OKR(Objectives and Key Results) で「やること」を減らす:優先順位の衝突を“数字”で止める
シーズン5 第9話
この回で手に入るもの
「やること多すぎ問題」をOKRで整理し、優先順位の衝突を数字で止められるようになる
すぐ使える最小構成:目標1つ+数字の指標3つ+週1回の採点
「やった感だけのKR」を避けるチェック観点がわかる
0) まず15秒で確認——あなたの職場はどのくらい"優先順位の地獄"にいますか?
次の4つの症状に、当てはまる頻度をスコアで答えてください。
0=ない / 1=たまにある / 2=よくある / 3=ほぼ毎日
Q1「“最優先事項”が同時に3つ以上ある」
Q2「会議で決まったのに、翌日にはひっくり返っている」
Q3「忙しいのに、今期、何が進んだのかをうまく説明できない」
Q4「結局"全部やる"になり、品質か締め切りのどちらかが崩れる」
合計スコアが高いほど、問題の原因はここにあります。
努力が足りないのではありません。 「何を優先するか」が、チームで合意されていないことが問題です。
忙しいのに前に進まない日が続くなら、それは個人の頑張りで解決できる問題ではありません。
今日の会議で使える一言
チームの優先順位が増えすぎたと感じたとき、こう切り出してみてください。
「最優先が増えてきたので、一度OKRで整理しませんか。目標は1つ、数字の指標を3つ、週1回の採点で調整します。」
今日のアクション(1つだけ)
今期の目標を1つだけ書き、「達成をどう測るか」を数字で3つ決める。
「何をするか」ではなく「何が達成されたら成功か」を数字にすることが、最初の一歩です。
1) 今日の結論(先に要点)
OKRは、目標を「貼り出す仕組み」ではありません。チームで「合意する仕組み」です。
OKRがタスク管理と違うのは、「何をするか」ではなく「何を達成したいか」を数字で合意する点にあります。
Google re:Workのガイドでは、OKRの設計についてこう述べています。
Objective(目的)少し背伸びが必要なくらい、野心的な言葉で書く
Key Result(成果指標)0.0〜1.0のスコアで採点できる数字にする
公開と評価の分離 OKRは全員に見せる。ただし人事評価とは切り離す
達成の適正ライン 60〜70%達成が"ちょうど良い"設定の目安
「100%達成が当たり前」になっているOKRは、たいてい目標が低すぎます。
兼務リーダーが押さえるべきは、この3つだけ
① Objectiveは3〜5個まで
目標が増えるほど、結局「全部やる」になります。絞ることが、最初の優先順位づけです。
② KRは「活動」ではなく「結果」で書く
次のような動詞が出てきたら、要注意です。
❌ 活動KR(危険)
「顧客にヒアリングする」、「データを分析する」
「〜する」だけで、その後の具体的な成果物を掲げていないKRは、やったかどうかは測れても、成果が出たかどうかは測れません。
✅ 成果KR(正しい)
「ヒアリングから改善点を3件特定する」、「分析結果をもとに施策を1本決定する」
③ 週1回、採点と調整をする
OKRは「掲げて終わり」では機能しません。週1回スコアを見直し、ズレがあれば調整する。この繰り返しが、OKRを"飾り"ではなく"道具"にします。
目標は絞る。成果を数字にする。週1で校正する。 この3つを回すだけで、OKRは優先順位の"共通言語"になります。

2) 兼務リーダーの現場あるある(なぜ「優先」が増殖する?)
上司A「これ最優先で」
上司B「こっちも急ぎ」
現場「全部やるしかない…」
この状態は、
- 「正解」が上司ごとに違う
- 成果の定義が曖昧
- だから声の大きいほうが勝つ
という 仕組みの欠陥 です。
OKRは「どの山に登るか」を先に決め、
登れたかを「数字」で確認するための道具です。
3) OKRの型(最小構成):Objective 1つ + KR 3つ
re:Work は、Objectiveに対して 3つ前後のKR を推奨し、
組織全体のOKRと個人/チームOKRを接続すると述べています。
Objective(目的)
状態のゴール(例:ユーザーが“迷わない”状態を作る)
Key Results(成果指標)
数値で採点できる
アウトカム(結果)
達成すればObjectiveが前に進む
“活動KR”になってない?(地雷ワード)
相談する/分析する/参加する/支援する …
→ re:Work は、これらは活動であり、結果ではないので 「影響(impact)」で書き直す としています。
4) 100%達成を目指すと、OKRは形骸化する
「60〜70%」がちょうど良い理由
Google re:Workが示すOKRの採点基準は、多くの人の直感と逆です。
スコアが意味するもの
0.6〜0.7✅ ちょうど良い。目標の難度が適切
いつも1.0⚠️ 目標が低すぎる。背伸びが足りない
0.3以下が続く🔍 目標の設定か、実行の何かを見直す
重要なのは、低いスコアは「失敗」ではないという考え方です。
低い点数は、責める材料ではなく、次のOKRをより精度高く設定するためのデータです。
OKRの本当の使い方
ここで、OKRに対する視点を一度切り替えてみてください。
OKRは「目標を達成するための管理ツール」ではありません。
OKRは「優先順位の低いものを、削るための装置」です。
何を達成するかを数字で合意するからこそ、それ以外のことに「今期はやらない」と言えるようになります。スコアが可視化されることで、「なんとなく全部やる」から「意図して絞る」への転換が起きます。
満点を狙わなくていい。 6〜7割を目指して絞り続けることが、OKRを"本物の優先順位ツール"にします。

5) 3ステップ実装(今週から回るOKR運用)
ステップ1:今期のObjectiveを1つ書く(15分)
3〜5個が推奨だが、最初は1つでいい
“状態”で書く(例:引き継ぎの手戻りを半減する)
ステップ2:KRを3つ、数字で置く(20分)
期限までに誰が見ても採点できる形にする
「活動」ではなく「結果」にする
ステップ3:週1で“採点→調整”を入れる(10分)
re:Work は、四半期中も見直して
- 新情報に合わせて調整
- 明らかに無理なObjectiveを捨てる
- ぎりぎりのObjectiveにリソースを寄せる
といった使い方を推奨しています。
6) 配布ツール:OKR 1枚テンプレ(コピペで使える)
Objective(今期の目的)
- O1:____________
Key Results(成果指標)
- KR1:__(0.0〜1.0で採点できる)
- KR2:__(アウトカム)
- KR3:__(アウトカム)
チェックイン(週1)
- 今週のスコア:0.0 / 0.3 / 0.6 / 0.8 / 1.0
- 詰まり:__
- 次の一手:__(やる/やめる/減らす)
7) 図解(この記事の要点を一枚で)
図解1:Objective → Key Results(3つ)→ スコア0.0〜1.0(sweet spot 0.6〜0.7)
図解2:優先順位の衝突ループ(全部やる→疲弊→品質低下→さらに火消し)と、OKRで“削る”介入
8) 次回予告(EP10)
次回は Meeting recovery(会議の回復時間) を設計し、会議疲れで手戻りが増える前に“間”を入れる方法を軸に、「今日の型」を“継続して回る運用”に落としていきます。
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