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「美術館のアイスの味」しか覚えていない私が、子どもたちに文化を届けたい理由


私は「着物」を入り口に、子どもたちが多様な日本文化を「遊び」として体験できるイベントを企画しています。

突然ですが、皆さんはお子さんを博物館や美術館に連れて行ったとき、
「うちの子、全然興味なさそう……」 「連れてきた意味あったかな?」
と不安になったことはありませんか?

ぶっちゃけますと、実は私自身がまさにそんな子どもでした。

1. ミュージアムとかつまらない

私の幼少期は、旅行大好き、史跡巡り大好きな両親や祖父母に連れられて、あちこちの博物館や美術館、歴史的な名所を巡る日々でした。

東京国立博物館、国立科学博物館、明治村に五稜郭……。

文字にすると優雅な教育環境に見えるかもしれません。
でも、子どもだった私の本音はこうでした。

「暗いし、静かにしなきゃ怒られるし、大人は勝手に盛り上がってるし。正直、つまんない!

大シルクロード展は人の背中しか見えなかったし、夏の明治村はとにかく「暑い」という記憶しかありません。五稜郭は涼しかったけれど、いったいこれが何なのか……小学校に入学したばかりの私にはさっぱりです。 せっかく連れてきてくれた大人には申し訳ないけれど、展示の内容なんて、これっぽっちも響いていなかったのです。

2. 記憶に残っているのは「酸っぱさ」と「忍者ごっこ」

そんな私が、今でも鮮明に覚えているのは、展示品のことではありません。

  • 美術館の帰りに寄ったカフェの、レモンスカッシュの酸っぱさと真っ赤なチェリー。

  • 真夏の特別展のあと、火照った体に染みたソフトクリームの冷たさ。

  • クリームソーダのアイスが溶けて、ソーダと混ざる瞬間の「シュワシュワ」した舌触り。

このアイスとソーダの境目がシュワシュワして美味しい……。

そして、一番の宝物は大国宝展のミュージアムショップで買ってもらった「鳥獣戯画の巻物(レプリカ)」でした。

本来なら、当時の文化や風刺を学ぶべき「国宝」の写し。それを私は「どうしてもこれで児雷也ごっこがしたい!」とねだり、口にくわえて家の中を駆け回っていました。
それなりにいいお値段だったはずの巻物。あろうことか忍者ごっこの小道具にして遊んでいたのです。(にしても児雷也ごっこっていう時点で年齢バレますね……やばいやばい)
おじいちゃん、マジごめん…。

3. 20年後に効いてきた「文化資本」の魔法

この「つまらなかった」はずの体験ですが、大人になってから意外な形で私を助けてくれました。

旅行会社の営業職として、上司と共にご挨拶に伺った先でのこと。会話が途切れ、重苦しい空気が流れたことがありました。
「さて、この空気どうしよう……」と思いながら壁のカレンダーに目をやると、そこには五稜郭の写真が。
「カレンダーのお写真、五稜郭ですよね。懐かしいです。子供の頃に祖父母に連れられて行ったんですが、あそこ、めちゃくちゃ広くて歩くのが大変だった記憶しかなくて……」
と切り出したところ、それまで無表情だった社長の顔がパッと輝いたのです。
「ほう、君も行ったことあるのか! あそこはね、土方歳三が……」

そこから商談は一気に歴史談義へと変わり、最後には
「いやあ、面白い話ができた。社員旅行で五稜郭ツアーというのもいいな」と、契約をいただくことができました。

実家は決して裕福ではありませんでしたが、家族が贈ってくれた多様な体験は、私の中に「文化資本」という土台を作ってくれていました。それは単なる知識ではなく、「どんなに高尚な場でも気後れせず、自分の体験として語れる」という、人生を彩り豊かに生き抜くための「社会関係資本」へと転換されたのです。

4. 響かなくていい、種をまこう

正直、美術館も博物館も、大人だってしんどい時があると思うんです。

「話題だから行ってみたけど、正直何がそんなにいいのかわからない。」
いや、わかります。私もそういうことありますもん。

「チケットもらったから行ってみたけど、すっごい混んでて全然見られなかった。」
辛いですよね!わかります! 並ぶのしんどいし、人ばかりだし。

「なんか解説してる人もいたけれど、人混みで疲れちゃっうし、子どもはグズるし、最悪!」
あります、あります。もうね、どこからこんなに人が湧いて出たんだって思うくらい人しかいない企画展。「盛況でよござんすね」とは思いますが、見るほうとしてはつらい!

でもね。それでも行ってみただけすごいです。えらいです。さすがです!だって、「やってみたこと」そのものが、いつか芽吹く種になるんですから。行くっていう行動がとれたあなたはとてもすごい。胸を張りましょう。

私は着物を着る人です(私と着物のつながりは、また別の記事で詳しく書きますね)。だから、着物を入り口に、いろんな文化を「遊び」として楽しむ場所を作りたいと思っています 。

だって、遊ぶことって、理屈抜きに楽しいじゃないですか。

5. お子さんがアイスの味しか覚えていなくても

イベントに参加してくれたお子さんが、もし中身を全く覚えていなくても。

「アイスが美味しかった」
「巻物で遊んだ」という記憶しか残らなくても。

「楽しかった」
そう思ってもらえれば大成功だと思っています。

「なんか楽しかった」という体温のある記憶こそが、大人になったとき、彼らの人生を支える財産になると信じているからです。

これから、親子で楽しめる「文化遊び」の現場をたくさん作っていきます。

最高に楽しい時間を一緒に過ごしませんか?


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