感謝でRASを切り替える — スリーグッドシングスの科学
シーズン3 第6話
「なぜか悪いことばかり続く人」と、「いつもタイミングよく良いことが起きる人」。
この違いは、どこにあるのでしょうか?
心理学者のリチャード・ワイズマン博士は、10年にわたる「運の科学」の研究で、ある興味深い結論に達しました。
運がいい人とは、特別な霊感がある人でも、守護霊に守られている人でもありません。
彼らは、「日常の中に隠れている『良いこと』に氣づく能力が極めて高い人」だったのです。
運命レボリューション第6話のテーマは、「感謝と脳のフィルタリング機能」です。
「感謝しましょう」というと、道徳や精神論のように聞こえるかもしれません。
しかし、脳科学の視点から見れば、感謝とは「脳の検索エンジン(RAS)の設定を『幸運モード』に切り替える技術」に他なりません。
今日は、脳の仕組みを利用して、あなたの見える世界を「チャンスだらけ」に変える科学的メソッド「スリーグッドシングス」をご紹介します。
1. 脳のRAS(網様体賦活系)の仕組み
私たちの脳には、RAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)という部位があります。
これは、脳幹に位置する神経の束で、「情報のフィルター」のような役割を果たしています。
私たちの五感には、毎秒およそ1,100万ビットもの膨大な情報が飛び込んできています。
しかし、脳がそのすべてを意識的に処理しようとすれば、瞬時にパンクしてしまいます。
そこでRASは、この膨大な情報の中から、あなたにとって「重要だ」と判断した約120ビットの情報だけを選び出し、意識に上げています。
つまり、私たちは「見ているもの」を見ているのではなく、「探しているもの」を見ているのです。

「カクテルパーティー効果」と「カラーバス効果」
騒がしいパーティー会場でも、自分の名前や興味のある話題だけはハッキリと聞き取れることがあります。
これを「カクテルパーティー効果」と呼びますが、これもRASの働きです。
また、「赤い車が欲しい」と思った途端、街中で赤い車ばかりが目につくようになった経験はありませんか?
これも「カラーバス効果」と呼ばれ、RASが「赤い車=重要」と認識し、フィルターを透過させた結果です。
赤い車が急に増えたわけではありません。「そこにあったけれど、見えていなかったもの」が見えるようになっただけなのです。
Point不運な人は、無意識のうちにRASの検索ワードを「嫌なこと」「不安なこと」「足りないもの」に設定しています。
その結果、脳は優秀な検索エンジンとして、世界中から「不運の証拠」を忠実に集めてきてしまうのです。
2. 感謝が報酬系を活性化させるメカニズム
では、どうすればRASの設定を「幸運モード」に切り替えられるのでしょうか?
最も強力で、科学的に効果が実証されている方法が「感謝」です。
ポジティブ心理学の父と呼ばれるマーティン・セリグマン博士は、「Three Good Things(3つのよいこと)」というエクササイズを提唱しました。
これは、毎晩寝る前に「その日にあった3つの良いこと」を書き出すというシンプルなワークです。
2005年に行われた研究では、このワークをわずか1週間続けたグループは、その後6ヶ月間にわたって幸福度が向上し続け、抑うつ度が低下したという驚きの結果が出ました。
たった1週間の介入が、半年後まで影響を及ぼしたのです。
脳内で起きていること
「良いこと」を探そうとすると、脳の報酬系(腹側被蓋野:VTAや側坐核:NAcc)が活性化します。
この回路が働くと、快楽物質であるドーパミンが分泌され、脳は「良いことを探すのは気持ちいい!」と学習します。

このサイクルが回ると、RASは自動的に「ポジティブな要素」「感謝できること」「チャンス」を優先的に拾うようになります。
これが、いわゆる「運がいい人」の脳の状態です。
彼らは、道端に落ちているコインにも、ふとした会話の中のヒントにも、誰かの優しさにも、敏感に氣づくことができるのです。
3. 今日からできる「3つのよいこと」習慣
それでは、RASの設定を書き換えるための具体的なアクションプランをご紹介します。
用意するものは、ノートとペンだけ。スマホのメモ機能でも構いませんが、手書きの方が脳への定着率は高まります。
実践ステップ
タイミング: 寝る直前の5分間(脳が記憶の整理をする直前がベスト)
アクション: 今日起きた「良かったこと」を3つ書き出す
深掘り: それぞれに「なぜそれが起きたのか?」または「どう感じたか?」を一言添える

コツ「大きな幸運」を探す必要はありません。
・信号が青だった
・コーヒーが美味しかった
・風が気持ちよかった
これくらい些細なレベルでOKです。「当たり前」の中に「有り難し(有ることが難しい)」を見つけるゲームだと思ってください。
4. よくある質問(Q&A)
Q: 悪いことばかりの一日で、書くことが見つかりません。
A: ハードルを極限まで下げましょう。
「朝、目が覚めた」「息ができている」「蛇口をひねれば水が出る」。
これらは当たり前ではなく、奇跡的なシステムの上に成り立っています。
「何もない」日などありません。「氣づいていない」だけです。どうしても見つからない時は、「最悪の事態にはならなかった」こと(例:病気にならなかった、事故に遭わなかった)を書いてみてください。
Q: 毎日同じ内容になってもいいですか?
A: 全く問題ありません。
「今日も家族が元気だった」「今日もご飯が食べられた」。
同じことに感謝し続けることは、その幸福をより深く味わうこと(savoring)につながります。
繰り返し書くことで、RASはその対象を「極めて重要」と認識し、より強固な安心感をあなたにもたらしてくれます。
5. まとめ:「あるもの探し」が運を開く
運命レボリューション第6話、いかがでしたでしょうか。
最後に、今回のポイントをまとめます。
運がいい人とは、「良いことに氣づく能力」が高い人のこと。
脳のRAS(フィルター)は、意識した情報だけを通す。
「3つのよいこと」を記録することで、RASの設定を「幸運モード」に書き換えられる。
感謝は精神論ではなく、脳の報酬系を活性化させる科学的トレーニングである。
「運=氣づき×行動」。
この方程式における「氣づき」とは、世界に溢れているギフトを発見する力です。
あなたの周りには、すでに数えきれないほどの幸運の種が落ちています。
今夜ノートを開くその瞬間から、あなたの運命の歯車は、確実に良い方向へと回り始めます。
今日の一手
今夜寝る前に、ノート(またはスマホ)に「今日のよかったこと」を3つ書いてみましょう。
どんなに小さなことでも構いません。
それを書いた時、胸のあたりが少し温かくなる感覚を味わってください。
次回(シーズン3 第7話)は、せっかく貯めた運を逃さないための防御策。
「人間関係の結界術 — エナジーバンパイアから身を守る方法」
について、心理学的境界線(バウンダリー)の観点から解説します。お楽しみに!
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