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『日帰り異世界旅行社記録簿・特別記録篇』

『日帰り異世界旅行社記録簿・特別記録篇』
**『バニラの里帰りと、コロとのふたり旅』**

第1話『うさぎの郷、帰郷通知は急に』

「バニラ姐さんって、故郷とかあるんスか?」
コロのその問いに、バニラはぴくりと耳を立てた。
その日は珍しく本社が静かで、みんな各自の記録整理をしていた。
バニラはデスクに手紙を置いたまま、しばらく目を伏せていた。
「……あるわよ。あるけど、何年も帰ってないの」
「なんでッスか? うさぎの郷って、春になると草もちとか美味いって噂の――」
「コロ」
その声に、コロは思わず背筋を伸ばす。
「ごめんス……」
バニラは手紙を見下ろし、小さく息を吐いた。
それは、うさぎ獣人の里“ラピス村”からの春祭りの招待状だった。
しかも、宛名は“バニラ=ロゥ=ホワイト”――
バニラがかつて捨てた、正式な名前だった。
「帰ってこいってさ。春の跳躍祭。“記録の舞”の担い手が欠けたから、代役を頼みたいって」
「……それ、姐さんしかできない役目なんスか?」
「たぶん、ね」

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