週刊Geminiと俳句生活🧃vol.4
その日の出来事をGeminiに投げる。
返ってきた俳句の中から、私が「これやな」と思う一句を選ぶ。
一週間分の中から、特に気に入った句だけをここに残していく。
先週は、とても爽やかな俳句を並べた。
プロと子どもが混じる絵の具の香。
みくびるなかれ、人の縁。
実の年齢より若き日々。
なかなか風通しのいい週だった。
今週も、そのまま爽やかに行きたかった。
行きたかったのだが。
始まりから、だいぶ物騒な一句に仕上がってしまった。
どうやら生活というものは、こちらの都合よく綺麗には並んでくれないらしい。
では、今週の俳句を見ていこう。

6/12(金)
品なきを 映す鏡の 師弟かな
私、怒っている。
どれくらい怒っているかというと、俳句から季語が消えた。
もはや川柳である。
うちの店には、腕は確かだが、接客態度などにいろいろ問題のある新人がいる。
まあ、言ってしまえばポンコツ新人である。
その新人は、うちの店とは別に、掛け持ちでも働いているらしい。
そして今日、その掛け持ち先の上司らしき人が、新人指名で客として来た。
最初は、へえ、そうなんや、くらいに思っていた。
しかし、その人の振る舞いを見て、私は静かに眉間を寄せた。
店の物をベタベタ触る。
案内されていない部屋のカーテンを勝手にめくる。
レジ前に、自分が持ってきたお菓子を置きっぱなしにする。
隣の部屋で私が接客しているのに、でかい声でベラベラ喋る。
しかもタメ口。
さらに、他店の悪口まで言い始める。
いや、何してんの。
普通のお客様なら、まだ百歩譲って
「まあ、こういう人もいるよな」
で流せたかもしれない。
しかし、お前は仮にも同業者やろ。
同業者なら、余計に分かるやろ。
店の空気。
他の客への配慮。
スタッフが接客中の距離感。
触っていい物と、勝手に触ったらあかん物。
全部、分かる側の人間ちゃうんか。
それを、よりによって同業者がやる。
きつい。
品がない。
とても品がない。
しかも、その人は新人に対して、どこか先輩風を吹かせている。
なるほど。
私はその瞬間、少し理解した。
ああ、この新人くんの接客がポンコツな理由、これか。
師を見ると、弟子が分かる。
鏡である。
見事なまでに、品のなさが反射していた。
人は環境で育つ。
接客も、たぶん環境で育つ。
だからこそ、誰に教わるかは大事なのだと思う。
お客様として来てくれたこと自体はありがたい。
しかし、同業者としての振る舞いがあれでは、こちらとしてはなかなか厳しいものがある。
今日の一句。
品なきを、映す鏡の、師弟かな。
季語はない。
なぜなら、私の心に季節を感じる余裕がなかったからである。

6/13(土)
ラヴ・イズ・ オーヴァー響く 梅雨の寄席
久しぶりに吉本新喜劇を観に行った。
座長はスッチー。
やっぱり新喜劇はいい。
何も考えずに笑える。
劇中、歌うまの団員さんがボケで欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」を歌い出した。
これが、普通にうまい。
ボケのはずなのに、客席から手拍子が起こる。
会場がどんどん盛り上がる。
気づけばその団員さんが、今日のMVPみたいになっていた。
男性が歌う「ラヴ・イズ・オーヴァー」、思ったより良かった。
笑いに来たはずなのに、梅雨の寄席で急に昭和歌謡が沁みる。

6/14(日)
目と目で 通じ合う夜の 紫陽花よ
きのう、新喜劇を観に行った。
劇中で団員さんが、欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」を熱唱していた。
その余韻なのか、今日は一日中、歌謡曲を聴いていた。
今日のお気に入りは、工藤静香の「MUGO・ん…色っぽい」。
急に昭和歌謡である。
別に、目と目で通じ合うようなロマンチックな展開があったわけではない。
ない。
ただ、雨の中、工藤静香のあの湿度のある声を聴いていただけである。
しかし今聴くと、「MUGO・ん…色っぽい」は普通に良い曲だ。
アイドル曲なのに、ちゃんと色気がある。
かわいいだけではない。
少し拗ねていて、少し艶がある。
しかも、作詞は中島みゆき。
なるほど。
そりゃ湿るわ。
中島みゆきといえば、工藤静香に提供した「慟哭」もある。
あれの中島みゆきバージョンは、もはや
「だからお前、振られるんやで?」
と言いたくなるくらい、ドスが効いている。
では、中島みゆきが「MUGO・ん…色っぽい」を歌ったらどうなるのだろう。
しっとり色っぽいのか。
それとも、色気のない女の片想いが、急に怨念を帯びるのか。
どちらにしても、ただでは済まなさそうである。
雨の日曜日。
目と目で通じ合う相手はいなかったが、私はひとりで昭和歌謡と通じ合っていた。
それはそれで、まあ色っぽい。
知らんけど。

6/15(月)
用事だけ 送ればよろし 夏木立(なつこだち)
顔がイケメンすぎて、気になっている人がいた。
綾野剛に似ている。
そこは本当に大変よろしい。
顔面だけで言えば、かなり優良物件である。
しかし、物件は外観だけでは住めない。
しばらくDMのやり取りをしていたのだが、どうやら私と彼は考え方や性格が合っていない。
水と油。
何が言いたいのか分からない。
会話の目的地が見えない。
着地点もない。
オチもない。
ただ、ふわっとしたDMだけが届く。
そして私は思う。
用事だけでよろしい。
会う日を決める。
時間を決める。
場所を決める。
それだけでいい。
意味のないDMを重ねるほど、こちらの興味は静かに目減りしていく。
顔は好き。
これは認める。
でも、DMの彼にはあまり興味がない。
会えば楽しいのかもしれない。
実物の顔を見たら、また少し気持ちが戻るのかもしれない。
でも、画面の中の彼は、正直ちょっとしんどい。
用事だけ送ればよろし。
顔の良さと、会話の相性は、まったく別物である。
今週は、治安悪めの俳句、もとい川柳から始まった。
怒りに身を任せてGeminiに投げたら、なぜか季語が消えていた。
Geminiもしっかりしてほしい。
こちらは俳句と言っている。
しかし、怒りに季節を感じる余裕などなかったのかもしれない。
翌日は新喜劇へ行き、昭和歌謡で心を洗った。
穢れたので。
禊である。
ラヴ・イズ・オーヴァー。
つぐない。
MUGO・ん…色っぽい。
君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。
五番街のマリーへ。
時代。
ドラマティック・レイン。
飾りじゃないのよ涙は。
居酒屋。
並べてみると、だいぶ濃い。
湿っぽい曲もある。
色っぽい曲もある。
強気な曲もある。
しみじみ人生を見つめる曲もある。
それだけ浴びたら、そりゃ少し強くもなる。
昭和歌謡は、ただ懐かしいだけではない。
未練もあるし、色気もあるし、開き直りもある。
弱さを歌っているようで、根っこが妙に太い。
その根っこの太さを一日中聴いていたら、私の中の何かも少し整った。
人間関係も、ちょっと綺麗にしたくなる。
用事だけでよろしい。
余計な濁りはいらない。
そうして私は、少しだけ夏木立になった。
そんな、ちょっぴりレトロで、少し治安の悪い一週間だった。
さて、今週はどの句がお好きですか🥃
