50代。退職届を出した日
ある月のはじまりに、
ついに出した。
退職届を…。
やめることは決まっていた。
もう3か月前に、
上司と話もすんでいる。
総務の人とも、退職前後の流れについて話した。
でも、退職届を出すと、
気持ちはまた違ってくる。
満月の翌日に、私は退職届を出すと決めていた。
なぜ満月か?
手放すのにいいタイミングと聞いていたから、なんとなく(笑)
退職届は、数日前にすでに書いてある。
仕事中、他のスタッフが出ていて少ない時に、集中して書いておいた。
特に集中しなくてもよいかもしれないが、清らかな気持ちで書きたかったのだ。
あとは提出するばかり。
上司が帰ってきた。
タイミングをみる。
上司が一呼吸ついたところで、出しに行く。
「今、少しよろしいでしょうか」
ちょっと、ドキドキ……。
退職届を出すと、
「ああ、ちょうどそろそろって
言われてた」
と、スムーズに受け取ってもらった。
やった!
ついに出したよ!!
10年が走馬灯のように流れた。
…ということはないが、
私は席について、
また仕事をはじめたふりをした。
10年…
いろいろあった、ありすぎた…。
でもとても清々しく、
穏やかな気持ちだ。
担当しているケースを一人ずつ
引き継いでいくごとに、
浄化されたような気持ちになっていく。
やっと自分をここから、
連れ出せる!
あと少しで、満員電車からの
解放だ!!
更年期の満員電車は、
それはそれはしんどかった。
もう十分がんばった。
10年という月日が、
50代という年齢が、
「もう卒業していいよ」と自分に
許可を出したのかもしれない。
「よくやったね」
自分自身を労った。
今日、退職届を出す前に、
お世話になった方へ、
手紙を添えて、
ちょっとしたプレゼントも渡した。
私より年上のその方に、
「どうか体を大事に、無理せずに仕事をしてください」
そんな思いも込めて。
最後に拍手もさせてもらった。
少しカサカサして、
あったかな手だった。
退職届を出した仕事終わり。
久しぶりに、元同僚とごはんを
食べる約束をしていた。
家族以外とおしゃべりするのは、いつぶりだろう。
手帳を見ると、今年になってから、はじめてだったことに
びっくりした。
2026年になって、もう半年になろうとしているのに…。
私は1年の中でも、
冬が特に体調が悪い。
仕事に支障をきたしてしまうくらい。
それに、更年期は当日にならないと体調がわからないところがある。
だから、約束をするのも億劫に
なっていたのだ。
元同僚と韓国料理を食べに行った。
久しぶりの生ビール、生マッコリ。
おいしい!
以前のようには、飲めなくなった。
それでいい。
50代だもの。
退職届を出してきたことを言おうと思ったのに、忘れたことに翌日気が付いた。
でも、いいだろう。
家族以外と話すのも、
やっぱり楽しいものだ。
心地いい気持ちで、家に帰ろうと電車に乗った。
やっぱり満員だった。
自分、ありがとうね。
ここから連れ出してくれて。
そして、これからもよろしくね。
