見出し画像

うちの子が、くるくる回り始めた日のこと─シニア犬の「ぐる活」と向き合うすべての飼い主さんへ

こんにちは、hanaです。

私は愛玩動物看護師として動物病院に勤めながら、これまで多くのシニア期の子達と、その飼い主さんと向き合ってきました。

そして、我が家にも老犬介護の日々がやってきました。

うちの子がひたすら同じ方向に回り続けている。
壁にぶつかっても止まらない。
呼びかけても、こちらを見ない。

「どうして?」「こわいの?」

もしかして…..

最初は、ただただ不安でした。


「ぐる活」って何?

シニア期に目的もなく同じ方向にぐるぐると回り続ける行動のことを、介護をしているみなさんは「ぐる活」と呼ぶようになりました。

今では InstagramやXで広まり、
ぐる活に悩む飼い主さんたちの共通語になっています。

言葉に名前がつくことで、「うちだけじゃない」と気づける。
それだけで、孤独な日々から救われますよね。


なぜ、ぐるぐる回るの?

愛玩動物看護師として、ここは正確にお伝えしたいと思います。

ぐる活の多くは、
犬の認知機能不全症候群(CDS)、いわゆる犬の認知症が原因です。

人のアルツハイマー型認知症と同様に、脳にβ-アミロイドというタンパク質が蓄積して、脳の機能を低下させると考えられています。

その結果として、周囲の環境や自分の居場所を正しく把握できなくなる「見当識障害」が起き、目的なく歩き回ったり、同じ方向に旋回したりする行動が現れると言われています。

統計的には
11〜12歳の犬の約30%15〜16歳の犬の約70%
認知症を示す症状が確認されると報告されています(アメリカでの調査)。

長生きしてくれた子ほど、その可能性は高くなる。
これは長生きの証でもあるのです。

ただし、ぐる活の原因は認知症だけではありません。

前庭疾患(内耳のバランス感覚の障害)、
脳腫瘍、肝臓の病気なども同じような症状を引き起こします。

「突然くるくる回り始めた」
「目が揺れている(眼振)」
「頭が傾いている(斜頸)」
という場合は、
早めに動物病院を受診してください。

そして、よくネットで見かける
「右回りは問題ない、左回りは脳腫瘍のサイン」という情報は、医学的には根拠がありません
回る方向だけで原因を判断することはできないので、どちらの方向であっても気になる症状があれば相談をおすすめします。


そのとき、犬は何を感じているの?

私がずっと気になっていたのは、この問いでした。

今、うちの子は苦しいの?こわいの?

正直に言うと、
この問いへの答えは、現在の医学でも完全には解明されていません。

ひとつわかっていることは、
認知症が進行すると「見当識障害」が起こり、
周囲の環境や自分の居場所を正確に把握できなくなるということです。

「まっすぐ進む」「止まる」「方向転換する」といった判断が難しくなり、同じ行動を繰り返してしまうと考えられています。

また、認知症が進むと
「好きなものの誘導にも反応せず意思なく立っている状態」
「何をしても感情変化が感じられない」
という状態が現れることも報告されています。

一方で
「体が不自由になったとしても、犬の感情は衰えません」という専門家の言葉もあります。

「身体の動きに異変が出てきても、感情そのものは生きている」
そう考えると、
名前を呼び続けること、手を添えること、声をかけることには、
きっと意味があると私は思っています。

「苦しいに違いない」とも「苦しくないはず」とも、今の医学では断言できません。
だからこそ、そばにいてあげることが、できる精一杯なのだと思っています。


この記事の有料部分では、こんなことをお伝えします。


━━ 私の失敗談 ━━
✕ ベビーサークルで愛犬の目を傷つけてしまった話
 →そこから学んだ「絶対にやってはいけないこと」

━━ 今日からできる5つの対策 ━━
① 安全な「ぐる活スペース」の作り方
② 歩行補助でもっと安全に歩かせてあげる
③ ぐる活中に起きやすいケガを防ぐ
④ 生活環境を「最小動線」に整える
⑤ 昼間の感覚刺激が大切な理由

毎日のケアに「これでいいのかな」と感じているなら、
今日から使える具体的なヒントがきっと見つかります。

ここから先は

3,489字 / 3画像

¥ 300

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?