【W杯日本代表】オランダ戦を徹底解析|守備設計と同点劇の裏側
こんにちは。
今日は日本のW杯初戦、オランダ戦がありました。
ざっと見た分析結果をまとめてみたので是非ご覧ください。
予想展開
私の予想は、オランダがボールを保持し、日本が守備をしてカウンターを伺う展開。セットプレーが試合を左右する重要な局面になると予想した。
詳しい予想はWindtoshさんのYouTubeに上げていただいている。
データ
スタメンと配置は以下の通り。

また、グーグルによるスタッツは以下の通り。

やはりオランダがボールを持つ時間が長かったことがわかる。以下でオランダの攻撃から見る。
オランダの攻撃
オランダがミドルサードでボールを持つ時間が長かった。オランダの配置は4-3-3。SBが低い位置を取って大外で縦並びを作る配置である。
日本の守備
それに対して日本は5-2-3で構える。噛み合わせは以下の通りになることが多かった。

特徴は左肩上がりになることである。この構造には理由がある。
CF上田選手は1VOを管理しながら、左CBにアプローチ。左IH前田選手が右CBを管理し、左WB中村選手が右SBを管理する形である。
中村選手は最初からつくのではなく、右SBへのパスコースを空けておいて、出させてから寄せることが多かった。
それに連動して左CB伊藤選手が右WGにスライド。このスライドが早く、右WGにパスが出る頃にはぶつかれる距離にいた。
オランダの右サイド
一方、オランダの狙いはWGである。1番の狙いはWGがドリブルで突破し、クロスやシュートに持っていくこと。
それができなくてもここでタメを作り、追い越しや立ち位置の取り直しによって次の攻撃に繋げていた。
日本がスライドをするサイド、つまりオランダの右サイドのWGはサマーフィルである。右利きで縦突破からクロスを狙うことが多かった。
また、ドリブルを狙えないときは右IHグラフェンベルフがニアゾーンへの動きを見せることでサマーフィルに選択肢を与えた。
それに対して日本は中村選手が縦切りで対応。基本的には1人で対応していたが、ニアゾーンへのアクションは鎌田選手、前田選手、伊藤選手の3人で柔軟に対応できていた。
ただ、さすがW杯。縦突破を基本としているサマーフィルが、ここぞの場面でカットインをし利き足とは逆足で2点目を奪った。ワンチャンスをものにしたことから、サマーフィルには仕事をされたと言わざるを得ない。
オランダの左サイド
1番の脅威はやはり左WGガクポであった。
右利きのためカットインを見せる持ち方をする。基本的にはガクポに単独突破をさせて、その他の前線の選手はゴール前に人数をかけて得点の可能性を高めていた。
ただ、CFマレンがライン間で受ける準備をしたり、そのままニアゾーンに流れてガクポに選択肢を与える動きをすることがあった。ここに左IHラインデルスも関わって左サイドから決定機を作ろうとすることが多かった。


それに対して日本は堂安選手と久保選手の2人で対応した。堂安選手が縦誘導をして時間を稼ぎ、その間に久保選手が戻ってきて完全にカットインのコースを消そうとしていた。
日本の守備を左肩上がりにした理由はここにある。ガクポに対応しやすくするためにこの構造にしたのだ。
この対応によりガクポからの決定機は1失点目につながるFKを与えたことと一度のカットインシュートである。カットインに関しては鈴木選手がスーパーセーブでゴールを守ることができた。
日本の攻撃
私が予想していたカウンターで決定機を作るというよりは、攻撃を組み立てていくことが多かった。
もちろん奪った後のカウンターは狙っていたが、オランダの帰陣がとても速かった。かつ、オランダはプレッシングというよりはミドルサードでブロックを構えていたためこの展開になった。
オランダの配置
日本の配置は3-4-3である。配置における特徴は右サイドである。前半は特に、右WB堂安選手が内側に入り、右IH久保選手が大外になる立ち位置を取ることが多かった。

この立ち位置に対してオランダは、1VOデヨングが対応した。デヨングが左サイド、つまり日本の右サイドを管理し、ファンダイクが上田選手を管理する配置になる。これによって5-4-1に見える配置で構えることになる。

日本の攻撃のポイント
この試合における日本の攻撃のポイントは左サイドである。
左サイドの基本立ち位置はWB中村選手が大外、IH前田選手が内側である。

中村選手がボールを持つと前田選手がニアゾーンに流れる。連動して上田選手が足元で受ける準備をする。

さらにタイミングによっては伊藤選手が中村選手を追い越す動きで変化を加えることもあった。

これらが基本であるが、時間経過に伴って2つ変化があった。
サイドローテーション
前半は鎌田選手の脇落ちである。中央CB谷口選手と左CB伊藤選手の間に落ちてローテーションを起こすことがあった。

この時、中村選手が内側に入ることでバランスを取っていた。

このように変化を加えながら左サイドでボールを持ち、右サイドに持っていって堂安選手と久保選手に突破の状況を作ることが多かった。
右サイドでもCB渡辺選手が追い越してゴール前に人数をかける動きもあったが、決定的なシーンは作ることができなかった。
1点目のきっかけ
後半は中村選手と前田選手の両方がサイドに流れることで守備の対応に変化を加えていた。

それに対してオランダはDFラインのスライドで対応していた。

このスライドが間に合わなければどちらかがフリーになるのだ。そしてこの変化が日本の1点目のきっかけとなる。
縦並びをしている左サイドに、右IHの久保選手が移動してボールを受ける。久保選手にはデヨングがついているがここは久保選手の能力でターンに成功。

前を向いたタイミングで前田選手が内側に入り、中村選手が駆け上がってきた。このローテーションにより中村選手がフリーになりクロス。

そのクロスは合わせることはできないものの、久保選手が左サイドに残ることで攻撃の起点となり中村選手の得点に結びついたのだ。
このように90分を通して戦術的な変化を加えることで数少ない決定機を生み出したのだ。
ただ、何度も言うが、このチャンス、むしろ決定的ではないシュートを逃さずに決め切る決定力はすごすぎる。
セットプレー
予想通り、オランダはセットプレーから得点を決めてきた。
日本はCKの守備でファンダイクを2枚で見るほど警戒していた。失点シーンはフリーキックの流れではあるが、これほど警戒されていても決める力がすごい。
ファンダイクがヒットする直前に渡辺選手を手で押しているが、大袈裟なプッシュではない。ファールになるかならないかのギリギリのプレーをして決定的な仕事をする狡猾さは学ぶべきものである。
ただ、日本がセットプレーで試合を動かすとは思わなかった。小川選手は身長が高いオランダ選手の上から叩いている。
試合終了間際にセットプレーで点を決めることができるチームは勝負強い。今後の戦いがとても楽しみである。
戦術的バリエーション
今日の試合では様々な戦術的変更があった。
3-4-3における変更だけでなく、75分からは小川選手、菅原選手、富安選手の3枚を投入し、4-4-2に変更。2点目を決め、自陣で構えるようになったオランダへの対応策である。
小川選手と上田選手または塩貝選手の2FWがターゲットとなりゴール前の人数を担保。
そのゴール前に、WGとSBは縦並びやローテーションを駆使してサイドを突破してクロスを供給する。
特に注目したい点はCBの関わりである。
80分から5-4-1にして完全に逃げ切り作戦に変更したオランダに対して、谷口選手がペナルティアーク付近まで運んで相手を困らせるプレーがあった。
また、富安選手も右サイドの攻撃に積極的に関わり、菅原選手のすぐ横に入ることで攻撃のテンポとスピードを落とさずにサポートすることができていた。
これほどまでに積極的に攻撃に関わる2CBはこれまで見たことがない。これは今後の参考にできるはずである。
その他、親善試合では試していない前田選手の左IHや久保選手の左IHなど選手の立ち位置に関しても微調整があった。
このような戦術的多様性は今の日本の強力な武器である。それでいて、策に溺れることなく相手と戦うという根本の部分を見せてもらえる。
できるだけ長く、ワールドカップの舞台で今の日本代表を見たい。
