祈り
ああ かえってきた
さわさわと呼ぶ緑の中に
まるごと包み込まれています
ただそこに立って
目を閉じて大きく吸い込むと
もうほほえんでいます
ああ みんなきれい
目がよくなって
美しいものがたくさん見えます
どぶにイチゴが咲いています
カラスの黒にはツヤがあります
蜘蛛の巣がキラキラしています
ただいることを受け入れてもらうと
お返ししたくなるのでしょうか
目の前のそのままが美しいのです
そのまなざしは
やわらかくあたたかい何かを内に生み
湯気のようにふわっと外へ広がります
あの蝶に あの子に あの人に
まなざしを内から向けるとき
湯気も一緒に送り出されていくのです
わたしがほほえんでいるのは
どこかの誰かの湯気のおかげ
そう思えばまた湯気が生まれます
