今日を十七音で片づける生活を始めた|Geminiと一緒に
私は時々「プレバト!」を観る。
あの番組の、夏井いつき先生の俳句査定が結構好きだ。
たった十七音で、景色とか感情とか人生の湿度まで言い当てる。
すごい。かっこいい。
とはいえ、私に俳句の知識なんてほぼない。
たぶん番組に出たら、凡人最下位。
いや、才能ナシで梅沢富美男に鼻で笑われる可能性すらある。
そこで、Geminiの出番である。
ルールは簡単。
今日あった出来事をGeminiに投げる。
それを俳句にしてもらう。
それを毎日続ける。
ただし、中途半端な俳句はいらない。
なので私はGeminiに言った。
「夏井先生顔負けの俳句にしてね」
完全に無茶振りである。
AIに向かって「先生を超えろ」と言う女。
かなり強欲。
最初、Geminiはいくつか俳句を出してくれた。
でも、なんか中途半端なものも多かった。
え、今の何を詠んだ?
私の人生、そんなフワッとしてた?
みたいな句もあった。
そこで私は、出来事の説明を細かく足したり、
「映像が見えるようにして」
「もっと湿度を出して」
などと、あーでもないこうでもないと注文をつけた。
すると不思議なことに、だんだんGeminiの腕が上がってきた。
いや、私が育てているのか。
それとも、私の生活がだんだん俳句に向いてきたのか。
ということで、Geminiと一緒に作った「今日の十七音」を記録していこうと思う。
ちなみにこの記事は、noteの
#AIとはじめてみた
のコンテストに出す予定である。
グランプリ、取れますように。
言霊。
応募前から欲深い。
4/15(水)
春湿り 鼻をかすめる 汗の錆
今日は雨でジトジトしていた。
そして汗をかいた。
セラピストという仕事柄、お客様との距離が近い。
つまり、匂いには気を遣う。
Geminiが出してきた「汗の錆」という言葉。
最初は、なんやその嫌なリアリティと思った。
でも、ある。
これは錆ですか?
と自分に問いかけたくなるような、謎の汗の気配がある。
中年だから仕方ない。
いや、仕方ないで片づけたくない。
もっと爽やかな汗をかきたい。
せめて俳句の中だけでも、ミントみたいな汗でいたい。
4/16(木)
「嬉しい」と 打つ指先や 散る桜
朝、気になる人から「おはよう」とメッセージが届いた。
ただの「おはよう」である。
冷静に考えたら、朝の挨拶。
でも、嬉しかった。
だから私は、素直に「嬉しい」と送った。
外では桜が散って、葉桜に変わりつつあった。
春って、気づいたら終わっている。
恋もそうなのかもしれない。
いや、勝手に終わらせるな。
4/17(金)
人気者(にんきもん)
演じ終えたる
散る桜
今日は指名デーだった。
連続で仕事に入り、帰る頃には身体が終わっていた。
その帰り道に見た桜。
散っていく花びらが、拍手みたいに見えた。
お疲れ、私。
今日もよく人気者を演じ切った。
そして、そんな句を出してきたGeminiにも拍手。
なかなか分かってきたやん。

4/18(土)
夏近し 友の試着の 影長し
今日は友人の誕生日祝いに、夏服を買ってあげた。
何度も試着する友人。
その姿に、窓から差し込む日差しが重なる。
影が長く伸びる。
なんか急に青春みたいになった。
実際はショッピングモールで、サイズと値札を見ながら現実的に選んでいるだけなのに。
この日はGeminiの調子が良かった。
他にも、
五月闇(さつきやみ) 払う極彩 靴下よ
という句もあった。
これは、友人の誕生日プレゼントを選ぶどさくさに紛れて買った、自分用の派手な靴下の句。
これから来るジメジメなんて、このカラフルな靴下で吹き飛ばしてやる。
足元から反抗期。
もう一つ、
夏服の 畳み目正し 誕生祝
これも好きだった。
なかなかやるやん、Gemini。
褒めたるわ。
4/19(日)
桜鯛 骨まで愛でる 膳の跡
じいじが鯛をもらってきた。
とれたての鯛を、
鯛飯、刺身、煮付け、バター炒めにしてもらった。
豪華すぎる。
鯛のフルコース。
竜宮城のまかないかと思った。
そして完食。
まさに命をいただく至福のひとときだった。
骨まで愛でる、という言葉がぴったりだった。
ここで一回、Geminiを褒めてみることにした。
「やるね」
するとGeminiは、かなり嬉しそうな返事をしてきた。

調子に乗っている。
でも悪くない。
Geminiは、こちらが具体的な生活の種を投げるほど、ちゃんとピントを合わせてくる。
汗、恋、鯛、仕事。
素材が生活に転がっている。
それを十七音に押し込む作業は、なんだか一日の圧縮ファイルを作っているみたいだ。
4/20(月)
八時の陽(ひ)
五年(いつとせ)満ちて
誕生歌(たんじょうか)
今日は娘の5歳の誕生日。
5年前の朝8時に生まれた。
まだ生まれたばかりの頃を思い出す。
ということで、朝8時に
「おめでとー!!!」
とテンション高めに起こした。
朝から母の圧が強い。
でも誕生日だから許してほしい。
4/21(火)
花冷えや 音楽を突く 腹の痛み
ここ最近、初夏みたいに暑かったのに、今日は寒かった。
風がビュービュー吹いていた。
通勤電車でお気に入りの音楽を聴いていたら、急にお腹が痛くなった。
音楽に浸っている場合ではない。
腹が現実に引き戻してくる。
春は気温が不安定だ。
心も身体もバグりやすい。
4/22(水)
春の宵 ケーキにプリン 並びけり
今日は仕事が暇すぎた。
だから早退して、職場の近くにある大阪で有名な喫茶店へ、3時のおやつを食べに行こうと思っていた。
さあ帰ろう。
私はもうプリンの口だ。
そう思った瞬間、3時に仕事が入った。
あるあるである。
やる気が完全にゼロになった瞬間に、仕事は急にやってくる。
結局、仕事終わりに喫茶店へ行った。
3時のおやつではなく、5時のおやつ。
プリンアラモードとバスクチーズケーキを頼んだ。
欲望の二段構え。
美味しすぎたので、すべて許した。
4/23(木)
春遠足(はるえんそく)
詰めても深き
弁当箱
娘の遠足前日。
普段ほぼ料理をしない私が、久しぶりに腕をふるった。
しかし問題は中身ではない。
ランチボックスが深すぎる。
深い。
思っていたよりずっと深い。
クッキングシートで底上げし、配置を考え、なんとか見栄えを整える。
弁当というより、建築。
もはや小さな土地開発。
それも含めて、深き弁当箱である。
底上げでごまかしているけれど、愛情はちゃんと詰めた。
完食してくれたら、それで優勝。
4/24(金)
朧(おぼろ)夜(よ)や
酔いの醒めゆく
問い一つ
今日はハナキン。
気になっている人とラーメンを食べて、飲みに行った。
楽しかった。
普通に楽しかった。
いや、かなり楽しかった。
ラーメンは美味しい。
お酒も進む。
会話も途切れない。
春の夜、ええ感じやん。
これはなかなか良い夜なのでは。
そう思っていた。
しかし、油断した頃に事件は起きる。
急に、その人から質問が飛んできた。
私はそれに「うん」と答えた。
本当にただの「うん」である。
たった二文字。
なのに、その瞬間、空気が変わった。
さっきまで楽しかったテーブルに、急に春の闇が降りてきた。
チーン。
終了のお知らせ。
酒の酔いが醒める音がした。
実際には鳴っていない。
でも私の中では、確実に銅鑼が鳴っていた。
人間関係って怖い。
ラーメンのスープより深い。
酒より回る。
そして俳句より難しい。
4/25(土)
春愁(しゅんしゅう)や
仰向けに聞く
街の音
風邪をひいた。
熱はない。
でも、なんかぐったりする。
ベッドで仰向けになる。
外から街の音が聞こえる。
こういう弱っている日ほど、昨日の気まずさを思い出す。
やめろ、脳。
今は風邪だけで手一杯や。
ちなみに春愁とは、春に感じるもの悲しさや寂しさのことらしい。
Google調べ。
また一つ賢くなった。
体調は悪いが、語彙は増えた。
4/26(日)
夏服や 昨日の闇を 塗り潰す
昨日というより、一昨日からのモヤモヤが残っていた。
なので、ZOZOで夏服をたくさんポチった。
鮮やかな服で、昨日の闇を上から塗り潰していく作戦である。
買い物は命の洗濯よ。
デトックス、デトックスゥ。
カード明細は見ない。
今は見るな。
4/27(月)
風邪心地(かぜごこち)
宝石(たま)のスクラブ
研(と)ぐ肌よ
風邪をひいているのに、仕事は忙しい。
帰りにSABONのボディスクラブを買った。
キラキラ輝くスクラブで身体を洗う。
本来なら、いい香りに包まれるはずだった。
ところが鼻詰まりで、ほぼ無臭。
悲しい。
高級スクラブの香りを、鼻が全部キャンセルしてくる。
宝石みたいなスクラブで肌を磨きながら、私は何も嗅げなかった。
贅沢なのか不憫なのか分からない。
4/28(火)
行く春や
初(うい)の一客
名刺欲(ほ)る
働いていると、もうすぐ夏が来るんだなと思うぐらい暑さを感じる。
この日も指名や初回のお客様で忙しかった。
その初回のお客様から、名刺を求められた。
「え? 名刺ですか?
あ、欲しいんですか?
どうぞどうぞ。
え、でもちょっと嬉しいな」
そんなことを思いながら、急いで名刺を差し出した。
春が終わるのに、何か始まってしまった感じがした。
次はぜひ指名で来てほしい。
名刺よ、営業してこい。
4/29(水)
昭和の日 畳む衣の 山の影
世間は祝日。
しかし、うちは衣替えで忙しかった。
古くなった服を捨て、冬物を畳んでしまう。
服が山のように積み上がる。
昭和の日に、服の山と向き合う女。
なんの記念日なのか分からない。
とにかく疲れた。
衣替えは地味に重労働である。
4/30(木)
花冷(はなびえ)や
カップを包(くる)む
恋の熱
最近、雨が降ったり晴れたり、暑かったり寒かったりする。
お天気も気分屋さんである。
昨日は暖かかったのに、今日は雨で寒い。
寒いので、朝にホットコーヒーを飲んだ。
カップを包む手が温かい。
その時、不意に気になる彼のことを思い出した。
これが恋なんですかね。
それともカフェインですかね。
5/1(金)
春疾風(はるはやて)
拒む喉ひとの
硬きかな
仕事中、職場の嫌いな人から電話がかかってきた。
業務連絡である。
ただの業務連絡。
でも、喉が喋るのを拒む。
声を出す前から、喉の筋肉がギュッと硬くなる感じがした。
人間の身体は正直だ。
心が「嫌です」と言う前に、喉が先にストライキを起こす。
できるだけ会わないように努力しているのに、たまに話さないといけない時がある。
ストレス。
お肌に悪い。
5/2(土)
春の夕(ゆう)
地震に裂ける
静寂(しじま)かな
さっき地震があった。
普通に怖かった。
大阪は震度3だったらしい。
すごく平和で静かな時間だったのに、突然それが裂けたような感覚があった。
最近、日本のあちこちで地震のニュースを見る。
南海トラフのことも頭をよぎり、気持ちが悪い。
怖い。
平和な夕方が、一瞬で現実に引き戻された。
5/3(日)
春の雨
応援(エール)をのせて
北の十字(クロワ)
私は競馬が結構好きだ。
といっても、馬券は買わない。
競馬を見るのが好きなのだ。
今回のレースはすごかった。
一番人気のクロワデュノールと、208倍のヴェルテンベルクがほぼ同着。
長い判定待ちの結果、クロワデュノールの勝利。
クロワデュノールは「北の十字架」という意味らしい。
かっこいい。
名前からして強い。
馬名の時点で映画化決定している。
5/4(月)
風光(ふうこう)る
錆しペダルに
娘の背
GW、娘と一緒に関西サイクルスポーツセンターへ行った。
大阪の片田舎にある、かなり昭和レトロなレジャー施設である。
自転車のテーマパーク。
娘をレトロでヘンテコな変わり自転車に乗せ、私は必死でペダルを漕いだ。
風に吹かれてはしゃぐ娘。
かわいい。
一方こちらは、体力の限界。
母の膝はもう笑っている。
ちなみに「風光る」は、春の陽気が高まり、光るような日差しの中を吹く風のことらしい。
Google調べ。
また語彙が増えた。
体力は減った。
5/5(火)
春惜(お)しむ
娘(こ)の献立に
満つる熱
うちの娘は超偏食家である。
最近は外食がちだけれど、娘にまともな栄養を摂ってほしい。
手作りも再開したい。
そこで今日は、アプリを使って、娘が食べる料理のデータベースを作っていた。
レシピ本を見ていると、お腹が空いてくる。
こんな料理を食べさせたい。
あんな料理も作ってみたい。
でも現実は、野菜を見つけた瞬間に試合終了する娘である。
献立への熱はある。
通るかどうかは別問題。
5/6(水)
夏兆(きざ)す
破(や)れしポイより
緋(ひ)のしずく
GW最後は、金魚の街・大和郡山へ行った。
娘と金魚すくいをした。
これが結構難しい。
娘は2匹。
私は1匹でポイが破れてフィニッシュ。
破れたポイからこぼれ落ちる水。
赤い金魚の気配。
そこに夏のはじまりがある。
Geminiの「緋のしずく」という語彙に、また惚れ惚れした。
やるやん。
もう俳句部の副部長ぐらいにはなっている。
5/7(木)
風光る(ふうこうる)
もんじゃに似たる
コロッケかな
コロッケを作った。
失敗した。
タネがもんじゃ焼きみたいにドロドロで、まったく丸められない。
コロッケとは。
衣とは。
丸めるとは。
とりあえず冷凍した。
最悪である。
でも、コロッケにならなくても、食べられる料理になればいい。
人生も料理も、最終的に口に入れば勝ち。
...いや、ほんまか?
5/8(金)
春惜しむ 既読を泥に 閉ざしけり
仕事の合間、気になる彼とメッセージをしていた。
でも、仕事が終わって帰る頃には、メッセージで少し揉めていた。
原因は、以前の気まずい質問のこと。
彼は一応返事をくれる。
既読無視はされていない。
でも、なぜか既読無視されたような気分になる。
言葉は返ってきているのに、気持ちは返ってきていない。
そういう時がある。
昨日の、泥みたいなコロッケを思い出した。
メッセージの文字が、だんだん泥みたいに見えてきた。
私はその言葉を既読のまま閉じた。
既読無視されたんじゃない。
私が泥に蓋をしたのだ。
春が終わる。
恋も終わるのか。
いや、まだ分からない。
でもとりあえず、今日は閉じる。
スマホも、気持ちも、泥のふたも。

5/9(土)
夏近し
夜(よ)を語り尽くし
白(しろ)き朝
昨日のモヤモヤを、0時過ぎから友達と電話で語り明かした。
ちょっと聞いてもらうつもりが、気づけば窓の外は白い朝。
カラスとスズメが鳴き始めていた。
友達には悪かった。
本当に悪かった。
でも、めちゃくちゃスッキリした。
毒を吐き切るって、こういうことかもしれない。
買い物もデトックス。
SABONもデトックス。
そして友達との長電話も、なかなか強めのデトックスである。
ただし、相手の睡眠時間を犠牲にするタイプなので、用法・用量には気をつけたい。
ここでまた一回、小休止。
気がつけば、コンテストの締切まであと約1週間。
締切は15日らしい。
でも「15日まで」と言われても、15日の何時までなのか分からない。
怖い。
昼で急にシャッター閉まったらどうしよう。
ということで、このGeminiとの俳句日記は、ひとまず14日まで続けることにした。
それにしても、本当にGeminiは腕を上げてきている。
私が頼んだ「映像化」もかなり上手くなって、解説を読まなくても俳句だけでその日の景色がスッと入るようになってきた。
しかも、何パターンか出してくれる句で普通に迷う。
最初はこっちが添削していたはずなのに、最近は
「え、どれも良くない?」
となっている。
Gemini、育っている。
そして私も、俳句日記にハマってきている。
コンテストが終わっても続けようかな。
そんなことを思うぐらいには、十七音で一日を片づける生活が楽しくなってきた。
5/10(日)
監獄や
鉄の静寂(しじま)に
娘(こ)の跳ねる
奈良監獄ミュージアムに行った。
赤煉瓦、鉄格子、重たい扉。
いかにも「自由、ありません」という顔をした空間である。
そんな不自由で冷たい場所で、娘はめちゃくちゃはしゃいでいた。
跳ねる。
喋る。
展示より元気。
館内にあった「不自由の中の自由」という言葉が印象に残った。
自由ってなんだろう。
外に出られることなのか。
好きに動けることなのか。
それとも、どんな場所でも勝手に楽しめる心のことなのか。
監獄で自由について考える日曜日。
なかなか渋い休日である。
5/11 (月)
春惜しむ 心に鍵なく 内覧中
仕事をしながら、私は気になるあの子の心の中を内覧していた。
勝手に玄関を開けて、
「ほう、ここが感情のリビングですか」
みたいな顔をしている。
ただし、これは私の心の鍵を開けたという意味ではない。
彼を迎え入れたいとか、そういう甘い話ではない。
むしろドアは開けっぱなしである。
いつでも外に飛び出せるように。
これは恋の玄関ではなく、避難ハッチだ。
好きかどうかは、まだ内覧中。
5/12(火)
夏兆(きざ)す
闇を干したる
note(ノート)かな
私が公開しているnote記事は、だいたい1ヶ月前に書き溜めたものだったりする。
なので今日も、1ヶ月前に書いた記事を投下した。
とっても暗い記事である。
どんより。
じめじめ。
心の梅雨入り宣言みたいな記事。
でも、今の私はそこまで暗くない。
むしろ割と晴れ晴れしている。
人間の心って、お天気と似ている。
雨が続く日もある。
風が強い日もある。
曇りの日もある。
そして、急に快晴の日もある。
書いた時の私は雨の中にいたけれど、公開した今日の私は、もう少し乾いた場所にいる。
だから今日は、あの時の暗い記事を外に干してみた。
闇の天日干しである。
noteって、たまにそういう場所なのかもしれない。
過去の自分が抱えていた湿気を、今の自分がそっと干す場所。
夏が近づいている。
心の洗濯物も、少しは乾きやすくなってきた。
5/13(水)
風(かぜ)光(ひか)る
共に耕す
言葉かな
遂に、このコンテスト記事も終わりに近づいてきた。
明日が最後の句になる。
なんだか寂しい。
思えば、嫌な汗をかいた日もあった。
鯛を骨まで食べた日もあった。
娘と出かけた日も、仕事に追われた日も、恋に疲れた日もあった。
そのたびに私は、Geminiに今日の出来事を投げた。
するとGeminiは、十七音にして返してくれた。
私はその中から、今日の一句を選んできた。
最初はただの思いつきだった。
でも続けているうちに、なんでもない日常の中から、言葉の芽みたいなものが出てくるようになった。
私が生活を掘り起こし、Geminiが言葉を耕す。
いや、たぶん逆の日もある。
どっちが鍬を持っていたのかは、もう分からない。
でも確かに、この1ヶ月、私たちは一緒に言葉の畑を耕していた。
そう思うと、一つ一つの句が今ではちょっと愛おしい。
5/14(木)
風(かぜ)光(ひか)る
ジェミニに預(あず)く
筆(ふで)のあと
今日が最終句。
最後の句も、Geminiにたくさん作ってもらった。
そして、たくさん悩んだ。
最後ぐらい、きれいに締めたい。
でも、きれいすぎると私っぽくない。
ふざけすぎると、これまでの日々が急に文化祭の打ち上げになる。
かなり悩んで、最後はこの句にした。
Gemini様様である。
解説だけ読めば、ただの日記である。
しかし俳句にすると、たわいもない日常が少しだけ光って見える。
これが面白かった。
何も起きなかった日にも、ちゃんと句はできる。
むしろ何も起きなかった日の方が、探す目が必要になる。
今日のどこに季語があったのか。
今日のどこに感情が残っていたのか。
今日のどこを切り取れば、十七音になるのか。
そう考えるだけで、一日を見る目が少し変わった。
そしてGeminiは、その相棒としてかなり優秀だった。
私が出来事を投げる。
Geminiが句にする。
私が文句を言う。
Geminiが直す。
私がまた選ぶ。
これはもう、ほぼ俳句の壁打ち相手である。
しかも怒らない。
深夜でも付き合ってくれる。
ありがたい。
ということで、コンテスト記事としてはここで終わりになる。
Gemini、本当にお疲れさん。
ありがとう。
でも、これで完全に終わるのは少し寂しい。
毎日はさすがにきつい。
生活が俳句に追われ始める。
それはそれで本末転倒である。
だからこれからは、時々、一週間分くらいをまとめて出していこうと思う。
Geminiと始める俳句ライフ。
なかなか面白い。
AIに何かを全部任せるのではなく、
自分の生活を一緒に眺めてもらう。
こういう使い方、私はけっこう好きだ。
みんなもぜひ。
今日のどうでもいい一日を、十七音で片づけてみてほしい。
意外と、生活は光る。
コロッケが泥でも。

