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Claude Codeに任せる仕事と自分でやる仕事の線引き

Claude Codeやcodexといったコーディングエージェントを使い込むほど、開発の成果を左右するのは「AIの性能」ではなく「何を任せて、何を自分でやるかの線引き」だと感じるようになった。
私は普段、Claude Codeを中心に、作業によってはcodexも使い分けている。タイトルにはClaude Codeと書いたが、この線引きの話は特定のツールに閉じない。コーディングエージェント全般に当てはまるはずだ。
全部任せると、それっぽいけれど微妙に違うものができあがる。かといって全部自分でやると、AIコーディング時代の恩恵をまるごと捨てることになる。この線引きをどこに置くか。使い込む中で見えてきた、いまの自分なりの答えを整理してみる。

線引きの基準は「正解を判定できるか」

先に結論を書くと、私の線引きの基準はこの2つだ。

  • アウトプットの正解・不正解を、自分が判定できるか

  • やってほしいことを、言葉で説明しきれるか

両方YESなら任せる。どちらかがNOなら、自分の仕事が残っている。
任せるかどうかは「作業が簡単かどうか」ではない。難しい作業でも、できあがったものの良し悪しを自分が判定できるなら任せられる。逆に、簡単に見える作業でも、何が正解か自分の中で決まっていないなら、任せた瞬間に事故が始まる。


任せると速い仕事

この基準で振り分けると、任せる側にはこういう仕事が並ぶ。

  • 定型的な実装。CRUD、画面の雛形、設定ファイル。正解の形がほぼ決まっていて、見ればすぐ判定できる

  • テストコードの作成。仕様を伝えれば網羅的に書いてくれる。自分で書くより抜け漏れが少ないことも多い

  • コードベースの調査。「この処理はどこで何をしている?」に対して、自分でgrepして回るより圧倒的に速い

  • リファクタリング。動作を変えない、という明確な正解があるので任せやすい

  • ドキュメントの整備。READMEやコメントの更新。差分を見れば良し悪しがすぐ分かる

共通するのは、正解の輪郭がはっきりしていて、レビューで判定できること。この領域は、もう自分の手を動かす理由がほとんどない。

自分でやる仕事

逆に、どれだけAIが賢くなっても手放せないと感じているのがこちらだ。

  • 何を作るか、なぜ作るかの決定。ここを曖昧にしたまま進めると、後工程がすべて無駄になる

  • ドメイン固有の判断。開発しているテニスの上達支援アプリなら、「プレイヤーにとって本当に意味のある指標はどれか」はAIには決められない。コートの上での実感を持っている人間が決めるしかない

  • UXの最終判断。触ってみて「なんか違う」と感じるかどうかは、ユーザーとしての自分にしか分からない

  • リリースの意思決定と、その責任。出すか出さないかを決めて、結果を引き受けるのは人間の仕事だ

共通するのは、正解が外部にないこと。正解はドメインの現場や、ユーザーとしての自分の感覚の中にしかない。AIはそこにアクセスできない。

失敗から学んだこと

この線引きは、最初から見えていたわけではない。失敗して学んだ。
一番多かった失敗は、言語化できていないまま丸投げするパターンだ。「いい感じに作って」のような曖昧な依頼をすると、それっぽい画面はすぐに出てくる。でも、どこか想定と違う。修正を頼む。また少し違う。この往復を何度か繰り返して、ようやく気づいた。
Claude Codeが外していたのではなく、私が決めていなかったのだ。何を表示したいのか、誰がいつ見る画面なのか、自分の中で答えがないまま依頼していた。AIは、言語化されていない部分を「平均的な何か」で埋める。その平均が、自分の欲しいものと一致することはあまりない。
逆の失敗もあった。「これは自分でやったほうが早い」と思い込んで手放さなかった作業が、試しに任せてみたらあっさり片付いたことも多い。テストコードやコードベースの調査は、まさにこのパターンで任せる側に移った仕事だ。

線引きは動き続ける

もうひとつ大事なのは、この線引きは固定ではないということ。
モデルが賢くなるたびに、任せられる領域は広がっていく。たとえばインフラ作業がそうだ。Opusには任せられなかったが、Fable 5になってからは、Dev環境へのデプロイと動作確認、そしてPR作成までをセットで任せられるようになってきた。少し前まで「これは人間の仕事」と思っていた領域に、いつの間にか線が引き直されている。
このあたりの体験は、別の記事に詳しく書いた。
https://note.com/hampen2929/n/na302dd207679
だから「これは自分の仕事」と決めつけずに、定期的に境界線の近くの仕事を試しに任せてみるようにしている。線引きの位置を疑い続けること自体が、AIコーディング時代の開発スキルなのだと思う。
ただし、どれだけ線が動いても、「正解を判定する」「何を作るかを決める」という仕事が人間側からなくなる気配はない。むしろ任せる範囲が広がるほど、残った仕事の重みは増していく。

まとめ

  • 線引きの基準は「正解を自分が判定できるか」「言葉で説明しきれるか」の2つ

  • 正解の輪郭が明確な仕事(定型実装・テスト・調査・リファクタリング)は任せると圧倒的に速い

  • 正解が外部にない仕事(What/Why・ドメイン判断・UXの最終判断・リリースの意思決定)は人間に残る

  • 曖昧なまま丸投げすると「平均的な何か」が返ってくる。外れたときは、たいてい自分が決めていない

  • 線引きは固定せず、定期的に任せる範囲を広げられないか試す

何を任せるかを決めることは、裏返せば「自分にしかできない仕事は何か」を決めることでもある。線引きを更新し続けながら、その残った仕事に集中していきたい。

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