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htohsaki
新田次郎さん【アイガー北壁・気象遭難 】を読みました|読書記録・大人の読書感想文
新田次郎さんの『アイガー北壁・気象遭難』を読み、山は美しいからこそ恐ろしく、人間は自然の前ではあまりにも小さな存在なのだと改めて感じました。
収録されている14編には、それぞれ異なる山と異なる人間模様があります。どれほど経験豊富な登山家でも、一瞬の天候の変化や判断の迷いが命取りになる。
その冷酷さが、読んでいて何度も胸を締めつけました。
特に印象に残ったのは表題作『アイガー北壁』です。
取りつき点から頂上まで約1800メートルもの巨大な岩壁に挑む登山家たちの姿は、まさに命を懸けた挑戦でした。
なぜそこまで危険な場所へ向かうのかと何度も考えましたが、読み進めるうちに、山に魅せられた人にしか分からない情熱や覚悟が少しだけ理解できたような気がします。
『気象遭難』では、自然の恐ろしさがより現実的に描かれています。
ほんの少し前まで順調だった登山が、吹雪ひとつで一変し、運命が大きく変わってしまう。
自然には善悪も感情もなく、ただそこに存在しているだけです。
その圧倒的な存在感が、この作品には静かな迫力として描かれていました。
一方で、新田次郎さんが描く山の風景は本当に美しく、雪山や岩峰、澄み切った空気まで目の前に広がるようでした。
危険と隣り合わせでありながら、多くの人が山に惹かれる理由も、その美しい描写から伝わってきます。
美しさと恐ろしさが表裏一体であることこそ、山という存在の本質なのかもしれません。
山が好きな人はもちろん、自然の壮大さや極限状態で生まれる人間ドラマに興味がある人にも、ぜひ読んでほしい作品だと思いました。
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