週刊Geminiと俳句生活🧃vol.7
もう金曜日である。
その日の出来事をGeminiに投げる。
返ってきた俳句の中から、私が「これやな」と思う一句を選ぶ。
一週間分の中から、特に気に入った句だけをここに残していく。
今、私はフェリーに乗っている。
船の上から俳句生活。
かっこいい。
海を見ながら、風を浴びながら、生活を十七音にする。
かなり風流である。
ただし、Geminiがちゃんと動けばの話だ。
最近のGeminiは、謎の読みを出したり、季語を重ねたり、挙げ句の果てには肝心な時に開かなかったりする。
困ったものである。
とはいえ、今週も句は生まれた。
さて、今週の俳句いっとこ。

7/3(金)
汗ふきぬ 涅槃(ねはん)という名の 地獄かな
今日はハナキン。
仕事帰りに友人と、マジックスパイスでスープカレーを食べた。
カレーの種類を選ぶ。
トッピングを選ぶ。
そして辛さを選ぶ。
ここで問題が起きる。
マジスパの辛さは、仏教的な境地で表現されている。
私は「涅槃」を選んだ。
昔来た時は、涅槃をよく食べていた。
だから今回も平気だと思っていた。
しかし、今日の涅槃は違った。
辛い。
めちゃくちゃ辛い。
涅槃とは、本来、苦しみから解放された境地のはずである。
なのに、私は苦しんでいる。
汗をふく。
水を飲む。
また汗をふく。
これは解脱ではない。
地獄である。
しかも私は、調子に乗ってトッピングをしすぎた。
具が多い。
量も多い。
辛い。
熱い。
汗が止まらない。
涅槃という名の地獄。
仏教、こんなにスパイシーだっただろうか。
昔の私は平気だったかもしれない。
でも今の私は、涅槃で普通に焼かれていた。
ハナキンの夜。
私はスープカレーの前で、静かに悟った。
辛さの記憶は、信用してはならない。

7/5(日)
南風(みなみかぜ) 君(きみ)のお守(まも)り たる誓(ちか)ひ
娘にふと、言われた。
「ママを困らせる人がいたら、娘氏が文句言ってやっつけてやる」
かわいい。
何その小さな用心棒。
五歳児が、私の護衛につく気でいる。
いや、ありがたい。
ありがたいけれど、相手が大人だった場合、戦力としてはやや不安である。
しかし、気持ちは百点である。
私を困らせる人がいたら文句を言ってやる。
その言葉だけで、もう十分お守りみたいなものだ。
別に、本当に誰かをやっつけなくていい。
そこにいてくれるだけでいい。
娘が私の横にいて、ふいにそんなことを言ってくれるだけで、私はかなり守られている。
だから私は言った。
「娘氏を困らせる人がいたら、ママが守ってあげるね」
すると娘は言った。
「娘氏が守るよ」
いや、そうじゃない。
「いや、ママが守るって」
「娘氏が守る」
「いや、ママが」
「娘氏が」
「ママが」
なぜか、守る権利を取り合う親子になった。
平和である。
守る守ると言い合っている時点で、だいぶ平和である。
本当に守らなければならない場面なんて、来ない方がいい。
でも、もし来たら私は娘を守る。
そして娘も、きっと小さな体で私を守ろうとするのだろう。
それは少し頼もしくて、少し困る。
南風のように、やわらかく吹いてくる娘の誓い。
君は私のお守りである。
でも、母も一応、お守り役を譲る気はない。

7/7(火)
汗ふきぬ 涅槃(ねはん)を越えし 混ぜの味
七夕である。
しかし、星に願いをかける余裕などなかった。
仕事が大忙しだった。
バタバタ。
汗だく。
気力も体力も、ほぼ使い切った。
そんな仕事終わり。
私はひとり、中華そばムタヒロへ行った。
食べたのは、煮干し混ぜそば。
もう、これが美味かった。
かなり美味かった。
麺。
煮干し。
タレ。
具。
全部を混ぜる。
混ぜるという行為には、なぜこんなにも救いがあるのか。
途中でカレー粉を入れる。
さらにマヨネーズで味変する。
これがまた、うまい。
煮干しの旨み。
カレー粉のスパイス。
マヨネーズの背徳感。
七夕の夜、私は短冊ではなく混ぜそばに願いを託していた。
先日、マジックスパイスで「涅槃」という名の地獄を見た。
辛すぎて汗をふき、これは本当に解脱なのかと疑った。
しかし今日の涅槃は違う。
これは苦しみの涅槃ではない。
美味しさの果てにある涅槃である。
仕事で疲れた体に、煮干し混ぜそば。
汗をふきながら食べる。
ああ、うまい。
まさしく、涅槃。
七夕の願い事をひとつ書くなら、こうである。
また食べに来られますように。

7/9(木)
夏潮(なつしお)や 明石(あかし)の橋を くぐる船
仕事を休んで、フェリーに乗って九州へ向かっている。
平日の昼間に船に乗る。
この時点で、だいぶ勝ちである。
海。
空。
フェリー。
そして、明石海峡大橋。
橋の下をくぐる瞬間は、やっぱり少しテンションが上がる。
でかい。
人間、よくこんなものを海の上に架けたなと思う。
私はその景色を見ながら、いつものように俳句を作ろうとした。
生活を十七音にする女である。
よし、今日もGeminiに投げよう。
そう思ってアプリを開いた。
開かない。
エラー。
おい。
今やぞ。
今、明石海峡大橋の下をくぐっているのだぞ。
俳句チャンスである。
ここで落ちるな。
仕方がないので、チャッピーを使った。
Gemini、聞いているか。
私は今、フェリーの上でチャッピーに俳句を詠ませている。
海の風を浴びながら、AIの乗り換えをしている。
風情とは何か。
しかし、まあ結果的に句はできた。
明石の橋をくぐる船。
夏の潮。
仕事を休んで向かう九州。
旅はいい。
そしてGeminiは、もう少ししっかりしてほしい。
ほんとどうにかしてくれ。
まあ、分かっていたことではある。
海の上で、サバ落ち。
フェリーに乗っているので、物理的にもサバである。
そしてネット的にもサーバーが落ちている。
記事の下書きは済んでいる。
しかし、画像が作れない。
noteにも投稿できない。
海の上から優雅に俳句生活をお届けするつもりだったのに、現実は圏外と格闘している。
ちなみに今回のフェリー、私は一番格安の部屋で泊まった。
じいじと娘は客室。
私は大部屋。
娘に、
「ママのお部屋、可哀想だね。お大事に」
と言われるぐらいのお粗末なお部屋だった。
お大事にか。
部屋を見ただけで、娘に見舞われた。
私、可哀想?
そんなわけで、今週の俳句生活は海の上からお送りしている。
画像も投稿もままならないが、句だけはできた。
さて、九州を楽しんでこようと思う。
ではまた、来週の俳句生活で。
