奥多摩・氷川渓谷|吊り橋を眺め、新緑のテラスでVERTEREのビールを飲む休日
東京には、こんな休日もある。
JR青梅線の終点、奥多摩駅。
駅を降りると、街中とは空気が少し違う。山が近く、緑が濃い。

訪れた日は、少し暑かった。
けれど、氷川渓谷へ向かって歩いていくと、川のせせらぎが耳に心地よく、暑さまで風景の一部に変わっていく。
奥多摩駅からほど近い氷川渓谷は、多摩川と日原川が合流するあたりに広がっている。
川べりまで降りると、水の流れの向こうに吊り橋が見えた。
鮮やかな新緑の中に橋が架かり、その下を川が流れている。

東京にいるはずなのに、ずいぶん遠くまで来たような気持ちになる。
大きな観光名所をいくつも巡る旅ではない。
川の音を聞きながら歩き、緑の中で少し立ち止まる。
それだけで、日常の輪郭が少し薄くなっていく。
散策のあとに向かったのは、奥多摩のクラフトビール、VERTERE。
新緑の美しいテラス席に座り、黄金色のビールを飲んだ。

この日は、食事やつまみは頼まなかった。
ビールだけを、ゆっくり楽しんだ。
爽やかな風味。
暑い日の喉に心地よく流れていく、軽やかな味わい。
川のせせらぎを聞きながら飲む一杯は、街中で飲むビールとは少し違う。
歩いたあとの心地よい疲れ。
目の前の緑。
耳に残る水の音。
その全部が、グラスの中のビールを少しだけ美味しくしてくれる。
豪華な料理がなくてもいい。
予定をぎっしり詰め込まなくてもいい。
渓谷を歩き、吊り橋を眺め、爽やかなクラフトビールを一杯飲む。
それだけで、休日はきちんと旅になる。
奥多摩は、東京の奥にある小さな避暑地だった。
そして氷川渓谷からVERTEREへ向かう散歩道は、黄金色の一杯を美味しくするための、静かな助走だった。
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