報告が2024年12月27日、最終報告が2025年7月30日に出ています。

問題なのは、この川崎重工の17億円をどこから捻出したか、という点です。海上自衛隊の監督官が架空の変更指示書を発出し、それによって国から支払われるべき対価を水増しして、その差額を埋め合わせていた。

金額は必ずしも明らかではありませんが、17億円にかなり近い額である可能性も否定できません。これは、国の予算制度を根本から揺るがす重大な問題だと考えます。公務員が架空発注を行い、その裏金が潜水艦乗組員への私的な物品提供などに使われていた。この事態を、総理はどれほど深刻だと認識されていますか。

高市内閣総理大臣
本件は極めて深刻な事案だと受け止めています。防衛力の抜本的強化を進める中で、国民の疑念や不信を招くような行為は、決して許されません。

6年間の架空取引の総額は約17億円であり、その一部が海上自衛隊に対する物品提供などに使われていたことは確認されています。ただし、当時の関係者の記憶が曖昧であることや、金額を裏付ける領収書など客観的資料が不足していることから、17億円のうち、海上自衛隊に関係する物品や飲食に使われた分が正確にいくらかは、残念ながら特定できていません。

今年7月に防衛省が行った隊員93名の処分については、「部隊運用上必要な物品を随時受領するため、部隊内で不適切な行為が慣例的に行われてきた側面がある」という事情も踏まえたものと聞いています。物品供与を受けた隊員については、自衛隊員倫理法に基づき、自衛隊員倫理審査会の審議を経て、判明した事実関係に応じて厳正に対処することとしています。

いずれにせよ、防衛力強化が一刻の猶予も許されない中、このような事案を二度と起こさないよう、再発防止に全力で取り組まなければならないと考えています。

岡田克也委員

ゲーム機やゴルフバッグを要求していた、という話が出ているわけで、これは民間企業であれば刑事罰に相当する行為です。しっかりと捜査・処分していただきたい。

また、「40年前からの慣例だった」といった説明には、到底納得できません。慣例なら許されるのか。40年続いていれば問題ないのか。そんなはずはない。

架空発注を行っていたのであれば、その書類は残っているはずで、どれくらいの額が架空発注されていたか、調べれば分かるはずです。それを十分に明らかにしないまま、監督官の「訓戒」程度で済ませるのは甘すぎる。

シビリアンコントロールが本当に機能しているのかも疑わしい。こうした無駄遣いが横行するようであれば、国民は防衛費の増額に決して賛成しないでしょう。

この危機感を持って、防衛大臣、小泉大臣には、もう一度きちんと調査し直す必要があると思いますが、いかがですか。

小泉防衛大臣
まず、指示書の発出に関する点ですが、この件については現在、刑務隊が捜査を進めており、その結果に基づき、公文書偽造に当たるかどうかを含めて判断されると承知しています。

また、「再調査を行うべきではないか」というご指摘についてですが、防衛監察本部は、独立した第三者的立場から厳格なチェックを行う趣旨で設置され、トップには元高等検察庁検事長を任用するなど、多様な知見を活用して独立した監察を行っています。

調査にあたっては、会社側や海上自衛隊から資料を入手するとともに、延べ1060名の隊員および会社関係者からの聞き取り調査、アンケート調査、潜水艦内の物品確認などを行いました。私自身、大臣就任後に報告書を精読し、必要かつ十分な調査が行われていることを確認しましたので、改めての再調査が必要だとは考えておりません。

ただし、岡田先生のおっしゃるとおり、防衛力強化の必要性について国民の皆さまの理解を得るためにも、自衛隊に対する信頼が損なわれることは二度とあってはならない。その決意は、総理とも共有しているところです。

岡田克也委員
公文書偽造、あるいは偽造公文書行使に該当するかどうかを、まだ検討しているとのことですが、すでにかなりの時間が経っています。早急に結論を出すべきです。私は、どう考えても公文書偽造・同行使に当たるのではないかと考えます。その場合、「訓戒」で済む話ではないはずです。

また、現場の監督官だけでなく、その上司、決裁した者も含めて、責任を明確に問わなければなりません。そのことを強く申し上げ、私の質疑を終えたいと思います。

【文字起こしを読んで、あなたはどう感じましたか?】

  • 岡田氏の質問は、本当に「政権批判」だけが目的だったのか?

  • 高市首相の答弁は、従来の政府見解から逸脱していたのか?

  • 中国が過剰に反応したのは、なぜだったのか?

切り取られた報道ではなく、全体像を見ることで、この問題の本質が見えてくるはずです。

存立危機事態
日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態。この場合、集団的自衛権を行使できる。

三要件
武力行使の際に満たすべき3つの条件。①日本の存立が脅かされる明白な危険、②他に適当な手段がない、③必要最小限度の実力行使。

集団的自衛権
自国が直接攻撃されていなくても、同盟国などが攻撃された際に共同で反撃できる権利。日本は2015年の安保法制で限定的に行使可能となった。

安保法制
2015年に成立した安全保障関連法。集団的自衛権の限定的行使を可能にし、自衛隊の活動範囲を拡大した。

戦略的曖昧さ
外交上、自国の対応を明確にせず曖昧にすることで、相手国に不確実性を与え抑止力とする手法。

バシー海峡
台湾とフィリピンの間の海峡。日本のエネルギー輸送の要。

シーレーン
海上交通路。日本の原油やLNGなど重要物資の輸送ルート。

戦狼外交
中国の攻撃的で威圧的な外交スタイル。相手国に対して強硬な態度を取り、SNSで過激な発言を繰り返す。

秘密会
国会の非公開審議方式。安全保障など機微な情報を扱う際に使用される。

防空識別圏(ADIZ)
国が領空侵犯を防ぐため設定する空域。外国機がこの空域に入ると識別・警告の対象となる。

用語説明


記事作成日:2025年11月17日

キーワード:台湾有事、存立危機事態、岡田克也、高市早苗、立憲民主党、国会質疑、日中関係、戦狼外交、安保法制、抑止力、外交問題、中国総領事

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