母の日に紫陽花を想う
きょうは母の日。毎年この日を迎えると、紫陽花のことを思い出します。母への贈りものとして選び続けてきたのが、紫陽花の鉢植えでした。
なぜ紫陽花だったのかといえば、母が大の花好きだったから。玄関周りや庭先には、いつも色とりどりの鉢植えが並び、暮らしを彩っていました。中でも紫陽花は、見た目の華やかさと程よい存在感があって、贈りものとしても申し分なかった。そして何より、わたし自身が好きな花でもありました。

初めて紫陽花をきれいだなと思ったのは、幼いころ暮らしていた社宅の庭。小さな手で触れた時の、ざらりとした感触や、淡い色の重なりが、今も心のどこかに残っているように思います。
毎年4月に入ると、「ことしはどんな紫陽花にしよう」と頭をひねっていました。同じお店で選ぶのは避けて、生花店や郊外の種苗店を巡ったり、時にはインターネットで紫陽花の生産農家さんから直接取り寄せたり。贈る側の楽しみも、そこにはありました。

母は、そんな紫陽花を毎回おおげさなくらい喜んでくれました。父にデジカメで撮ってと頼んだり、枯らさぬよう丁寧に手入れをしたり。けれども、その思いが強すぎたのか、あるいは置き場所との相性が悪かったのか、長くはもたず、やがては枯れてしまいました。
地植えしたものの中には、冬越しできた株もありましたが、それも今はありません。それでも、実家の「おもいでばこ」(バッファロー製の家庭用フォトストレージ)には、満開だったころの写真が残っています。紫陽花の花びらに宿る水滴までもが、くっきりと写っていて、思わず見入ってしまうのです。

そんな思い出があるからか、わたしは今、自分が管理を担当している庭でも紫陽花を育てています。選んだのはアナベルという、アメリカノリノキの園芸品種。一般的な紫陽花と違い、その年に伸びた枝に花をつける「新枝咲き」で、雪解け後の春先にせん定しても大丈夫。管理がしやすくて、頼もしい存在です。
北海道では、ヤマアジサイなどの路地植えの紫陽花が咲きはじめるのは、だいたい7月下旬から8月にかけて。梅雨がないとされる(実際には太平洋岸の地域を中心に蝦夷梅雨と呼ばれる時期がある)この地では、紫陽花はむしろ「盛夏の花」という印象があるかもしれません。

ふと口ずさみたくなる紫陽花の歌があります。中でも笹川美和さんの「紫陽花」と、スピッツの「あじさい通り」が、わたしの定番。笹川さんの曲に登場するのは、それこそ5月の紫陽花。心に降り積もるようなメロディーは、過去の記憶とどこか重なって聴こえるのです。
日曜日も残りわずか。どうか良い週末をお過ごしください。

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