始まる前に終わった旅は、木の葉だけ知っている。
昨日より赤く飾った街
近づく涼風の気配
紡ぎかけた想い
差し伸べかけた指先
紅葉は一枚 風に乗っていた
都会の雑踏をすり抜けて
山も野原も乗り越えて
やがて小さな紅葉は
待ち遠しい秋にたどり着いた
秋は 幸せに笑い合っていた
知らない面影に 春の匂いがした
秋に届けるはずが 宛先を失って
誰にも気づかれないまま
紅葉は 枯れて空を舞った
また一枚枯葉は
秋雨に濡れていた
また一つ想いは
届かずに零れ落ちる
秋に届かないまま
秋は過ぎ去っていく
#創作大賞2025
#オールカテゴリ部門
#詩
#秋
#届かない想い
#枯葉のひとり旅
#花月凪沙